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令和5年2月2日
本日、ここに2月定例府議会を招集いたしましたところ、議員の皆様におかれましては、御多忙の中お集まりいただき、まことにありがとうございます。
新型コロナウイルス感染症につきましては、令和2年1月30日に京都府内で初めての感染者が確認されて以来、3年が経ちました。改めて、医療現場の第一線で御奮闘いただいている医療従事者をはじめ、全ての皆様の御理解と御協力に対し、心から感謝を申し上げます。
それでは、令和5年度の京都府政の施政方針及び提出議案の概要を申し上げます。
令和元年10月、私は、2040年に実現したい京都府の将来像をこのように掲げ、府政運営の羅針盤となる京都府総合計画を策定いたしました。しかしながら、令和2年1月以降、新型コロナウイルス感染症の拡大により、命と健康への不安が社会を覆い、人と人との交流を伴う従来の社会経済活動が停滞を余儀なくされ、私たちの日常や社会のありようが一変しました。
令和4年に入ってからは、ロシアのウクライナ侵攻により、世界の平和と発展を支えてきた国際秩序の根幹が脅かされるとともに、サプライチェーンの混乱や物価高騰に拍車がかかり、私たちの生活にも甚大な影響が生じております。
この間、私たちの社会が未知の感染症に対して脆弱であることや、エネルギーや食料といった暮らしや産業を支える土台もまた脆弱であること、経済・雇用情勢の悪化が、特に社会的に弱い立場にある方々や中小企業等に深刻な影響を及ぼし、しわ寄せが生じていることなど、積み残されてきた多くの課題が改めて浮き彫りになりました。また、日本の2022年の出生数が、統計開始以来、初めて80万人を下回る見込みとなるなど、少子化・人口減少、地域社会の衰退といった構造的な課題も一層深刻なものとなっております。
一方で、歴史を画するような出来事が起こる過程において、人と人とのつながりや地域の絆、心にうるおいや豊かさをもたらす文化の力、リスクや変化に耐え得る多様な産業の集積といった、京都が長い歴史の中で築き上げてきたものの価値が再認識されました。また、感染リスクの回避やテレワーク、オンライン会議の普及等を背景とした働き方や生き方の多様化は、地域とのつながり方の多様化をもたらすことにもなりました。
さらには、今後、文化庁の京都移転、新名神高速道路の開通、大阪・関西万博といった京都の発展のチャンスが訪れようとしています。
社会がまさに歴史的とも言える大きな転換点を迎える中で、「一人ひとりの夢や希望が全ての地域で実現できる京都府」への歩みを進めて行くためには、府民の皆様が、安心して、豊かに暮らし、将来に向かって夢を抱ける社会でなければなりません。そのためには、今こそ京都の力を結集し、人々の支え合いによる「あたたかい社会」をつくり、日々の生活を守っていかなければなりません。
この決意のもと、新しい府政運営の方向性や取組みをいち早くお示しする必要があると考え、府議会の御議決をいただき、総合計画を1年前倒しで改定いたしました。
令和5年度当初予算は、総合計画の改定を踏まえた「あたたかい京都づくり発進予算」であります。誰もが未来に夢や希望を持てる「あたたかい京都づくり」を府民の皆様に実感していただく第一歩として、「安心」「温もり」「ゆめ実現」の3つの視点に基づく施策が力強く発進できるよう、全力を尽くしてまいります。
また、各施策の推進に当たっては、府民の皆様との信頼関係のもと、地域、企業、大学など様々な主体との連携を一層深めるとともに、府域の均衡ある発展に向けて現地・現場主義を徹底し、諸課題の解決を図っていくことを基本としてまいります。
あわせて、物価高騰等を踏まえ、引き続き緊急対策を講じてまいります。
まず、物価高騰・新型コロナ等克服対策です。
コロナ禍で厳しい経営環境にある中小企業等を支援するために実施した、無利子・無担保・無保証料のいわゆる「ゼロゼロ融資」の返済が令和5年度から本格化します。府内中小企業をはじめ多くの皆様からは、コロナ禍の長期化や物価高騰等により経営状況が改善せず、返済の目途が立たないといった不安の声をいただいております。そこで、伴走支援型経営改善おうえん資金の融資要件を緩和し、ゼロゼロ融資からの借換や追加の資金需要に対応するとともに、信用保証料負担の軽減や
「金融・経営一体型支援チーム」によるきめ細やかな伴走支援、売上げ向上や経営改善に向けた事業再構築支援等を実施し、行政・金融機関・経営支援団体が一体となったオール京都で、中小企業の事業継続と雇用維持を後押しします。
また、本年10月から開始されるインボイス制度の円滑な導入に向け、経営相談窓口を設置します。
このほか、農林水産事業者のコスト削減や販売力強化につながる取組みへの支援、社会福祉協議会等を通じた食料品や生活必需品の配布等により、暮らしと経済の下支えを図ります。
コロナ対策についても、感染状況や国の制度改正の動向等を注視しつつ、医療提供体制の確保をはじめ、引き続き万全の対策を講じてまいります。
こうした緊急対策を講じた上で、「安心」「温もり」「ゆめ実現」の3つの視点に基づく施策により、「あたたかい京都づくり」への第一歩を踏み出してまいります。
1つ目の柱は、全ての営みの土台となる「安心」です。
まず、安心できる健康・医療・福祉の実現です。
人生100年時代に対応した、府民が安心して地域生活を営むことができる、危機に強い健康・医療・福祉システムを創り上げるとともに、質の高い持続可能なサービスをどの地域でも受けられるよう、地域や産業と一体となった環境づくりを進めてまいります。
コロナ禍等により孤立・孤独が深刻化している状況を踏まえ、社会福祉法人が行う世代間交流イベントや子どもの見守り等の地域貢献活動に対する支援を拡充します。
府立医科大学については、施設老朽化への対応と高度急性期・先進医療を担う病院としての機能強化を図るとともに、感染症への即応など医療を取り巻く環境の変化も踏まえ、施設整備計画を策定します。
北部医療センターについては、地域の中核病院かつ災害拠点病院として将来の医療需要に対応するとともに、大学附属病院としての教育・研究機能を充実させられるよう、早期の建替えを目指して基本構想を策定します。あわせて、府北部地域の看護師確保に向けた府立看護学校の機能拡充や整備等に向けた検討を進めます。
このほか、地域包括ケアをはじめとする高齢者にやさしいまちづくりや、児童虐待対策の強化、がんや難病対策、ひきこもりの方々の自立支援など、住み慣れた地域社会の中で、安心して暮らせる居場所づくりや環境づくりを着実に進めます。
次に、災害・犯罪等からの安心・安全です。
本年は、関東大震災から100年、京都府においても南山城水害から70年の節目を迎えます。
あらゆる分野に潜むリスクに対し、危機を未然に防ぎ、被害を最小限に抑える対策や仕組みづくりを進め、あらゆる危機事象に迅速かつ的確に対応できる「危機に強い京都」を構築してまいります。危機管理センターについては、令和5年度の一部稼働・令和6年度の本格稼働に向けた整備を進め、自然災害や大規模事故等の発生時における対応機能の集約化や受援機能の強化を図ります。
また、府内最大の被害が想定される花折断層帯地震をモデルとして、詳細な被害想定の調査を実施するとともに、発災から応急復旧までのシナリオを作成し、防災体制の見直しや府民の防災意識の向上に役立てます。また、地域防災のリーダーとなる防災士を養成するための資格取得に必要な研修を実施し、地域の「自助・共助」の力の醸成を図ります。
さらに、激甚化・頻発化する自然災害に備え、河川改修や砂防・治山事業等の防災・減災対策、浸水想定区域等の災害危険情報の活用促進、消防団の強化等を着実に進め、ハードとソフトの対策が一体となった先進的な危機管理体制の構築を目指します。
犯罪により被害を受けた方等への支援については、今定例会に審議をお願いしております「京都府犯罪被害者等支援条例案」に合わせ、京都府、市町村、警察、京都犯罪被害者支援センター等が一体となったワンストップ支援調整会議を設置するとともに、犯罪被害者等の状況に応じて必要な支援をコーディネートする社会福祉士を配置し、犯罪被害者等に寄り添ったきめ細やかな伴走支援体制を構築します。
また、カウンセリングや一時避難に係る宿泊、弁護士委任に係る費用への支援を拡充します。
サイバー犯罪対策については、京都府警察サイバーセンターを設置することに伴い、最新技術に対応した解析能力の習得や高性能解析資機材の導入等により、サイバー犯罪の巧妙化や多様化に対応できる捜査基盤を構築します。また、医療機関や中小企業に専門家を派遣し、情報セキュリティ向上のための相談や助言等を実施します。
2つ目の柱は、全ての人を包み込み、絆を守る「温もり」です。
まず、子育て環境日本一・京都の実現です。
子どもが社会の宝として、地域の中で見守られながら健やかに育ち、子どもたちのいきいきとした姿と明るい声が響きわたる社会は、全ての人にとって暮らしやすい社会です。コロナ禍において、人と人との交流機会が減少し、子育て世代の孤立化が懸念される中で、改めて、子どもや子育て世代を社会全体で見守り支えていくことの重要性を認識いたしました。
社会全体が子育ての主体として、負担や苦労、喜びを分かち合う「社会で子どもを育てる京都」の実現に向け、「子育て環境日本一」の取組みを進化させてまいります。
子育てにやさしい風土づくりについては、WEラブ赤ちゃんプロジェクトや、商店街と連携した使用済おむつ回収機の設置等の取組みを引き続き展開するとともに、府民の子育てにやさしい行動事例に関するコンテストや動画配信等を実施し、オール京都で具体的なアクションを起こしていくための気運醸成を図ります。
また、子育てにやさしいまちづくりについては、地域内に点在する子育て支援拠点の集積や連携等を図ることにより、エリアが一体となった子育て環境整備が進むよう、市町村の取組みを支援します。
子育てにやさしい職場づくりについては、多様な働き方推進事業費補助金に、病児保育コースを新設し、ベビーシッターの派遣や子連れ出勤スペースの設置等を支援するとともに、育児休業取得促進コースを新設し、就業規則の改正や企業風土変革のための研修会の開催等を支援します。
さらに、「社会で子どもを育てる京都」の理念を府民の皆様と共有し、オール京都での取組みを一層推進していくため、本年秋頃までに、「京都府子育て環境日本一推進戦略」を子育てに関する総合的な戦略として改定します。
子育て支援医療助成制度については、全ての子育て家庭を社会全体で支える観点から、所得制限を設けず、京都府と市町村が一体となって全国トップクラスの制度をつくり上げてまいりました。現行制度では2歳児までとしていた、通院の自己負担上限額を1医療機関あたり月200円とする助成対象を小学校卒業まで拡充し、子育て家庭の経済的負担の更なる軽減を図るとともに、市町村における子育て支援策の充実を促進します。
また、保育の質の向上を図るため、私立保育所等が行う遊具や園舎・園庭等の施設整備のほか、保育士のオンライン研修環境の整備や発達障害児への対応力向上のための取組みを支援します。
「教育環境日本一」に向けては、児童生徒の意欲を向上させ、個々の力を伸ばす取組や、特別な支援を要する児童生徒の増加への対応など、教育現場の様々な課題に対応するため、市町村による地域の実情に応じた特色ある取組みを支援する「子どもの教育のための総合交付金」を創設します。
また、老朽化が進む府立高等学校等の空調設備について、児童生徒が利用する普通教室や特別教室に係る設備更新を、令和7年度までの3年間で完了できるよう、更新ペースを大幅に加速します。
婚活応援については、市町村やNPO、企業等による地域の婚活イベントを支援し、府内全域で出会いの機会を充実させるとともに、AIマッチング等による効果的な支援を実施します。
さらに、国の出産・子育て応援交付金事業により、市町村と連携して子育て世代の負担軽減や寄り添い支援の充実を図るほか、京都府独自の不妊治療費への助成や、きょうとこどもの城づくり事業、子どものための京都式少人数教育の推進、私立高等学校あんしん修学支援など、出会い・結婚から妊娠・出産、子育て、保育・教育、就労に至るまでの切れ目ない支援を実施します。
次に、誰もが活躍できる生涯現役・共生の京都の実現です。地域や社会との絆を大切にしながら、新たな働き方や多様な価値観の広がりを踏まえた就労等の機会の提供や能力の開発を進め、多様な人材が社会参画し活躍できる共生社会を実現してまいります。
京都府生涯現役クリエイティブセンターについては、支援対象を全世代に拡大するため、転職特化プログラムの新設やキャリアコンサルタントの増員等により機能を強化するとともに、同センターを核として関係団体の交流を促進し、産・学・官・労のオール京都でリカレント教育を推進できるよう、気運醸成を図ります。また、首都圏等へのUIJターンの働きかけの強化に合わせ、高度人材の労働移動支援プログラムの実施を検討します。
女性の活躍に向けては、京都ウィメンズベース、マザーズジョブカフェ、男女共同参画センター「らら京都」の連携によるワンストップ拠点において、子育てしながら働きたい女性や、ひとり親家庭の方々等のニーズに応じた一体的支援を実施します。
このほか、多様な人材の活躍を推進するため、障害者雇用に関する中小企業等への助言や、中高年齢者への就業セミナーの実施、就職氷河期世代へのアウトリーチ支援等に取り組みます。さらに、医療的ケア児の通学時の安全確保や、子どもの居場所における中高生のヤングケアラーへの学習支援、農福連携による障害がある方への就労支援等により、誰もが温もりを感じられる社会づくりを着実に進めます。
次に、共生による環境先進地・京都の推進です。
ライフスタイルの変化を環境負荷の低減につなげるとともに、環境に配慮した活動を地域経済の活性化につなげ、環境と暮らしと経済の好循環を目指す、環境と共生した社会づくりを推進してまいります。
2050年温室効果ガス排出量実質ゼロの実現に向けては、将来的な環境関連団体の施設集約や組織統合を見据えた事業連携や共同事業を推進するため、「環境プラットフォーム」を構築し、まずはデジタルツール等を活用した環境学習プログラムの作成や府内小学校への提供を行います。
生物多様性の保全に向けては、企業、研究機関、環境保全団体等との連携のもと、京都市との協調により府立植物園に「きょうと生物多様性センター(仮称)」を設置し、オール京都で多様な主体のネットワーク形成や保全活動の推進を図るとともに、希少野生生物を生かしたブランド商品の創出など、ビジネスの可能性を調査します。
また、肥料や飼料の価格が高騰し、今後の見通しも不透明である状況を踏まえ、府内での飼料作物と堆肥の循環による持続可能な農業を推進するため、耕種農家と畜産農家とのマッチングや、飼料・堆肥の広域流通を支援します。
3つ目の柱は、夢や希望、魅力や活力の源泉となる「ゆめ実現」です。
まず、未来を拓く京都産業の創造です。
京都産業の強みである多様性を生かしながら、様々な主体が連携・融合することにより、しなやかでリスクに強く、社会課題を解決し、世界に通用するオープンイノベーションを生み出し続ける持続可能な産業社会を創造してまいります。
このため、府内各地に「産業創造リーディングゾーン」を構築し、歴史や文化、研究機関の集積といった地域の強みを生かしながら、次代を担う企業や産業を創造していくための拠点づくりを進めます。伝統産業については、丹後地域と西陣・堀川地域を拠点に、世界中からデザイナーやアーティスト等が集まり、テキスタイル開発から試織、製造、展示、発信、販売までを一貫して行う世界的なシルクテキスタイルの総合産地の形成を目指して、国内外のクリエイティブ人材を織物産地に招聘する現地滞在型プログラムを実施するとともに、Kyo-Densan-Bizにおいて海外マーケットへの展開や新商品の開発等を支援します。
アート&テクノロジー・ヴィレッジについては、本年10月の開設に向けて施設整備を進めるとともに、開設後には、海外の企業や大学等との相互交流や連携を促進するほか、商品・サービスの提案に関するイベントの開催等を支援します。
このほか、農林水産業や食品産業の振興に向けて、本年3月に策定予定の
「京都フードテック基本構想(仮称)」の具体化を図るとともに、脱炭素のまちづくりを進めるZET-valleyについては、交流拠点の整備に向けた検討を進めます。また、太秦エリアにおいて、コンテンツ関連企業と異業種企業との垣根を越えた国際的なイノベーション拠点を形成するための調査・検討に着手します。
さらに、リーディングゾーン全体の磨き上げや、府内全域での更なる展開を図るため、一元的な広報・企業誘致体制を構築するとともに、産・学・公が連携して行う新技術の実証実験等を支援します。
スタートアップ支援については、令和元年12月に京都府、京都市、産業界等によるオール京都の京都スタートアップ・エコシステム推進協議会を設立するとともに、起業家の集積と育成を支援する「起業するなら京都・プロジェクト推進事業」や、世界から投資を呼び込む「世界に伍するスタートアップ支援事業」を実施し、全国有数のスタートアップ拠点を形成してまいりました。その上で、今後、ユニコーン企業の輩出を目指して、外国人起業家の集積と世界レベルの海外進出環境の整備を図るため、海外人材の長期滞在型プログラムや、国際スタートアップイベントの開催に取り組みます。
このほか、中小企業等の人材確保への支援、伝統産業やものづくり産業における生産性向上の取組みや産学連携事業等への支援、農林水産事業者が行う機械・施設整備への支援等により、多様な京都産業の下支えを図ります。
次に、文化の力で世界に貢献する京都の実現です。
本年3月27日に、いよいよ文化庁が京都に移転します。歴史に裏付けられた、多様性と寛容性のある京都の文化を土台として、京都から文化の創造と発信を行い、多彩な交流を図ることにより、活力とうるおいのある豊かな社会を築き上げ、世界に貢献する「文化の都・京都」を実現してまいります。
文化庁の京都移転に合わせ、京都府、京都市、経済団体などオール京都で立ち上げたプラットフォームを中心に、ArtCollaborationKyotoをはじめとする芸術、音楽、ステージパフォーマンス、和食など多種多様な文化イベントを開催し、京都中を文化で彩り、「文化の都・京都」を国内外に発信します。
また、文化芸術活動への総合的な支援や国際音楽祭の開催など、新しい文化政策の潮流を京都から生み出していくための検討を進めます。
さらに、府庁旧本館を「文化の都・京都」にふさわしい施設にするための再整備に向けた検討や、府民の憩いの場としてのカフェの設置など新たな利活用方策の検討を進めます。
丹後郷土資料館については、丹後地域の歴史・文化・観光の拠点施設となる博物館を目指して、令和8年度のリニューアルオープンに向けた整備を進めます。
北山エリアについては、令和6年の府立植物園開園100周年に向けて、博物館機能や研究機能の強化等について検討を行うほか、エリア全体の整備内容等について専門家等の意見を聴きながら調査・検討を行うとともに、府民への周知と理解促進を図ります。
次に、交流と連携による活力ある京都づくりです。
大学の集積や大都市から地方への分散の機運を生かした多様な主体による交流と連携をベースに、それぞれの地域のポテンシャルと持続可能性を高め、国内外から人や企業を惹きつける魅力と活力に溢れる地域づくりを進めてまいります。
「大学・学生のまち京都」の魅力を充実・強化していくため、昨年8月に創設した「京都府地域共創大学連携会議」において、大学の「知」と学生の活躍を活かした京都の未来の活力づくりや、学生の府内定着を推進するための取組みの方向性を検討します。あわせて、子育てや観光、地域づくり等の分野において、学生の力を課題解決につなげるモデル事業を、大学等との共同により実施します。
観光については、コロナ禍を通じた環境の変化等を踏まえ、「京都府観光総合戦略」を改定し、観光による交流の活性化と、持続性の高い観光の実現を目指してまいります。
また、「食の京都」による府内周遊観光を推進するため、地域の「いちおし食材」や「食の京都TABLE」の充実を図るとともに、京都市との協調により、京都市中央卸売市場第一市場にPR拠点を設置します。
大阪・関西万博に向けては、行政、経済団体、有識者等によるオール京都の推進体制のもと、機運醸成や府域への誘客促進を図るとともに、万博会場の京都ブースの展示に向けた設計を実施します。
このほか、人口減少が進む農山漁村での「選択と集中」による持続可能な地域づくりへの支援や、向日町競輪場の施設整備等に向けた基本構想の策定に取り組みます。
「あたたかい京都づくり」に向けた施策を効果的に推進していくためには、人・物・情報・日々の生活の基盤づくりが必要不可欠です。
山陰近畿自動車道については、早期の全線開通に向けて、ルートが未確定な区間の都市計画の決定に必要な調査等を実施します。
また、生活交通バスの路線維持への支援や、鉄道とその沿線地域への誘客促進、耐震化やバリアフリー化等による鉄道輸送の安全性と利便性の向上等により、地域の移動手段を支えるとともに、新名神高速道路や山陰近畿自動車道へのアクセス道路の整備やバイパス整備、現道拡幅等の道路整備、京都舞鶴港国際ふ頭2.期整備など、府民の生活・交流の基盤づくりを着実に進めます。
誰もが恩恵を受けられるデジタル社会の実現に向けては、京都府スマート社会推進計画を改定し、府民の利便性向上や業務効率化等の観点からDXを一層推進します。
さらに、徹底した現地・現場主義のもと、府域の均衡ある発展を目指していくため、総合計画に掲げる8つの広域連携プロジェクトや地域振興計画を推進するとともに、私自身が現地にお伺いし、肌で感じた課題や現場の声を施策の立案と実行につなげてまいります。
ただ今申し上げました施策を推進していく組織体制については、総合計画を着実に推進するとともに、複雑・多様化する課題に迅速かつ的確に対応するため、執行体制の見直しを実施します。
今後ますます全庁横断的な取組みが求められる環境部門と大学部門を政策立案部門に集中させ、総合調整機能を強化するため、「総合政策環境部」を設置します。また、「日々の生活の中で文化が自然と育まれる京都」を将来に引き継いで行けるよう、府民生活部門と文化部門の施策を一体的に所管する「文化生活部」を設置するほか、上下水道に関する公営企業部門を建設交通部で一体的に所管することとし、効果的・効率的な経営を促進します。
次に、「あたたかい京都づくり」を支える京都府財政でありますが、府税収入は法人2税の増などにより約40億円の増収が見込まれるものの、社会保障関係経費をはじめとする一般行政経費の増加や公債費の高止まり等により、引き続き厳しい状況となっております。
このため、府民ニーズに即した事業の見直しや未利用地の売却等の歳入確保の取組みのほか、事業全般にわたる財源の見直しや公共施設等の省エネの推進など、効率的な事業実施を図りながら、約92億円の行財政改革を行い、新たな施策に必要な財源の確保に努めているところであります。さらに、将来にわたって持続可能な行財政基盤を確立していくため、次期行財政改革プランを策定します。
以上が、令和5年度の府政運営に対する私の基本的な考えであります。府議会の皆様の御理解と御協力を賜りますよう、心からお願い申し上げます。
最後に、今定例会に審議をお願いしております議案についてでありますが、ただ今申し上げました施政方針に基づき編成いたしました令和5年度当初予算案及び国の補正予算を踏まえた令和4年度補正予算案のほか、条例の制定・改正や財産の無償貸付け、指定管理者の指定に関する案件など、全40件の審議をお願いしております。御議決いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
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