亀岡市都市計画公園及び京都スタジアム(仮称)に係る環境保全専門家会議(第3回)の開催概要
開催日時
平成25年6月16日(日曜日)午後6時から8時15分
開催場所
メルパルク京都5階会議室
出席者
【委員】
村上委員(座長)、岩田委員、竹門委員、辻村委員、平井委員、松井委員、松田委員、光田委員
【オブザーバー】
木瀬オブザーバー、田井オブザーバー、横田オブザーバー
【要綱第5条関係人】
渡辺京都大学准教授(亀岡市アユモドキ緊急調査検討委員会委員)
【事務局】
京都府:中井文化環境部長、姫野副部長、中島理事、坂本スポーツ振興室長他
亀岡市:湯浅副市長、勝見副市長、山内政策推進室長他
報告
- 平成25年度アユモドキ救出活動結果について
議事
- 亀岡駅北地区区画整理事業の環境調査結果及び概要について
- アユモドキほか魚類分布状況調査について
- 動植物調査(案)及び地下水脈調査(案)について
意見等
平成25年度アユモドキ救出活動結果について
- 救出されたアユモドキの雄と雌の性比についても記述をお願いしたい。100ミリ以上が11匹と少ない数なので、性比が偏ると繁殖に影響があるのではないか。
- ファブリダムを立ち上げた時に残った個体をどのように救出するか、例えば魚道をつくるとか、いろいろなことが考えられる。
亀岡駅北地区区画整理事業の環境調査結果及び概要について
- 現状のアユモドキの生息環境が必ずしも良好でないので、区画整理事業の計画に改善方法を反映させる必要がある。区画整理事業の公園は、稚魚が入り込んで暮らせるように水路構造や池などの整備計画を見直すべきである。
- 保全活動が始まった頃は、アユモドキの生態と湧水のことに関し、それが重要であるという知見がなかったが、現在は成魚の生息に重要だということがわかっており、支川から保津川本流への地下水調査を区画整理事業のあるなしに関わらず早急に行う必要がある。
- アユモドキの救出作業を毎年行っているのは、本来の姿からすると良好ではない。遺伝的な解析方法により個体群を調査した結果からも限界に近い状態であり、地元・研究者・NPOの方々の努力で生息しているのが現状である。
- 今回の調査報告の中で、希少種の発見や減少について書かれているが、その評価と対策が説明されていない。代替措置や改善計画などを提示すべきである。
- アユモドキの対策では、上流からのプランクトンなどの流れ込みも考える必要がある。
- 魚類学会から「ノーネットロス」という概念を紹介されているが、施工後は施工前より高い機能をもたせるという考え方は大変重要である。
- アユモドキの生息環境を考えた場合、湧水への影響を評価すべきである。また、タニシ類など他の希少種についても評価と対策が説明されていないが、これも検討する必要がある。
アユモドキほか魚類分布状況調査について
- 現在の繁殖河川やその近傍で繁殖場あるいは生育場を増やすという提案は、大変適切である。
それについての具体的な提案又は事業化の見通しなど、どんなことを検討されてきたか。
- 環境省が産卵場所として可能性の高い場所の調査をされており、生息域外保全も検討いただいているが、これとは別に府・市合同で産卵場所の創出ができないか関係者協議を進めているところである。
- 生息域外保全も早く始めたほうが良い。
- 非常に難しいが、新しい繁殖場所を増やしていくことが一番重要な課題である。トライアンドエラーを積み重ねなくてはならず、なるべく早く着手すべきである。
- アユモドキは農業と一体的に残ってきた魚であるということは厳然たる事実である。アユモドキの保全はスタジアム予定地外の水田を残すこととセットと考えるべきである。水田として利用していくことに対する経済的な補償など新たな仕組みづくりを検討していくべきである。
- アユモドキの生態について基礎的なことが分かっていないことが多いが、スタジアムの調査もこれからであり、地下水脈もどの程度重要性があるかわからず、今それをどうしようとする段階にはいっていないと思う。
- 前回の現地調査は有意義であった。年によってアユモドキが上がっていける場所はいつも一緒ではないので、広い範囲でアユモドキにとってどこかが良くなるような全体構造を残さなくてはいけない。
- 既にある程度のことが把握できており、今まで報告された知識をもとに、ある程度大胆に予測をせざるを得ない。時間は短いが、英知を集めて考えられることはしたなというふうにしないといけないと考えている。
また、全体の流れをつくる段階に来ていると思われ、専門家会議を効率的に進める上で、ワーキング的なもので方針的なものを検討する必要があると考えている。
動植物調査(案)について
- 本専門家会議においては、アユモドキを初めとする生物多様性の保全とスタジアムの建設という問題が中心になってくる。既存の調査資料をまとめることで対応できるものは対応し、アユモドキ等の生物の保全活動にとってスタジアムをどうすればよいかというアセスメントを中心に予算と労力を使っていくことでどうかと考える。
- 水路ネットワークの調査では、何処から来た水がどう流れて行ったかという実態をモニタリングしておく必要がある。
- 農薬については、殺虫剤がプランクトン類にも影響する。育苗期も含めた農薬の使用状況とプランクトンの発生の関係について調査が必要である。
地下水脈調査(案)について
- 支川沿いの地下水流動がどうなっているのか、それから支川の合流点の付近に新たな越冬場所を今後作っていくとすれば、どのエリアが妥当なのかという観点で、判断できるような調査地点の押さえが必要と思われる。越冬が確認されている船着き場に対して、スタジアムの影響が有るのか無いのかの判断が必要であり、船着き場のところに観測井は必要である。
- 調査地点については、関係委員と府・市、調査会社で調整いただきたい。
その他
- アユモドキ保全の議論を具体的に進めるには、スタジアムの施設配置がどのようになるのかは重要な問題である。施設配置はどのように考えているのか、具体的な施設配置検討案を出していただきたい。
この会議のメンバー全員でアユモドキを中心としたアセスメントの原案を検討するのは無理があるので、3から5人程度のワーキンググループを設置して、そこで議論していただき、原案づくりをまかせることとしたいがどうか。(「結構です」の声)
当面、他のメンバー選定も含めて岩田委員と竹門委員にお願いしたい。
資料