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第3回京都府まちづくりワークショップ

地域資源を活かした美しさと賑わいのあるまちづくり

 

今回のワークショップ

平成16年3月24日(水曜日)、「みやづ歴史の館」で、京都府立大学の宗田好史先生をコーディネーターに迎え、徳田宮津市長をはじめ、府民、各種住民団体、行政職員等約70名が参加してワークショップを行いました。

今回は、宮津市の既成市街地を対象地区として、参加者の視点で発掘・再発見していただいた地域資源(その土地の良さ)やそれをまちづくりに活かすアイデアを提案者から発表いただいた後、コーディネーターの助言を得ながら、今後の宮津市のまちづくりやみんなで考えるまちづくりの大切さについて意見交換を行いました。

(主催)京都府、宮津市、京都府都市計画協会

写真第三回ワークショップ開催模様

 

1.アイデア発表

宮津市での会議開催事前にアイデア募集を行ったところ、地元のまちづくり団体や京都市内の大学生等から10件の提案が寄せられ、当日は、8件について提案者から発表がありました。(欠席2件については、事務局から提案の内容を紹介。)

(1)地域の住民団体「美しさ探検隊」

平成13年の発足以来、まちの美しいものから宮津のまちづくりを考える取り組みを行ってきた。近年整備され、きれいで広くなった京街道や中町通りで、宮津祭りや宮津踊りを行い、町を結びつける取り組みを行ってはどうか…。

(2)谷さんのチーム(京都国際建築技術専門学校)

まちの中心を流れる大手川のロケーションの活用は、まちづくりにとても重要である。
しかし、最も大きな宮津の魅力は、地域の人にあり、地域の人々が快適な生活を送れるためのまちづくりが、まちに活気を取り戻すことにつながるのでは…。

(3)太田さん(アートネットワークみやづ)

小さな町宮津の鳥瞰図「アート散策マップ」を作成し、町の良さのアピールとリピーターを増やす活動をしている。美しい海と山に囲まれた小さな町が文化(アート)で彩られることを仲間達と夢見ている。

(4)根本さん、田村さん、藤岡さん(京都工芸繊維大学)

宮津の町については知識がほとんどないが、観光という点で地域の心が一つになっていると感じた。しかし、海や港といった地域の良さがうまく活かせていない。丹後の玄関口としての方向性と宮津港を活かして、フェリーや魚市場を観光の視点に取り入れてはどうか…。

町を活性化するためには、人々の意識や心の問題が大切だと思っている。宮津には水辺(海、川)等の自然と人々が対話できる環境があることから、体験等を通して周囲の自然等と対話ができる仕組みが必要では…。
観光客という立場からの素直な意見としては、様々な地域資源をサインを用いてネットワーク化すれば、相乗効果として地域の良さが引き出せると感じた。

 

(5)矢ヶ崎先生、中山さん(京都工芸繊維大学)

宮津を歩いてみると、道幅と建物の高さのプロポーションが非常に心地よく、安心感のある街並みがある。また、地域内のお寺には宮津市史にも紹介される建築彫刻が残されている。さらに、市役所の庁舎も建築史の中で誇るべき建物である。行政指導でなく、住民の工夫により、今の時代が歴史になった時にも、誇れるまちづくりを願いたい。

(6)池田さん(東京大学大学院)

「YOUKINATTA(地域の言葉:いらっしゃいませ、または、良くきたね)プロジェクト-商業者のもてなしの力をまちづくりに活かす-」が発表のテーマである。町をゆっくり歩いて、そこで楽しむ時間を過ごす町中観光(都市型観光)を地域の産業に取り入れてはどうか。そのためには商業者を中心に、人々をもてなす力や心を町の資源として活かすまちづくりを進めていくことを提案する。商業者に負担にならない範囲で、商品やサービスの付加価値を高め、幅広い客層を獲得する。来訪者の視点・要望等に応えられるもてなしに努力することで、商業者がまちづくりに参加することが必要ではないか…。

(7)豊浦さん(宮津高校建築研究部)

宮津の自然、歴史、暮らしは観光と深い関わりがある。環境の良さ景観の美しさを大切にしたまちづくりを行えば、潤いがあり、誰もが訪れたくなるまちになると考えている。次の3つのキーワードのとおり、夢のまちづくりを提案したい。

<にぎわいのリング>

市役所の中庭・屋上を開放し活用した景色を見ながらが楽しめる空間。

<水のリング>

大手川の水辺等を活用して周辺の公園や教会等を連結した空間。

<もてなしのリング>

商店街を活用した市民交流、観光客へのサービス空間。

(8)小宮さん(京都府文化財保護課)

地域資源というと文化財が頭に浮かぶ、また、文化財は観光と密接な関係にある。地域に残る古い建築物を文化財指定して、それを核にまちづくりをしたら良いのではないかと思いがちだがそうではない。
住民などが自分の町をどうしたいかというのが一番大事であり、「歴史を知って何かをしたい。ヒントを求めたい。」という行為がまちづくりにつながると考えている。

(9)今井さん:宮津市在住 事務局から紹介

大学や専門学校など人の集まる施設を作ることが良いのではないか。京街道通りの暁星女学校の跡地などを活用してはどうか…。

(10)田村さん:宮津市在住 事務局から紹介

昨年宮津インターチェンジが開通し、全国から多くの人がお越しになる。道路整備ができた反面ソフト面が遅れており、残念にも通過の町になっている。宮津のまちづくりには統一した理念や規約といったものが必要と考える。働く者が自分のまちをどうしたいか、方向性を決めて取り組むことが大切ではないか。接客サービス向上やまちを散歩してもらえる工夫が必要では…。

2.意見交換

(地元住民、学生等)

  • 声をかければ手を貸していただける、そんなまちに!
    会場まで車椅子で来ました。車椅子では不便なところが結構あります。駅や町中では段差が気になりました。京街道(新浜松原線)のような段差の少ない歩道が駅前町中にもあればと感じました。大手橋のライトアップやアーケードも考えて欲しいと思いました。丹後には幾つもの歴史があるので、これを活かしてアーケードでは地域のイベントができるのではないでしょうか。声をかければ手を貸していただける、そんなまちになって欲しいと考えています。
  • 宮津のまちづくりの方向性はどんなものだろうか?
    宮津は海があっての町という思いから、海が見える場所等に配慮が必要と感じた。
    また、市場などのPRも観光振興や地域発展という点で地域の人々と話すことが大切。まちづくりのコンセプトもたぶん幾つかあり、組み合わせをうまく考えていくことが大切。若者の意見を聞くことも必要では…。
  • 駅前に、この町が一目で分かるマップが欲しい!
    宮津市と相談などして、実現に向けた活動に今後も取り組みたい。
  • 本町商店街が、今後のまちづくりのキーの1つに!
    まちづくりのキーの一つが、私たち(商店街)の役割にあるのだと緊張の中にも決意を持った。参加者のみなさんが、本当に商店街のことを思ってくださっていると感じたことを謙虚に受け止め、今後とも頑張っていきたい。
    何もないと思っていた宮津に対して、今日は、若い方からいい話を聞くことができて、年寄りながらもう少し頑張らねばという気持ちになった。
  • 大手川の今後の整備についての意見は?
    宮津は江戸時代から町の形が維持されてきている。公共事業を実施するときには、後々後悔しないよう住民と真剣な意見交換をして新しいものを作ることが、まちづくりにとって大切だと思っている。大手川の整備についても建物の移転等が必要となり、生活の再建を考えながら進めている。既存の町、住民のことをまちづくりとともにどのようにするかが課題である。

3.まとめ 宗田先生

冒頭から宮津には、海と山、豊かな自然に囲まれた地域資源があるということを皆さんからご提案いただきました。この宮津の魅力を美しいものとして全国に発信していくためには、住民の皆さん方の連携、連帯が必要だということもまた明らかになりました。小さな町ですが、皆さん方の思いがバラバラであっては決していい町はできない。こういう機会を通じて話し合っていく中で、皆さん方の気持ちの中に、具体的な形をひとつずつ持てるようになってきたと思います。太田さんにご紹介いただきましたマップひとつとっても、マップにまとめてくださったご努力のおかげで宮津の魅力がまた一段と輝きだした。このマップが最初の一歩だとすると、次から次へとこういう皆さん方の思いを束ねるような、この宮津の魅力を束ねるような形のあるものがこれから少しずつふえてくる。そういうまちづくり提案が地域資源を活かした美しさとにぎわいのあるまちをつくっていく非常に重要な方向ではないかというようなことが今日はよくわかりました。ひとつひとつの個性ある発表が、特に若い方たちの元気な発表、斬新な発表というのが我々大人たち、おじいさんたちを大変励ましてくれました。我々では本当に気がつかないようないい写真を撮ってくださって、いいアングルを見つけてくださって、本当にインパクトのある楽しい発表会だったと思います。

宮津の賑わいのあるまちづくりを実現するためには、まず宮津の皆さんのもてなしの気持ち、あたたかい心が求められるということであったと思います。
ご提案いただいた皆さん方にもう一度感謝をしたいと思います。

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