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令和6年7月5日(金曜日) 午後2時~4時
京都府庁3号館 地階 第4・5会議室
対面とオンライン(zoom)
大野照文、木原由佳里、坂本博士、猿山隆子、杉井潤子、築山崇、
原田翔太、前野正博、村井琢哉、村尾正、森田雅子、山本敏広
計12名
京都府教育庁指導部 相馬部長
京都府教育庁指導部社会教育課 杉本課長 他8名
京都府立図書館 松本館長 他1名
計12名
0名
1.報告
ア京都府立図書館の運営等について
イ「令和5年度社会教育事業のまとめ」及び「令和6年度社会教育事業」について
2.協議
ア「社会教育を推進するために」~令和7年度策定の方向性について~
(今後の事業展開の方向性について)
イ京都府社会教育委員会議広報物について
開会あいさつ(相馬指導部長)
1.報告
ア京都府立図書館の運営等について
◇説明(松本館長・志摩副館長)
・「令和5年度京都府立図書館事業実績」
・「京都府立図書館 令和5年度年間事業計画・実績」
・「令和6年度京都府立図書館事業計画」
・「京都府立図書館 令和6年度年間事業計画」
◇質疑応答(○委員、●事務局)
○多岐にわたって事業を展開いただいている。重点項目としては、本年度も昨年度と同様に3点、①オンラインサービスの充実向上に向けた取組、②府立図書館の見える化の推進、③他機関との連携強化、となっている。
○大学と連携されているが、大学から本を借りるときは図書館の費用でされているのか。また、電子図書の著作権についてはどのようになっているのか。
●まず大学との連携について、市町村の図書館・読書施設も同じく、京都府の予算の中で府内を巡回する連絡協力車を設けており、週に2回運行している。その中に、府立図書館から貸し出す本や、市町の図書館や大学等からお借りする本を載せて巡回している。京都府で予算を確保している。
もう1点、電子書籍については、出版社から図書館への販売が認められたコンテンツを購入しており、著作権についてはあらかじめ出版社においてクリアされたものを買い上げている形になる。報告にあったように2万6000タイトルを提供しており、登録いただいた方は府内全域で見ていただける。
○高校では探究活動の中で、生徒が個々に調べる内容が高度化している中、先ほど紹介いただいたK-Libnetを使って府立図書館にある本を調べ、巡回車に載せて学校へ届けていただく形でかなり活用している。個別の対応をしていただいてありがたい。
○図書館は地域や社会の文化資本そのもので、豊かさを示す大きな指標になると思う。先ほど全国の図書館の集まりがあるという話があったが、京都府立図書館の特色、全国の中でアピールできる点を教えていただきたい。
●府立図書館では、閲覧図書に関しては府民の研究調査に重点を置いた図書資料をメインに所属している。他府県では児童書を置いているところも多いが、児童サービスは各市町村の図書館・読書施設が中心に担うものとして役割分担をしている。
府立図書館は高校生・大学生以上の方が調査や調べ学習に役立つ蔵書が多く、市町村立図書館等には児童書が多くある。相互貸借で、お住まいの近くの図書館に取り寄せていただくことが可能であり、府内で役割分担できていることが1つの特徴である。
もう1つは、歴彩館という施設との役割分担が挙げられる。京都に関する古文書資料は歴彩館で、地域資料の中でもあまり古くないものは府立図書館で所蔵している。
また、他府県でも同様であるが、府立図書館の資料は基本的には永年保存となっており、現在、約137万冊所蔵しているが、古くは明治初期ぐらいの資料もある。また各市町で持っておられる本の中で、京都で1冊しかなく、保存すべきとなった本は「府内1冊本」という形で府立図書館に移して保存することもある。
○府立図書館は研究調査に重点を置いておられてること、歴彩館はアーカイブ的な性格が強いということで、役割分担されているという話だった。あまり重複があってももったいないので、「見える化」が事業の重点となっているという説明もあったとおり、そのような特色自体がより見えやすくなるように一層取り組んでいただきたい。
イ「令和5年度社会教育事業のまとめ」及び「令和6年度社会教育事業」について
◇説明(杉本課長)
・家庭教育支援の充実について
・地域学校協働活動の推進について
・京都府地域交響プロジェクト交付金(協働教育)について
◇質疑応答(○委員、●事務局)
○大きく3つの重点に沿って報告いただいた。いずれも少なくとも数か年に渡って継続している事業で、それぞれ成果と課題についてのコメントもあった。
○交響プロジェクトについては、交付金によって運営されている。以前その成果や実態を見せていただいたことがあったが、この交付金が受けられなければ、運営が厳しいという印象だった。この交付金をずっともらっておられる団体と、今回はもらえなかったという団体もある中、その後の追跡をされているのかどうかをお聞きしたい。それぞれの事業の進捗や成果、支援をしてることの意味合い、効果は実態としてどうなっているのか。
●追跡はできていない。事業スタートから今年度4年目に入り、基本的には昨年度、3年目までで自立してもらいたいところであるが、なかなかそこまでいかず今年度4年目に入る団体もある。また3年で区切りをつけて、今年度は申請をされていない団体もある。すべてを追跡して把握しているという状態ではない。
○追跡はなかなか難しいかもしれないが、せっかく地域で立ち上がった団体なので、できれば長く、その地域の中心であっていただきたいと思うので、今後の課題として、交付金に関しての内容、金額等も含め、十分検討いただきたい。
○事業の根幹に関わる提起だと思うので、しっかり受け止めていただきたい。各団体、それぞれの活動の成果と、そのことがそれぞれの地域にどのような形で生かされているのかという点、大きく2点について、評価の視点が必要かと思う。3年が過ぎて、4年目に入っているということからも、そういう評価が是非とも必要だというご意見だった。すべてを具体的に追跡していくということではなく、今申し上げたような2点で、しっかりその到達点を押さえ、地域の視点からも評価するということがないと、事業の本来の主旨に合致したものになっていかないのではないかと思う。是非その点は力を入れていただきたい。
○レジュメP29の地域交響プロジェクトの予算資料の中に「伴走支援・基盤強化事業」というものがあるが、P17を見ると、例えば宇治田原町は本部数がゼロになっている。こういうところで、例えば新たなものを立ち上げることに対して、この予算を使えるのか。またこれは府の方で地域を決めて重点的にお金が投入されているのか。伴走支援・基盤強化事業の予算額も多いので、その辺りのことをお聞きしたい。
また、地域交響プロジェクトの交付金については、レジュメP25から、令和5年度の43団体について書かれているが、伴走支援については昨年度どのような内容であったのか。
●伴走支援の方は知事部局の文化生活総務課で行っている。各団体から申請された内容によっては、重点課題対応プログラムの方で対応が可能かと思うので、例えば先ほど宇治田原町についての話もあったが、事業内容とともに問い合わせいただいたら、補助が可能かどうかについては相談にのっていきたい。
○申請される団体は、実績はともかく、自信があるところが出してくる。課題があって何かしたいと考えている団体で、もう一押しがあれば実現するものもたくさんあるはず。インキュベーション(事業創出のサポート)という発想も必要だと思う。調査するのは大変かもしれないが、いろんな市町でそういう声は拾い上げていただいて、重点的に支援できるとよい。
○お話を伺っていて、今更だが、地域交響プロジェクトの活動が地域学校協働活動の牽引役、推進役の1つになるということはあり得るということか。
●ご指摘のとおりです。
○そうなると、市町教育委員会の学校教育の担当と、社会教育・地域交響プロジェクトに関わっている方との間で情報共有され、方向性を合わせるということがないと、せっかく活かせるものがあるのに何も届いていないということも起こりうる。今後事業展開する上で重要な点になってくるので、活かしていただきたい。
○P19に「子どものための地域連携事業費」の予算資料があるが、「小一の壁」という話も聞く中、市町村や京都府の方で何らか小学校入学前の支援がされているのか。
●いわゆる就学前後をどのようにつなぐのかということについて、市町の方が独自でやっておられる取組が中心にはなるが、京都府としても「子どもの教育のための総合交付金」を設け、市町村の独自事業に対し補助する取組を行っている。また、先ほど家庭教育アドバイザーについても報告させていただいたが、家庭と学校をつなぐということも行っている。
○これからの社会情勢、家庭環境を考えていく上で、本当に市町村における自発的な事業だけでよいのかどうか。府として積極的に支援できる、打ち出せることはないかということについても検討いただきたい。
○就学前から就学後にかけてのサポートを家庭教育支援の中に織り込んで進めていくことについて、府としての取組も必要だというご意見だった。
2.協議
ア「社会教育を推進するために」~令和7年度策定の方向性について~
(今後の事業展開の方向性について)
◇協議(○委員、●事務局)
○「社会教育を推進するために」について、昨年度この会議の中で皆様からご意見・アイデアをいただき、大幅にリニューアルされた。デザイン含め全面的に改訂し、本格的に出発した初年度となる。こちらをご覧いただきながら来年度に向けて、ご意見いただければと思う。
○今後の事業評価や政策の策定に関する内容になるが、今、「こども基本法」や、子どもの意見をどう政策に反映させるかということが大きなテーマになっており、法律的にも位置付けられている中で、社会教育に関する施策に関しても同様に考える必要がある。その1つのきっかけとして、地域交響プロジェクトで各団体が事業評価をするにおいて、子どもに意見を聞いてみるという仕掛けがあってもよいのではないか。これは各団体にとってもプラスになるのではないかと思う。大人だけで決めるというのではなく、どう子どもの意見を聞くか。府の教育委員会で直接聞くのも難しいと思うので、各団体に協力してもらうということも含めて、子どもとコミュニケーションをとるきっかけにしていただくような項目が1つ入るとよい。大々的に入れるというよりは、さりげなく項目が入っているという形で始めるとよいのではないか。
○非常によい意見だと思う。助成を受けられた団体の方が、必ずアンケートを取るような形で、成果を京都府が測るのではなく、自分たちで立てた目標に対し自己評価したものを報告書として出していただくということが必要ではないか。
○2名の委員からご提案は、例えばこの交響プロジェクトであれば、事業終わりの報告の中に、必須の課題として子ども自身による評価、子どもの声を、各団体に掴んでもらうということで、冒頭おっしゃった新しい法律の関係についても具体化できるという内容だった。
子どもの権利条約が国連で採択され、その少し後に兵庫県のある市で、子どもの権利条例をつくるという事業に委員として加わったことがあるが、その時にはプロのファシリテーターをお呼びし、子どもたちに集まってもらってその声を聞くということを随分重ねたことがあった。
議論が高まってきているこの機をとらえて、評価の視点、事業を捉える視点として、またそれは社会教育の取組全体の進め方の中でも大事な観点として位置付けられるとよい。
これまでも「子どもへの支援の充実」という形で4つの柱に横断しているが、掲げておくだけではなく実質化することにもつながると思う。
イ京都府社会教育委員会議広報物について
◇説明(谷本社会教育主事)
◇協議(○委員、●事務局)
○レジュメP37にあるとおり、今回は大人の日常、普段の生活の中にある学びをテーマに、委員の皆様の周辺、ご自身の活動も含めて声を寄せていただくという形で作ってはどうかという提案となっている。この提案の大枠について特に異論がなければ、皆さんにこれから原稿を考えていただくヒントとして、舞鶴の公民館での取組についてご紹介いただきたい。このような形で進めさせていただいてよいか。
●委員に代わって舞鶴でのお取組について紹介させていただく。舞鶴市の公民館では「現役世代のための学ぶ講座」ということで、年間9講座ほど開設されている。仕事や子育てなどで日々忙しく、公民館へ足が向きにくい世代の方に向けてのアプローチが工夫されており、またこのようにして集まってこられた方が、次世代を担う地域人材につながるという意味でも、働く世代や単身者を対象にした取組を重点的に実施されていると伺っている。その辺りの詳しい内容や、実際どれぐらいの参加者がいらっしゃるのか、また受講者の反応等もお聞きできればと考えていたが、音声がスムーズにつながらず申し訳ない。
○舞鶴では他にも公民館を中心に、いろんな世代の方が気軽に楽しく集えるような仕掛けをいろいろとされている。
本日お集まりの委員の皆様がお住まいの地域の公民館でも様々な活動がされているでしょうし、公民館に限らず、大人が学ぶ具体的なイメージを高校生に伝えるという視点で紹介いただきたい。身近な地域にいろんな形の学びがあり、集まって話をする中で、何か新しい発見があったり気づきがあったり、集まること自体が楽しみで、それが元気の元になって、地域で何か小さなイベントのようなものが生まれていったりという動きは各地域にたくさんあるかと思う。発信する対象として高校生を念頭に置いていただきながら、そういったものを記事の形で紹介していただくということで、より身近なところで、日々の暮らしだけで忙しい大人にも実はこういう時間、こういう経験があるという発信ができるとよい。
○生涯学習、学び続けることの必要性は、国を支えていくには一生労働者として最先端にいられるように学ぶこと、学校で習ったことが陳腐化してしまうため新たに学び続ける必要があるという面がある。社会教育とはまた違った観点にはなるが。だからいろんなところからお金が出ているということもある。しかし、ここで必要なことは、地域社会がきちんと機能して維持されていくということ、そのためにどんな知恵が出せるかということ。国力を上げるということはどうしても必要なことではあるが、能力をもった人が、志をもって、さらに勉強するという形をどうやってつくるかということが京都府教育委員会の社会教育の目標になると思う。京都府教育委員会の社会教育としては、生涯学習とはどういうものかということをしっかり踏まえていただけるとありがたい。
○別の事例として、京都の高齢者を対象にした事業をされているSKYセンターの評議員をしているが、その会議の中で、丹後では高齢者と高校生の世代間交流の活動に力を入れているという話があった。なぜかというと、高校を卒業するとほとんどの子どもは市外・府外へ出て行ってしまい、なかなか戻ってくることも少なく、どうしたら青年が地域や地元に戻って、地域の担い手になってもらえるかということを考えると、まずは地域のことを知ってもらう、地域を身近に感じてもらうという経験が大事ではないかということで、この間取り組まれている。そうすると高校生自身から、一度は進学等で出るけれども、やはり自分たちの地域のことは大事に考えていきたいという声が聞こえるようになってきているという話があった。そういう世代間交流は、高校生に限らず、小学生であっても、自分の生まれ育った町や地域で、親だけではなく地域の人と一緒に楽しい時間を過ごした経験、その記憶、思い出があると将来また地域に帰って何かしたいという気持ちにつながることもあるかと思う。そういう世代間交流的な活動についても、皆さんご存じのものがあれば、ご紹介いただきたい。
また、ニュースを見ていても能登半島地震からの復興のスピードがなかなか上がらない中、集落移転についても気になっている。これまで自分たちが暮らしてきた地域に住み続けること、再建が難しいということで、集落ごと別のところにも移転するという話である。それは、長年慣れ親しんだ自分たちの地域コミュニティというものを形として失っていくことにもなるので、深刻な問題であると同時に寂しいことだと思う。何らかの形で、日常の暮らしの中での住民同士のつながりというものを引き継ぎ、つないでいきたいという思いもあっての集落移転なのかと思った。
今、そのような意味では、身近な地域、コミュニティに対する関心も高くなっている時期でもあるので、そんな発信ができるのもよいかと思う。
○地域の視点から少し離れるかもしれないが、今、仕事の関係で外国の人材を紹介している。高校生なら職場体験で出会うことがあるかもしれない。高齢者の介護施設に外国の方が来ているので、グローバルという視点からも、外国ではどんな教育を受けているのか、今日本では受けたい教育は何とか努力すれば受けられる状況かもしれないが、国の情勢はそれぞれ違うこともあるので、そういったことについて何かご紹介できるかと思う。
また作文コンクールを開催しており、表彰式には賞を取られた外国の方の発表もある。交流会もあるので、高校生に限らず大学生でも、他国での生活や、日本に働きに来るというと状況も含めて、交流ができる機会があってもよいかと思った。
今、職場でも4人、ベトナムやミャンマーから来ている子たちがいて、この後も話し方教室をする。そういった場面を見てもらう、体験してもらうということも可能である。日本の国内だけではなく、他国から仕事に来ている人もいるので、交流しながら、自分の地域、自分の国はどうなんだろうということを考える1つのきっかけになればと感じた。
○「共生」というテーマに関わってくる話かと思う。日本の場合、絶対数はまだそんなに多くはないが、法改正もあり、今後増えてくるかと思う。異なる文化、生活習慣を持った人たちが地域で一緒に暮らしていくというときに、お互い、広い意味での学び合いのようなものも大事になってくる。
それでは、レジュメP37を見ていただき、高校生など若い世代、まだ学校で勉強している世代、子どもたちを念頭に置きながら、吹き出しのところに、いろんな形で、大人の学びについてコメントをいただきたい。生涯学習と言うけれど、学校を出た後、何十年と長いその生涯の中でどんな形で学ぶことの必要性が感じられたり、学ぶことが生かされたり、楽しみになったりする、そんなヒントになるような材料をぜひいただけたらと思う。9月の中旬ぐらいまでにということなので、今から2か月ほどの間に考えていただくこととなる。この社会教育委員会議からの発信ということで、見ていただいて楽しいものになるように、皆さんのご協力をお願いしたい。
閉会あいさつ(杉本課長)
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