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ほんの2週間ほど前まで雪が舞っていた鴨川にも春の足音が響き始めました。秋に綺麗に刈り揃えられた土手にもちらほらと野草の花が咲き始めました。薄い青色の小さな花がその先陣を切っています。よく見ないと見落としてしまう小さな花の中で早咲きのタンポポが一輪だけ咲いていました。
<オオイヌノフグリ>
そのタンポポに気付いてカメラを向けて初めて気付くその存在。一人だけ目立つ存在が時には「スタンドプレイ」などと揶揄されるという場面にも遭遇しますが、今回はその存在が周りの存在を気付かせてくれました。
<セイヨウタンポポ>
別の場所ではシロバナタンポポが花を咲かせているその横では、既に種になって飛び立とうとしている気の早いタンポポも見えます。
<シロバナタンポポ>
<既に種が飛び出しそうなものも>
草刈りの際にチョコンと残しておいてもらえたスイセンも花を咲かせました。
<スイセン>
橋の上から中洲を覗くと、そこにも黄色い花が見えます。こちらは周りの草に隠れるように咲いていました。
<イヌナズナ>
ユキヤナギも桜と同じ頃真っ白な花で足元を飾ります。青い芽を付けてその準備を着々と進めているようです。
<ユキヤナギ>
そんな春の気配と4月の様な陽気が4日程続いた次の日3月10日には第2回京都マラソンが開催されました。「鴨川真発見記第50号」“京都マラソン鴨川公園内コースをたどる”で御紹介しましたとおり、鴨川の北大路橋上流から丸太町橋までの右岸約3km余りが京都マラソンのコースとなっています。
朝8時30分に西京極競技場をスタートしたランナーが鴨川へと到着する頃を見計らって家を後にしました。前日の汗ばむ陽気と朝の暖かな気温に、薄着で出掛けましたが、北大路橋に着く頃には強風と大粒の雨に見舞われ、急激な気温の低下に遭遇することとなりました。
<北大路橋 この後雨脚が強まり強風が吹き始めました>
当日の予想気温は最高で20度と聞いていたのでランナーの皆さんも「びっくり」だったことでしょう。
北大路橋の上で寒さに震えながら待っていると、白バイの赤色灯が見え隠れして程なくこの地点第一位の選手が見えてきました。ダントツの一位でこの方がそのまま一位でゴールされたそうです。
<北大路橋から トップランナー>
<力強い走りです>
<第二位通過のランナー>
<前に届くのか>
しばらくすると続々とランナーが通過していきます。フルマラソンで急に足が動かなくなると聞いていた30kmを超えたあたりです。先頭からしばらくはばらけての通過です。
<雨の中のレースとなりました>
<33キロポイントを越えていきます>
場所を出雲路橋へと移動しての応援です。少し雨も弱まってきましたが、風は強く吹き付けます。選手にとっては追い風となっていることでしょう。北山の辺りに少し日が差してきたのですが、よく見ると白いものが。「雪」が舞ったようです。
<葵橋から 少し雨が弱まりました>
<北山には日が当たり「雪」らしきものも見えます>
コース沿道の「アンズ」の花は開き、「ボケ」の花が蕾をほころばせてはいるものの、真冬並みの寒さです。三寒四温にも温度差が有りすぎるとぼやきながら、出町橋へとやってきました。
<アンズの向こうに京都マラソンランナーが見えます>
実はこの花「梅の花」と思っていましたが、後日念のため府立植物園のNさんに確認したところ「アンズ」と解りました。
「がく」の部分が反り返っているのが特徴ですが、何故「鴨川」にアンズが?といった感想をお持ちでした。
<花の「がく」の部分が180度反り返っています>
<ボケの花が咲きそうです>
こちらは、橋の上から写真の絵を描いたプラカードをかざして、写真スポットをPRされているので、ランナーの皆さんは「カメラに向かって」両手を大きく挙げて走り抜ける方も多くみられます。まだまだスタミナ充分のようです。
<出町橋から カメラスポットではグリコポーズで>
荒神橋までくると、この辺から「だんご」状態で、少々河川敷では狭い感じは否めませんが、デットヒートする訳ではありませんので安心です。
<荒神橋から いろとりどりのウエアが鴨川を走り抜けます>
いよいよ鴨川公園内コースの最終地点丸太町橋です。ここで丸太町橋を渡って川端通りへ折り返します。ここまで強い風で背中を押されてきたランナーの皆さんに襲いかかる強烈な向かい風と変貌します。
<丸太町橋から 鴨川から出ます>
<丸太町橋を東へ渡ります>
<義足のランナーも元気よく>
<スーザホンで盛り上げです>
<ベルの部分には「おきばりやす」の文字が>
あと6kmガンバレの声援を受けて皆さん都路を駆け抜けていかれました。鴨川を走られました全国のランナーのみなさん、京都マラソン以外の時にも鴨川をゆっくり楽しみにお越しくださいませ。
<鴨川沿いの川端通りを向かい風に阻まれながらの力走です>
<大文字に向かってゴールを目指します>
平成25年3月11日 (京都土木事務所Y)
奈良時代よりも以前には花見の「花」といえば、「サクラ」よりもむしろ「ウメ」を指すことの方が多く、ウメよりサクラがより愛好されはじめるのは、平安時代中頃からのことであると聞いたことがあります。
そんな冬の花「ウメ」や「カンツバキ」の季節が終盤を迎えた3月中旬、早咲きの「サクラ」が花を開きはじめました。
<しだれ梅>
<ウメ(八重)>
<ウメ(一重)>
<カンツバキ>
これから始まる「サクラ」の競演を控えて先陣を切って序曲を奏でるのは、「子福桜」でしょうか?。1年に2回花を付けます。10月から12月まで長期に花を咲かせ、4月の早い時期に花を咲かせます。八重の小さなカワイイ花を付けていました。
<子福桜>
こちらは濃いピンクが鮮やかです「オカメ」でしょうか?花の形はラッパのようでスズナリのように下を向いて咲いています。このサクラは蜜が豊富なのか「ヒヨドリ」が花の蜜を盛んに吸い取っています。鴨川真発見記第74号「イソヒヨドリ」が大きなミミズを飲み込めずに苦しんでいる姿を思い出して、随分スマートな様子だなと思うのでした。
<オカメ>
<ヒヨドリが盛んに蜜を吸っています>
そして白に近い色合いのこの「サクラ」。「カラミ桜」です。鴨川をバックに控えめに咲いている姿が序曲にふさわしい桜の印象を受けます。
<カラミサクラが>
「ソメイヨシノ」と同時期に真っ白な小さな小さな花をぎっしりと咲かせる「ユキヤナギ」も少しずつ花を開いていきます。
<ユキヤナギがほころんできました>
足元には、春の野草が次々と花を咲かせていきます。
京都府立植物園N氏教えてもらいました。
<ヒメジョオン>
<ノゲシ>
<ホトケノザ>
この後4月に向けて桜前線が北上し桜の開花が進み、ソメイヨシノが一斉に花開き、人々の心も弾みます。桜の下で宴も盛大に盛り上がることでしょう。でも周りの迷惑にならない様にお気を付けください。
昨年、週刊少年漫画の長期継続漫画のネタとして京都の桜が紹介されていました。東京では「ソメイヨシノ」が一斉に開花して同時期に終わってしまうが、京都では、色んな種類の桜が時期をずらして長い期間「桜」の花見を楽しめます。
北大路近辺に比べて三条近辺は暖かいようで、里桜や紅しだれ桜も咲き始めました。
<三条のしだれ桜並木>
<里さくら>
北大路近辺の半木の道でも、毎年一本だけ早く咲く「ナンバー34」が花を開き始めています。
<プレートナンバー34番 他の木は固い蕾ですがこの一本だけ花が開き始めています>
鴨川でもこの早咲きの「桜」の後、「ソメイヨシノ」の並木が豪勢に咲き誇ります。それよりも少し遅れて「しだれ桜」が「打ち上げ花火」の「ヤナギ」の様に花開きます。
その時期が過ぎると、御室桜のような八重の桜がバトンを引き継ぎます。他にも様々な種類の桜を鴨川で楽しむことができます。出来れば、そんな「桜」のリレーを御紹介していきたいと思います。
平成25年3月19日(京都土木事務所Y)
平成25年3月22日(金)報道では京都市内の「哲学の道」では桜が開花と報じていました。その日の鴨川では「ソメイヨシノ」の花を確認出来ませんでしたが、翌23日(土)には鴨川でも“チラホラ”と確認することが出来ました。「鴨川真発見記」的にはこの3月23日を「鴨川のソメイヨシノ開花宣言」としたいと思います。
<出町のソメイヨシノ とても立派な枝振りです>
<これで開花宣言です>
<太い幹の足元の根っこから新しく伸びた幹の枝が先に花を開きました>
<こんな風に伸びてきています>
前号で御紹介しました「半木の道」34番のしだれ桜は既に五分咲きを過ぎているようです。その後を追うように72番、73番が咲き始めています。
<明らかに周りと違う咲ぶりです>
<34番 目立っています>
<その下を「ガイド付き」のジョギング団体が走り過ぎていきます>
前号でも春の野草が咲かせる花を紹介しましたが、続々と色んな種類の花が開いています。今シーズンの桜は全国的に例年よりもかなり早く、東京では早くもお花見の最盛期を迎えているようです。
京都府立植物園でも桜のライトアップが予定よりも1週間早まり、その準備が急ピッチで進められています。そんなお忙しい中でも御協力をいただきまして春の花を紹介とさせていただきます。
<ぶどうを逆さまにしたような形状です ムスカリ>
<白い花ビラ6枚です ハナニラ>
<黄色く目立つ レンギョウ>
<春に実を付ける なんでしょうか チョット不明>
早朝から鴨川を散策していると、これまでイマイチハッキリした画像が撮影できていなかった野鳥を間近で見ることができました。
<イソシギ>
<ジョウビタキ>
そして、鴨川の文化的施設ともいうべき「鴨川ギャラリー」も3月20日にお目見えしました。全国でも数少ない橋の下の展示物です。
「橋の下にギャラリーとはチャレンジャーですね」とのお声もいただきながらの設置ですが、出来上がると「橋の下の暗いイメージ」が払拭されて明るい空間が新鮮です。
二条大橋には、国宝洛中洛外図「上杉本」の複製が展示されています。米沢市の美術館からデジタルデータを提供していただいての製作です。精巧に描かれた建物や人など、さすがは「国宝」今にも動き出しそうです。
数ある解説本を片手に隅から隅まで鑑賞いただいてはいかがでしょうか
<ベンチも寝転ぶ事が出来ないように丸太仕様です>
<上杉本 洛中洛外図 鴨川も描かれている右隻を展示>
<鴨川での様子をクローズアップ>
<足を止めて眺める人も>
出町橋では、「葵祭」の行列が渡河することに因んで、葵祭にまつわる展示です。葵祭の起源や由来などを写真と併せて紹介するとともに、今昔写真の対比や、葵祭の行列を描いた絵図も展示しています。今年、葵祭を観覧しに全国からお越しいただく皆様の反響が楽しみでもあります。
<出町橋の下はイヌ矢来を摸した「しつらえ」も>
<葵祭の今昔写真と行列の絵図>
<葵祭の由来などを写真を交えて紹介>
<こちらはお一人様用のスツールで休憩願います>
鴨川を何度もご利用いただいておられる方には、少しずつ内容を御覧いただければ幸いです。
鴨川のベンチで一休みしていると、「新郎新婦の登場です」とアナウンスが聞こえてきました。振り返るとウエディングパーティーの始まりでした。
お子様連れのお母さんも思わず自転車を停めて何年か前のご自分を思い出しておられるのでしょうか。ウエディング衣装は誰もを引きつける魅力があるようです。
<ハッピーウエディング>
<2階の窓から1階の参列者にごあいさつ>
<新郎が新婦に目隠ししてのブーケトスでした>
別の場所ではまだ3月なのに水泳パンツ一枚で少年達が水に入っていました。自由使用ですが、くれぐれも事故の無いように水遊びのルールを守ってくださいね。
<まだまだ水は冷たいです>
<水がきれいな鴨川でした>
ともあれ、春の足音が聞こえてきたと思ったら、もう目の前に立っている鴨川なのでした。
平成25年3月25日 (京都土木事務所Y)
鴨川下流域の拠点整備工事も一部を除いて完成しています。その様子を工事期間や工事前などの様子も交えながら御紹介させていただきます。
平成24年度工事の最下流に位置する小枝橋~京川橋の区域では、人々が集うための公園が整備されました。以前は草が茂る原っぱ、もっと以前には不法占用の豚小屋などがあった場所でした。
<整備前は砂利道の両脇に雑草が生い茂っていました>
公園のセンターへと続く園路は土系舗装を施して、その両サイドには開花時期の異なる桜を植樹し、色々な種類の桜がバトンタッチして訪れる人々の目を楽しませる「リレー桜」となっています。
その桜たちの足元にも季節毎に花を咲かせる低木が、桜の季節以外にも花を添えます。
<整備後は同じ角度からの眺めが一変しました>
<ヨウコウ>
<オカメザクラ>
<カンザン>などなど
園路を進むと四阿(あずまや)が見えてきます。その向こう側にこの公園のシンボルツリーとなるしだれ桜がどっしりと姿を見せます。この桜は、桜守で有名な「佐野とうえもん」さんからの寄贈で、円山公園の「しだれ桜」ゆかりの桜です。毎年枝振りを伸ばして皆様を楽しませてくれることでしょう。
シンボルツリーから上流側の園内にも、西高瀬川沿いには低木、鴨川沿いには更に桜と色とりどりの花木を満喫できる公園となります。
上流域から下流域にかけての公園は全て「鴨川公園」ですが、この公園には愛称として「小枝橋公園」の名が付けられます。公式に愛称が付けられたのは、鴨川公園の中ではこの地域が初となります。
4月13日には、地元関係者などを招いてのお披露目が予定されています。
<西高瀬川上流から 低木が並びます>
<鴨川上流から 桜並木>
鴨川は、これまでから石積みで自然な感じを表現してきたのですが、同区間の護岸工事では、更に自然の風合いを出す為に、コンクリートマットを敷いた上を土で覆い草を茂らせる施工としています。ちょうど小枝橋付近がその境目となっています。
工事中は一時的に作られた中洲でカルガモが一時避難していました。23年度に施工された場所は既に緑に草が生えて自然な感じが出ています。
<写真下の部分が境目となります>
<一時避難中のカルガモ>
<小枝橋から下流を望む 24年度工事部分が綺麗に出来上がりました>
橋が鴨川を斜めに横断しているため、橋脚が斜めになっています。この橋脚に石積みをすりあわせる所も細かな細工で仕上げられています。
名神高速道路の上流側でも石積みの護岸工事が完成しています。川の曲線(アール)と護岸肩の曲線(アール)で丸みの相乗効果です。カーブ箇所ということで、石を固定した構造物が施工されていて、少し水面に顔を出しています。
<名神高速道路下 施工中>
<名神高速道路下 頭を出す水制工>
護岸の肩に丸みを持たせていることは、鴨川真発見記工事編その2(第61号)で紹介しましたところ、この記事を御覧になった業界紙「日経コンストラクション」から取材申込があり、京都土木事務所Tが対応し、25年4月後半の号で紹介されると聞いています。
堀川合流部では、見事に直線の護岸と広々とした高水敷が広がります。かつての雑然とした河川敷がスッキリとリフォームされたようです。火打形公園との架け橋の橋台も完成し橋を渡す準備が整いました。
<工事期間中は重機が行きかう河川敷>
<細かな所は手作業です>
<鴨川と火打形公園の「架け橋」が架かります>
<スッキリ爽やかな感じです いつまでもこのままに>
<橋台の頭が見えています その向こうに火打形公園>
<この護岸にも腰を掛ける人が増えるでしょう>
「勧進橋」と「くいな橋」の間も真新しい石積みがつながってスッキリしました。ここでは工事中にお邪魔しました時には工事区間毎に施工工程が異なることから、完成までの過程がよくわかりました。完成後は土に埋もれることから、このタイミングを逃すともったいないという「グッタイミング」でした。写真で御紹介しましょう。
<巻き天場最後の石を高さを合わせて置いていきます>
<石を固定するコンクリートを流し込みます>
<固定したら型枠を設置してコンクリートで仕上げます>
<型枠を外して石積みは出来上がり 後は土を埋め戻して完成です>
<勧進橋対岸からの完成状況>
<勧進橋下流右岸の樋門にはボックスカルバート 分断されていた道路がつながりました>
<すでにジョギングする人も>
三条~四条間の工事も完成しました。5月頃には養生中の芝生も緑鮮やかに色着いて綺麗な散策路をお楽しみいただけます。
<土系舗装の準備OKです>
<凸凹が無くなり歩きやすくなりました>
3箇所で実施された中洲除去の工事も完了し、スッキリとした河川の姿が現れました。
丸太町橋から二条大橋の間は、ほんの少し砂利の中洲を残してほとんどフラットな以前の鴨川が再現されています。
<二条大橋から上流を望む>
高野橋付近ではうっそうと生い茂っていた雑草と水の流れを妨げる大量の土砂が取り除かれています。
<高野橋から上流を望む 両脇と真ん中に少し残しました>
<草の無くなった河原では石投げをする姿も見られるようになりました>
西賀茂橋付近では、浮島風に中洲を少し残して生き物たちの環境にも配慮しました。鴨川真発見記第73号で御紹介しました「タウナギ」のすみかもスッキリ取り除かれました。埋もれていた飛び石も顔を出しましたが、少しの雨で沈んでしまいそうです。
<西賀茂橋から上流を望む 小さく中洲を残しました>
平成25年度の鴨川の本格的工事は10月頃からとなります。またその様子を御紹介できればと考えています。
平成25年3月29日 (京都土木事務所N)
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