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早朝の鴨川は、空が白み始める頃から多くの人が活動を始めます。ウォーキング、ジョギング、体操、グラウンドゴルフ、ペタンク、太極拳、サッカー、さらには民謡を歌う人。それぞれが、自分の好みに応じて楽しんだり、鍛錬したりしています。
私が通常ウォーキングに利用するコースは、高野川の高野橋から河川敷に入り、三条~四条付近まで行き、引き返して来るコースで約二時間、右岸・左岸を気の向くままに、川を眺めながら歩いています。
そんな早朝ウォーキングをするようになったのは、昨年の人事異動で当所へ配属となって以降のことで、朝早起きして歩くなんていうことは、自分には不可能と思っておりました。
人事異動後、何の拍子か「自分の勤務先が管理している鴨川を知る必要がある」と思い込み、早起きして歩いてみたら実に新鮮で面白い。これまで知らなかった色んな世界が見えてきて、気が付けば”仕事とは無関係に”鴨川ファン「ヘビーユーザー」の道をひた走ってきてしまいました。
そんな鴨川歴一年足らずの私が、こんなコラムを書くのは時期尚早の感もありますが、事務所全体のPRを担当するという立場から、一般ユーザーの視点を交えながら、鴨川に関する現実の姿を書き綴ることにより、多くの府民の皆様に鴨川の魅力のみならず、日頃抱えている課題なども含めて発信していきたいと思います。今後、発信者が複数名になることも期待しながら。
前回までの5回は野鳥シリーズ「素人野鳥観察記」を掲載しました。私自身、素人観察者として、参考資料を読みながら一般的にわかりやすい内容にまとめたつもりです。
親しみやすい野鳥ネタを手始めに、助走をつけさせていただきました。
雨の日以外は出来るだけ早朝ウォーキングを続けると、いつもすれ違う常連さんの”顔を覚える”こととなり、どちらからともなく「おはようございます」の挨拶と会釈するようになりました。
次の段階になると、すれ違う人には誰にでも「おはようございます」と声をかけるようになりました。この挨拶に”はまってしまい”何処の誰かも知らないが、顔だけは知っている「挨拶」だけの繋がりがなんとなく心地良いのでした。
登山者がすれ違いに「こんにちは」と交わすように。ツーリングライダーがすれ違いざまにサインを送るように。早朝の鴨川という独特の空気を共有する仲間のごとき錯覚を覚えさせてくれます。
この挨拶も、7時30分頃から少し様相が変わります。通勤や通学で鴨川を歩く人が増えると挨拶はメッキリ減るようです。ただし、そんなことには関係なく、手を揚げて全ての人に挨拶を送ってくれる御老輩を知る人もあるかと思います。
平成24年4月2日 (京都土木事務所Y)
<朝の鴨川の様子:北大路~北山間>
きれいな朝焼けを目にするがあります。
昨年の春から秋にかけて鴨川の河川敷のグラウンドでよく目にしたのが、フリスビーをする若者達でした。
スポーツウエア姿で真剣にフリスビーする若者を見て、そんなにフリスビー好きなのか?昔流行ったとか、犬と飼い主の競技会があったとか色々思い浮かべながら通り過ぎていました。
ある休日のこと付近を通りかかると、もの凄い「砂ぼこり」がグラウンドが包み込む光景を目にしました。
その砂ぼこりの中で若者が走り回っています。明らかにこれまで見ていた穏やかなやりとりではありません。
彼らは競技をしていたのです。見ていると、2チームが各6名で、バスケットボールとアメリカンフットボールのルールを混合した様な動きです。パスを受けてストップする際にスパイクで止めるため、砂ぼこりが舞い上がっていたのでした。
休憩中の若者に、「これは何というスポーツなの?」と問いかけると”アルッティメット”ということを教えてくれました。
スポーツする為のグラウンドでスポーツしている彼らに問題は無いのですが、この他にタッチフットボールやサッカーでも砂ぼこりが発生しており、周辺からの苦情もいただいております。
当所では色々試行しながら対策を講じていますが、根本的な解決には至っておりません。
今後も少しでも良くなる様に対策を試みていきますが、難しい問題です。
平成24年4月9日 (京都土木事務所Y)
桜の名所としてすっかり全国に知られるようになった「半木の道」の紅しだれ桜。
京都鴨川ライオンズから寄贈を受けてだんだん増えてきたこの桜たちも今では75本を数える絶景へと育ってきました。
ずらりと並んだこの桜には北山側から一本一本に番号札が付けられており、京都鴨川ライオンズのみなさんが愛情を込めて管理しておられます。
現在つぼみが少しふくらんだ程度で見頃は4月第二週後半かと思われます。
満開になるとその艶やかな紅色で人々を魅了するこの桜たちは、まるで先斗町の「鴨川をどり」の芸子、舞子がその美しさを競っているかのごとき景色です。
そんな中、ほぼ中央に位置する34番の桜のみが今(4月6日現在)三分咲程度に開花しているのです。そうなんです、アイドルグループに例えると中央ポジション「センター」なんです。
「なからぎ75」のセンター34番は一人開花し注目を集めています。センターの自覚があるのかしりませんが、毎年一番に咲く「一番桜」なのです。
今の瞬間しかこの「一番桜」のソロプレイを眺めることはできません。お近くにお寄りの際は是非足を運んでみてはどうでしょうか。
平成24年4月10日 (京都土木事務所Y)
<満開時の様子>
今年も鴨川夏の風物詩、鴨川納涼床の季節がやって来ます。
早い店舗では5月1日から営業が開始されるという訳で、4月16日から順次床が設置されていきます。
この床の占用許可を出している京都府では、床の高さや形状に統一性を持たせるために、その基準を設けて徐徐に更新を呼びかけています。
ここで少しこの界隈のこぼればなしを御紹介します。予約の時間に少し余裕があるならば、少々寄り道をされてはいかがでしょうか。
床のお店が並ぶ先斗町から三条大橋の西詰め下流、河川敷きに降りるスロープがあります。ここから、三条大橋の下まで行くと、西を向いて石垣を眺めてみましょう。
上流側、下流側共にすぐに気が付くことがあります。隣接する石積みと明らかに何かが違います。何が違うのかというと、石の大きさと形状が違います。
隣接する石が比較的小さく、形が揃っているのに対して、三条大橋に接するそれらは、大きくて形も不揃いなのです。
大きさや形が不揃いでありながら、隙間なく揺るみなく積み込んであります。さながらお城の石垣を連想させる見事なものなのです。
<三条大橋西詰め>
これは、江戸時代の寛文年間(1669年頃)に築造された、「寛文新堤」(鴨川の石積堤防)の姿がそのまま残っている場所とのこと。
当時の技術者の確かな土木技術の粋を眺めて、350年前の江戸時代がそこにあるかの錯覚にとらわれれば、あなたはなかなかの空想上手。
鴨川の三条界隈は、後世の技術者が再整備を施し、より快適な空間造りに順次取り組んできました。江戸時代の技術と現代技術の調和と考えると、一層その付加価値を感じる空間となります。
それにしても、某テレビ局のリフォーム番組の匠の技のように、そこに後世の技術者が粋な計らいをしたのかは定かではありませんが、風流な床の風情と美味なる食事を堪能する前に、ちょいと寄り道して昔を偲ぶ時間旅行はいかがでしょう。
平成24年4月15日 (京都土木事務所Y)
<三条~御池の夕景>
<東海道中膝栗毛の弥次喜多像も設置されています>
ほんの10日程前まで34番の桜のみが開花し、ほぼ中央で道行く人の注目を一身に浴びていましたが、今日(4月17日)現在は全ての桜74本が満開を迎えました。
ここで、「なからぎ75」に関する訂正です。「鴨川真発見記」第9号で紹介しました「なからぎ75」ですが、実は74本でした。管理をされている「京都鴨川ライオンズクラブ」さんとしては、74番を欠番にし、75番札を掲げたそうですが、半木の桜を愛する市民の方から74本なのに75番札は理屈が合わないとの複数意見が寄せられたため、今では74番札に訂正されたそうです。
改めて「なからぎ74」の様子をお伝えしましょう。センター34番は、他の豪華に咲き誇る桜にその主役の座を譲り控えめに咲き続けています。
北大路側から眺めていくと、夏の夜空に咲いて散る花火を連想します。北大路側から74番が先ずは花火大会の開始を告げるかの如く目を引きます。
続いて、可憐に花咲く控えめな桜が続きます。花火に例えると、土星型やハート型の小さな花火を連想します。
そこから徐徐に華やかさを増していきます。48・47・46・45・44番この辺で前半の山場を迎え、花火で例えるとゴージャスな「スターマイン」といった所でしょうか。
<ここぞとばかりに咲き誇る>
少し抑え気味にセンター34番を通過すると、一本一本に味のある形と佇まいで人々の足を引き留めながら、いよいよクライマックスへと向かいます。北山通りの手前、2番が見事なしだれを見せると、いよいよ大取「新規加入の大きな紅しだれ桜」。当事務所のソメイヨシノを後ろに従えて見事な「大輪の花」が後を引くように垂れていく花火の様です。
<いよいよ北山クライマックス>
道行く人々は口々に、「すごく綺麗に咲いてるね」と言わずには居られない様子です。
先週末は、「半木の道」を会場にして「鴨川茶店」という催しが開催され、4月14日、15日の二日間で5万人を越える方が訪れたそうです。
また、近くの結婚式場で式を挙げたカップルが、この見事に満開な桜をバックに記念撮影が出来るのは限られた数日間、とても良い記念になることでしょう。
<これは良い記念になります>
この後は、散りゆく桜を愛でるも良し。遅咲きの桜を求めて市内を巡るも良し。残された桜の季節をご堪能ください。
平成24年4月17日 (京都土木事務所Y)
◆「なからぎ74」メンバー紹介
ナンバー1からナンバー23( PDFファイル ,2MB)(PDF:2,135KB)
ナンバー24からナンバー47( PDFファイル ,1MB)(PDF:1,889KB)
ナンバー48からナンバー74( PDFファイル ,2MB)(PDF:2,162KB)
今回は、鴨川・高野川全域に生息している鯉のお話しです。
鴨川の鯉は栄養が行き届いているのか知りませんが、とても肥えていて立派な鯉が多いように思います。
特に下流に行くほどにその大きさは増して、巨大な魚というイメージで、橋のうえからでもその大きさが判る程です。
童謡の「鯉のぼり」で歌われている「大きいまごい」の黒い背の鯉がほとんどですが、誰が放流したのやら色艶やかな「錦鯉」もその群れに混じっていることも「しばしば」ありますが、その体格の違いは「小さいひごい」の様で、まさしく「鯉のぼり」を連想させます。
昨年の10月のことですが、たまたま通りかかった葵橋の上から見た光景のお話しをします。
普段、鴨川で釣り糸を垂れている釣り人を目にしますが、実際に魚が釣れたところに出くわすのは”まれ”で、ましてや鯉などの大物は目にしたことがなかったのですが、この日「初目撃」となりました。
最初、引いているなと思い脚を止めました。少し見ていると、明らかに竿に不釣り合いな強い引きで、釣り人はなんとか手元に引き寄せて”キャッチアンドリリース”。河川敷からも橋の上からも注目を浴びて「あんな大きな鯉が釣れるんか」との驚きの声が上がっていました。
鴨川で釣りを楽しむ場合は、入漁券が必要ですのでお気を付け下さい。
平成24年4月24日 (京都土木事務所Y)
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