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インターネット知事室 議会での発言 平成31年2月6日

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平成31年2月京都府議会定例会施政方針及び提出議案知事説明要旨

平成31年2月6日

本日、ここに2月定例府議会を招集いたしましたところ、議員の皆様におかれましては、御多忙の中お集まりいただき、まことにありがとうございます。

それでは、平成31年度の京都府政の施政方針及び提出議案の概要を申し上げます。

【平成31年度の府政運営~新しい京都の未来への挑戦~】

今年は、「平成」の次の新たな時代が幕を開ける節目の年になります。

平成の始まりは、東西冷戦終結という大きな時代の転換点となり、ヒト・モノ・カネ・情報が国という垣根を超えて行き交うグローバル社会が到来しました。インターネットやスマートフォンの普及、近年では人工知能(AI)やIoTの登場など情報通信技術の進展により、企業の生産性や個人の利便性が向上し、コミュニケーションのあり方も大きく変わりました。

経済情勢については、バブル崩壊による景気の低迷とデフレの進行に苦しんできましたが、近年では企業業績が回復し、訪日外国人旅行者数が急増しているほか、有効求人倍率がバブル期の水準を上回るなど雇用環境が改善する中で、人手不足感が高まっています。一方、景気回復の実感が乏しいとの声もあり、経済の好循環を地域の隅々まで波及させる必要があります。

この間、阪神・淡路大震災や東日本大震災、京都府も幾度となく被災した風水害など、これまでの想定をはるかに超えた自然災害が猛威を振るいました。
防災・減災対策に対する府民の関心が高まるとともに、人と人との絆やつながり、地域の見守りなど共助の取組みの重要性が再認識されています。
そして、成長社会から成熟社会へと移行する中で、少子高齢化の進展と相まって人口減少が進み、大きな社会問題となっています。地域がこれまで大切にしてきた資源に磨きをかけ、知恵を絞りながら、地域創生の取組みによって地域社会の維持・発展に努めることが必要な時代になっています。

このように社会経済情勢が大きく変わっていく中、京都府においても、平成30年の人口が平成元年を下回る259万人となり、この30年間で65歳以上の方は2倍以上に増加し、15歳未満の方は3割以上減少するなど、本格的な人口減少・少子化・超高齢社会が到来しつつあります。しかもその様相は、府内でも地域によって相当異なります。
新たな時代において、こうした状況の進展を念頭に置きながら、私たちは、京都の活力を増進し、府民生活の安心・安全を高めるとともに、将来世代に素晴らしい京都を引き継いでいかねばなりません。
私たちは、前例のない課題に対して一つひとつ向き合い、現場の実態を踏まえつつ多様な主体との連携を図り、新たな発想で施策を練り上げ、京都府の未来を切り拓いていく必要があります。

「未来を予測する最善の方法は、それを発明することだ。(The best way to predict the future is to invent it.)」パーソナルコンピュータの父と言われるアラン・ケイ氏の言葉ですが、変化の激しい時代においては、自ら学び、考え、行動し、新たなものを創り出していくことが重要です。

現在、概ね20年後に実現したい京都府の将来像を見据えた新しい総合計画の策定を進めています。引き続き府議会の皆様の御意見を賜り、府民の英知を結集しながら、本年秋の策定を目指し、京都の持つ強みや多様性を活かした「夢・実現型」「未来志向型」の計画としてまいります。

私にとって初めての当初予算となる平成31年度予算案では、新総合計画の策定を見据えつつ、待ったなしの課題に立ち向かい、新しい時代の京都づくりへの布石となるよう、未来への挑戦に踏み出す政策を5つの柱を軸に展開してまいります。

【子育て環境日本一への挑戦】

1つ目の柱は、子育て環境日本一への挑戦です。

子に過ぎたる宝なし。

子どもが地域の中で健やかに育ち、子どもの明るい声が響きあふれる社会、そして、子育てに喜びや幸せを実感できる社会をつくることで、京都府の未来を明るいものにしたい。子育てしやすい環境とは、若い世代を含めすべての世代にとっても暮らしやすいまちである、との思いから、知事就任後、速やかに「子育て環境日本一推進本部」を設置いたしました。

平成の間に、京都府の合計特殊出生率は1.46から1.31に低下、出生数も24,855人から18,521人へと大きく減少し、平均初婚年齢や第一子出産年齢、生涯未婚率もそれぞれ上昇している厳しい状況にあります。
この要因を分析し、強い危機意識の下、部局の縦割りを排し、出会い・結婚から妊娠・出産、保育・教育、就労に至るまで切れ目のない総合対策を推進する必要があります。本年夏頃を目途に「京都府子育て環境日本一推進戦略(仮称)」を策定し、市町村、企業、関係団体、地域のコミュニティ等の取組みを促すとともに、こうした団体と連携して社会全体で子育てを支える体制を構築します。

社会全体で子育てを支えようとするときに重要になるのは、子育て世代が多くの時間を過ごす職場・企業や、これからの未来を担う若者の共感を得て、それぞれの意識・行動に変革をもたらすことであります。
人材確保が企業経営の大きな課題となっている現在、子育てに優しく働きやすい職場づくりは、企業価値を高める取組みそのものであり、多様な働き方の実現は更なる人材確保へとつながるものです。こうした好循環が生み出せるよう、企業訪問を大々的に展開し気運を醸成するとともに、時間単位での有給休暇や短時間勤務制度の導入などを伴走支援し、子育てに優しく働きやすい職場の拡大を目指してまいります。

また、子どもの頃から乳幼児と接する機会を持てるよう、学校と連携したふれあい事業を推進するとともに、大学生などが働く前から子育てに対するイメージを持てるよう、仕事と育児の両立体験型インターンシップを拡充します。
安心して子どもを産み育てられる環境をつくり、出産・育児に対する不安や負担感の軽減を図ることも重要です。
核家族化が進行し、地域のつながりが希薄化する中、子育て家庭の孤立化を防ぐため、見守り支援を行う「赤ちゃん応援隊」の結成を推進し、子育て世代包括支援センターを核として地域全体で子育てを支える仕組みを強化します。

周産期医療体制の更なる充実を図るため、「京都府周産期医療体制強化に関する協定」に基づき、府立医科大学附属病院及び京都大学医学部附属病院において府北部の医療機関の小児科医・産科医を確保するとともに、府立医大病院のNICUを増床し、ハイリスク症例の受入体制を強化します。
専門的ケアを必要とする児童の支援ニーズに対応するため、府内各拠点において発達障害に係る相談支援体制を構築するとともに、保育所等に対する臨床心理士等専門人材の派遣を支援します。

千葉県野田市で、小学校4年生の女子児童が犠牲になる大変痛ましい虐待事件が起こりました。まさに胸が締め付けられる思いです。子育てに課題を抱えた家庭を早期に把握し、児童虐待、さらには、不登校・ひきこもりも含め未然防止を図り、早期支援につなげていくため、子育て世代包括支援センターや学校をプラットフォームとした総合的な支援体制を構築し、就学前から就学期、そして、卒業後に至るまで切れ目のない支援を届けます。

さらに、子育て世帯に対する経済的負担の軽減については、全国トップクラスを誇る子育て支援医療助成制度を更に拡充し、3歳以降の通院の自己負担上限額を半減させるとともに、高校通学費に対する支援を低所得世帯向けに拡充します。
未来を担う子どもたちの教育環境の充実も不可欠であり、情報化やグローバル化など社会情勢の変化に対応し、自らの人生を切り拓き、新たな価値を生み出し、社会を創造していくことのできる人材を育てていくことが必要です。
このため、主体的に学び、議論し、考えを深める時間の充実や情報活用能力の育成につながるよう、府立高校及び特別支援学校のICT化を計画的に進めます。また、地元企業や高等教育機関と連携して、府北部地域におけるものづくり人材の育成強化を図り、地元定着率が高まる教育環境を整備します。

特別支援教育については、山城地域における新設特別支援学校の整備を進めるとともに、向日が丘支援学校の校舎改築等に向け、教育と福祉が連携する構想策定を進めます。

【京都力を活かした文化・スポーツ・観光振興】

2つ目の柱は、京都力を活かした文化・スポーツ・観光振興です。

(文化首都・京都の未来づくり)

文化庁の京都移転を契機として、「文化首都・京都」のブランド力に更に磨きをかけてまいります。
京都の文化は、現在まで営々と引き継がれ、自然との関わりや国内外との交流を通じた人の営みによって洗練され、深められてきた、京都の強み、ブランド力の源泉であり、まさに京都力そのものであります。

文化の保存・継承から発展、創造、活用まで文化政策をより総合的に推進するため、今定例会に提案しております「京都府文化力による未来づくり基本計画」に基づき、多様な文化資源を活用した地域づくりや経済の活性化、伝統産業、先端産業、観光、食との連携等による新たな社会の創造に取り組んでまいります。
京都の作家・アートが国際的に評価される機会を設け、アート市場の拡大を図るため、文化庁と連携して、京都が誇る美術・工芸品の見本市となる、「京都国際アートフェア(仮称)」の2020年度開催を目指し、運営体制の構築や「KYOTO KOUGEI WEEK」など関連プレイベントの実施に取り組みます。

また、「宇治茶の文化的景観」の世界文化遺産登録を目指し、宇治茶ブランドの国内外への発信を強化するとともに、瓶入り宇治茶の普及拡大、喫茶文化の継承に取り組みます。
今年は、日本初開催となるICOM(国際博物館会議)や観光と文化をテーマとした国際会議が京都で開催されます。京都を訪れる多くの海外の方々に、府域の文化の魅力を伝えられる機会としてまいります。

(スタジアムを核としたスポーツ・地域振興)

今年から、ゴールデンスポーツイヤーズが始まります。この3年間を契機として、「する」「みる」「ささえる」スポーツ参画人口の拡大を図り、文化交流、観光振興など地域活性化につながるレガシー創出を目指してまいります。

京都スタジアムのオープンが間近に迫ってまいりました。
京都スタジアムは、京都のスポーツ振興の中核施設として、Jリーグの試合や国際試合、ジュニアや学生などの各種大会まで幅広い利用が可能な施設であり、地元と一体となって地域を盛り上げていく取組みを展開します。
また、府内最大の集客能力を有し、コンサート、物産展、文化イベントの開催や、スポーツ観光・歴史観光を含め、年間を通して府中北部地域に足を運ぶゲートウェイ機能を持った、府域活性化の拠点施設として活用を図ります。
スタジアム内にVR・eスポーツセンターを設置し、スポーツ観戦以外の新たな客層を開拓するとともに、保津川下りや大河ドラマなどとの連携により、森の京都エリアへの更なる周遊を促してまいります。

(観光総合戦略に基づく府域活性化)

そして、こうした文化やスポーツの力を求心力として、京都観光の振興を、京都産業の土台を支える総合政策として進めてまいります。

これまで、「もうひとつの京都」として進めてきた広域観光プロジェクトなどにより、各地域の観光入込客数は着実に増加し、観光地域づくりも進みましたが、依然として、京都市域の一部に観光客や観光消費が集中しています。
こうした課題に対応するため、私が本部長を務める「観光戦略総合推進本部」において、今般、最終案をとりまとめた「京都府観光総合戦略(仮称)」に基づき、「京都観光交流圏」における周遊・滞在型観光を促進し、府域の活性化を図ってまいります。

まず、京都力そのものである「文化」を活かした文化観光を切り口として、「文化財」「食文化」「歴史・スポーツ文化」といった府域への誘客を促す観光コンテンツづくりを進めます。特に、全国でも屈指の文化財資源を有する京都府の強みを更に発揮するため、文化財の保存と活用の好循環を創出します。
また、観光周遊カーシェアリングの推進や、ホテル、オーベルジュ、伝統的建造物を活用した宿泊施設、農家民宿の整備促進など、民間の知恵やノウハウを活用しながら、快適な周遊環境の実現や多様な宿泊施設の確保を図ります。

2020年のNHK大河ドラマの主人公が、京都ゆかりの明智光秀に決定いたしました。2025年大阪・関西万博の開催も控え、京都の持つ歴史・文化・学術への注目が一層高まる好機に、府内各地の多様な文化・観光資源をアピールし、地域の活性化や経済の好循環を生み出す機会としてまいります。

【京の産業の新展開】

3つ目の柱は、京の産業の新展開です。

(経済センターを核とした京都経済百年の計)

オール京都で進めてきた中小企業総合支援拠点である「京都経済センター」が完成し、3月にグランドオープンします。
「一年の計は穀を樹うるにあり、十年の計は木を樹うるにあり、百年の計は人を樹うるにあり。」と言われています。
京都の開業率は全国平均より低く、明治以前に創業した長寿企業が日本一多い中にあって、次代の京都産業を牽引する企業をどう育てていくかが課題です。
高い技術を持つ中小企業や、独創的なアイデアを持つベンチャー企業、起業を志す大学生などが、業種や分野を超えて経済センターに集い、「オープンイノベーションカフェ」で互いに刺激を受け合い、新たなビジネスが生み出される「共創の場」として機能するよう、交流と協働を促進してまいります。

あわせて、中小企業支援機能が集積するメリットを活かし、「中小企業応援センター」において、府内の中小企業が抱える様々な課題にワンストップで相談対応し、伴走支援するとともに、中小企業大学校の京都サテライト校における高度人材の育も含め総合的な人材育成にも取り組みます。

また、中小企業にとって深刻化する人手不足への対応も喫緊の課題です。
「京都人材確保・就労環境改善センター」において、人手不足に悩む中小企業への訪問を強化し、採用力向上をサポートするなど、京都ジョブパークを中心に、中小企業の人づくりから人材確保までを一貫して支援してまいります。
また、「京都府AI・IoT活用推進会議」を立ち上げ、ものづくり、観光、健康、環境、農業、建設など各分野において、関係機関と連携してAI・IoTの活用による課題解決と生産性の向上に取り組みます。
事業承継問題の解決なくして、地域経済の再生・持続的発展なし。
後継者不在による黒字廃業の増加により、京都の企業がこれまで培ってきた貴重な経営資産が失われることなく、次世代に円滑に引き継げるよう、「中小企業事業継続・創生支援センター」の北部相談体制を強化するとともに、後継者不在企業の掘り起こしを行い、マッチング支援を強化してまいります。

(農林水産業の活力強化)

京都産業のもう1つの要は、農林水産業です。

平成の幕開けとともに始まった、京野菜を中心とする京都産品のブランド化の取組みが30年を迎えました。売り上げは、初年度の3,800万円からこの30年間で約50倍に成長し、首都圏を中心にオンリーワンとしてのブランドを確立するだけでなく、今や海外展開も着々と進んでいます。

一方で、過疎高齢化の進展に伴い、農業現場における労働者数は10年で20%減少するなど、担い手不足への対応が喫緊の課題です。
マーケットイン型の生産体制を構築し、農家所得を向上させるとともに、鳥獣被害や自然災害による被害の軽減、農作業の省力化、熟練技術の継承等の課題を克服し、農業を将来性のある魅力的な産業にする必要があります。
このため、AIやドローン等の先端技術を活用した「スマート農業」について、京都の地域特性に応じた技術開発と生産現場への実装の両輪で展開します。
また、京野菜や「Kyoto Beef 雅」など府内農林水産物について、アジアを中心に海外への販路拡大を強化し、輸出額の増加を図るとともに、京の農業応援隊と中小企業応援隊が連携し、産地情報と実需ニーズのマッチングを強化します。

さらに、京都の都市農業の経営基盤強化や農地の多面的活用を推進し、「農」を通じた交流促進を図るため、都市農地活用相談所を設置し、担い手への農地流動化促進や体験農園の開設等を支援してまいります。

(消費税率引き上げを踏まえた中小企業等支援)

法に基づき予定されている消費税率の引き上げについては、中小企業等の対応をきめ細かくサポートし、地域経済に影響を及ぼさないよう、金融・設備導入支援や地域消費喚起対策など万全を期してまいります。

【暮らしの安心・安全の向上】

4つ目の柱は、暮らしの安心・安全の向上です。

(健康・長寿に向けた安心・安全)

超高齢社会を迎え、一人暮らしや高齢夫婦のみの世帯が総世帯数の4分の1を超えると見込まれる中で、住み慣れた地域で健やかに暮らし続けることが多くの高齢者の願いであります。

生活習慣病の予防など健康づくりを推進するとともに、病院・施設・在宅を有機的につなぎ、予期せぬ病気や事故に対する適切な医療・介護の提供体制を構築することで、安心の源となるよう取組みを進めてまいります。
健康寿命の延伸に向けては、健診・医療・介護データを分析し、地域の実情や個人のライフステージに応じた健康づくりにつなげるとともに、働き盛り世代向けの対策や民間企業と連携した健康無関心層へのアプローチなどにも取組みを広げ、誰もがより長く元気に活躍できる社会を目指してまいります。

地域包括ケアの推進に向けては、特に府北部地域等の在宅・地域医療の担い手確保につながる人材育成・確保プログラムの創設、介護福祉人材養成機関における北部フィールドワークの拡充、介護ロボットを活用した介護従事者の負担軽減など、医療・介護・福祉人材の確保を総合的に推進してまいります。

(安心・安全な暮らしを支える地域づくり)

地域の安心・安全を高めていくためには、地域の支え手を増やし、地域の絆を再構築することが必要です。
人口減少・過疎高齢化と家族の小規模化により、地域の支え合いの力が低下しつつある中、これまでの地域力再生の取組みを発展させ、子育て、見守り、介護予防、ひきこもりなど、地域の支え手が必要な課題解決のための支援体制を強化し、NPOや地域活動団体を資金・人材・ノウハウの面から支援します。

また、地域の暮らしを支える市町村の役割は重要であり、施策の相乗効果を高め、多様化する行政ニーズに効果的・効率的に対応する観点から、府と市町村、市町村相互間の連携を促してまいります。

さらに、年齢、性別、国籍の違いや障害の有無にかかわらず、多様な府民が地域社会の一員として尊重され、安心して暮らし、ともに支え合い、社会で活躍することができるよう、引き続き、共生社会の実現に取り組んでまいります。

社会参加に意欲的なシニア層と地域活動とのマッチング支援や、障害者就農人材の発掘・育成など農福連携の促進、「京都ウィメンズベース」を中心とした女性の活躍推進に取り組むほか、定住外国人の増加が見込まれる中で、外国籍府民のためのワンストップ相談窓口を設置し、日本語教育を含む総合的な対策を推進するなど、外国籍府民と地域住民が安心して共生できる社会の実現を目指してまいります。

(災害の教訓を踏まえた安心・安全の確保)

そして、安心・安全を語る上で欠かせないのが、頻発する自然災害への備えです。
大阪府北部地震、7月豪雨、度重なる台風などの災害の教訓を活かすため、現在、「災害対応の総合的な検証会議」を開催しており、その結果を地域防災計画の見直しなど今後の災害対応に反映させることにより、先進的な危機管理体制を構築してまいります。

特に課題となった住民の避難行動については、中小河川に避難開始を判断する目安となる水位を設定するとともに、地域防災の担い手となり、災害時に避難を呼びかける「災害時声掛け隊」を5年間で500名養成します。

また、戦後最大級の暴風により広域的に発生した風倒木被害からの復旧対策を加速してまいります。
森林所有者等による造林事業に加えて、所有者等では対応が困難な危険箇所は、所有者の同意を得た上で治山事業等を実施するほか、新たに、豊かな森を育てる府民税を活用した災害防止森林整備事業を創設し、人家裏や線路沿い等の被害箇所について、2年程度での復旧を目指します。

安心・安全基盤の整備については、国と一体になって進めている由良川・桂川関連整備、高野川・古川等の河川改修や天井川対策、「いろは呑龍トンネル」の雨水対策事業の推進などに加え、国の「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」を活用し、北近畿タンゴ鉄道の緊急安全対策、集落の孤立化を防ぐ道路整備、河道掘削や護岸工の整備、砂防事業による人命・財産等の被害防止などに取り組んでまいります。

また、万が一にもあってはならない原子力災害への備えとして、引き続き、UPZ市町の避難路の計画的な整備や屋内退避施設の充実など、実効性のある広域避難体制の確保を着実に進めます。

【未来を拓くまちづくり】

5目の柱は、未来を拓くまちづくりです。

林田府政、荒巻府政、山田府政の3代にわたり築き上げてきた京都府の南北140kmを直結する「背骨」によって、企業立地の進展、沿線主要観光地への来訪者の増加など、様々なストック効果があらわれてきています。

府南部地域においては、2023年度の新名神高速道路の全線開通を見据え、西日本最大級のアウトレットモール、大型物流拠点や工場など、既に活発な施設立地の動きが出ており、大きな民間投資の流れが着実に進んでいます。
こうした周辺環境の変化や時代のニーズに柔軟に対応できるよう、木津川運動公園について、地元の御意見もお聞きしながら整備のあり方を総合的に検討するとともに、アクセス道路も含めた東部丘陵地全体の整備が府域の活性化の起爆剤となるよう取組みを進めてまいります。

また、南田辺西地区において、引き続き環境影響調査を実施し、その結果を踏まえ、民間活力の導入による事業化を図るとともに、関西文化学術研究都市への多様な企業や研究機関の更なる集積を目指してまいります。

府北部地域においては、「海の京都」エリアの観光入込客数が1,000万人を超えるとともに、京都舞鶴港の国際クルーズ船寄港回数やコンテナの取扱量が増え、将来性を見込んで食品工場が稼働するなど、経済効果が生まれています。
こうした人流・物流の増加に対応できるよう、ふ頭の機能強化を図り、京都舞鶴港を核とした府北部地域や産業の活性化につなげてまいります。

このほか、府内各地域において広域的なまちづくりのグランドデザインを描き、京都の持つ強みを伸ばすチャンスを活かし、府域全体が一層活性化するよう、波及効果が拡大する取組みを進めてまいります。

【部制の改編】

ただ今申し上げた施策を推進していく組織体制については、新総合計画の策定を見据えつつ、待ったなしの重要課題に積極的に対応するため、執行体制の見直しを実施します。

防災・減災対策の一層の充実・強化のため、「危機管理部」を新設するとともに、環境部所管の下水道部門を建設交通部で一体的に所管することにより、治水対策の推進体制を強化します。

また、府民生活部と環境部を再編し、府民生活に身近な政策を担う「府民環境部」を設置するほか、府民生活部が所管する青少年の健全育成や非行・ひきこもりへの対応などを健康福祉部で一体的に所管することにより、子育て環境日本一の実現に向けた推進体制を強化します。

【行財政運営】

次に、施策を支える京都府財政の状況でありますが、府税収入は税源移譲の影響を除き実質的に約54億円の増収が見込まれるなど、府内景気の緩やかな拡大基調を反映しております。一方、社会保障関係費が幼児教育無償化の影響も含め約41億円の増が見込まれるほか、平成30年度災害への継続的対応も含め災害復旧費の当初予算計上額が約69億円と過去50年間で最多となるなど、引き続き厳しい状況となっています。

このため、府民ニーズに即した事業の見直しや歳入確保の取組みなどにより約96億円の行財政改革を行うとともに、府営住宅への指定管理者制度の導入やキャッシュレス納税の推進など、府民サービスの向上と効率的な事業実施を図りながら、新たな施策に必要な財源の確保に努めたところであります。

さらに、新総合計画に盛り込まれる施策を着実に実行していくため、新しい行財政改革プランを策定し、府民サービスの質の一層の向上を目指した取組みを推進してまいります。
また、国、市町村、経済界や大学、各種団体や府民との連携により、オール京都の力を結集しながら、効果的・効率的で柔軟な行政運営に努めるとともに、府市協調については、京都市域の強みを府域全体に波及させる一方で、府域の強みを京都市域に活かせるよう、施策の更なる相乗効果の発揮を目指します。

以上が、平成31年度の府政運営に対する私の基本的な考えであります。府議会の皆様の御理解と御協力を賜りますよう、心からお願い申し上げます。

【提出議案】

最後に、今定例会に審議をお願いしております議案についてでありますが、ただ今申し上げました施政方針に基づき編成いたしました平成31年度当初予算案及び国の補正予算を踏まえた平成30年度補正予算案のほか、条例の制定・改正や財産の無償貸付け、指定管理者の指定に関する案件など、全44件の議案の審議をお願いしております。

御議決いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

お問い合わせ

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