平成30年度 京都府「明日の京都」第三者委員会の開催結果
日時
平成30年8月3日(金曜日)午後1時00分から午後2時30分まで
場所
出席者
委員
井口座長、赤瀬委員、芦田委員、大西委員、沖田委員(代理:京都府商工会連合会 西尾事務局長)、奥野委員、河井委員、後藤委員、澤井委員、宗田委員
事務局
松本企画理事、川口政策企画部長、稲垣政策企画部副部長、石澤計画推進課長、田中政策企画部企画参事
配布資料
議事内容
ベンチマークレポートの総括評価について
まとめの評価について、達成率について達成していないという意見はほとんどなかった。中期計画に基づく進捗について、残り1年間の計画期間であるが、引き続き推進していただき、3年間の進捗50%で前計画の同期の進捗と比較しても同水準という理由もあり、概ね順調として評価でよいと考える。
主な意見
- 温暖化が進む中で、学校へのエアコンの設置といった「命をどう守るか」ということとCO2を削減するということ、矛盾した2つのことを行わないといけない。
- 行政として子育ての環境の整備に力をいれているわけではないが、人口が増えている地域もある。人が集まりやすい、暮らしやすい環境には様々な条件が働いていて、少子化対策にこれが効くという特効薬がないとは思うが、広い視野で課題に対応することが必要。
- 出産に対して、費用の負担や、働いていることを一旦辞めなくてはいけないかもしれないという不安がある。すでに手遅れに近い状況の中で、子供を出産できる世代に1人でも産んでいただける環境の整備など思い切った施策が必要。以前は地域社会で子どもを育てるものであったが、今は核家族が主流であり、2人目以降を出産することが難しく、今まさに力を入れるところ。
- KPIの指標は大変よく頑張っていると見える。子育て環境も年々よくなってきている。各論的には、病児保育の充実などは、一人親となった場合でも毎日働き続けることができ、ひいては子供の貧困の防止につながる。
- 男性も女性も子育てをしていくという覚悟を決め、ある一定程度の子育ての期間を設けることができるようにする社会にならないと少子化を止めることは難しい。不妊治療については制度面で企業でも普及しないところがあり、そういったところにも府から力添えをしてほしい。
- 「静かな有事」という言葉がある少子化に危機感。職場にも女性職員が多いが、気軽に休暇をとれるような環境を目指している。子どもを育てる上で、身近でバックアップしてくれる人がいるということが働く上で一番必要。子育てをしやすい環境づくりを進めていただきたい。
- 企業別の出生率について、対策をしっかりしているいわゆる大企業より、制度は未熟だが中小企業の方が、利用しやすい雰囲気や相互扶助の文化などにより、地域の出生率が高いという面白いデータが出ていた。制度だけでなく、いかに文化を作っていけるかを考えることが必要。
- 少子化の影響で、経済基盤の弱いところは親から息子に店を継ぐことができないなど、個人店での事業継承に影響を与えている。
- 子育て、高齢者に限らず、格差がある中で格差をどう縮めるのかが問題。農山村では車がないと病院にも買い物にもいけないという生活条件の中で、公共交通が整備されている都会と比べ、どうクリアするのかが課題。
- 観光は地域によっては、景色はよくない、料理の味もよくない、文化も守られていない。これでは観光消費額は上がらない。観光指標そのものの設定を考えないといけない。
- 観光について、昨年「お茶の京都」に1年間取り組んだ成果が出てきていると感じる。それぞれの地域の特性を生かした魅力を発信したが、今後も継続的に様々な地域に踏み込んだ施策が必要。例えば、観光地を巡るだけでなく癒しの空間など、興味を持っている外国の方をターゲットにした商品や企画を考える必要がある。
- 京都市域外の観光入込客、観光消費額はトータルで過去最高だが、これで満足するのは、あまりにも水準が低すぎる。数値は伸びてはいるが、もっと伸ばす施策が必要。
- 根強く残る男女の性別役割分担意識があり、社会の課題。関連したKPIを達成することができれば、貧困、働きの担い手、男女共同参画、介護の担い手など、あますことなく労働力としての確保、新しい労働形態にもつながると考えられる。
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男女共同参画社会の指標は3年目の達成率は75%とかなり高く感じるが、日常的に実感がわかないことが問題。次に目標を立てる場合、さらに踏み込んだ目標設定が必要。
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産業の面では、産業革新、中小企業人材育成について平均に比べて高く、順調に進捗していると感じる。とりわけ景気がよいことから数値が実現できていると認識している。中小企業では、従来の垂直統合型の下請けシステムからの自立化が求められている。
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和装(文化)が低迷している。市場価値だけでなく、織物がなくなると日本の伝統的な文化である歌舞伎、茶道などが維持できない。大量消費・大量生産から、環境配慮型の新しいライフスタイルを提案するといったことや、良いものを長く使うという新しいシーンを作るなど、新しい形への誘導が期待される。
- 京都はデザイン力、技術力の蓄積などの強みがあり、京都の産業、特に製造業はアジアの成長市場や人手不足という背景から、京都の得意な商品化等の設備投資は何年待ちという受注状態と聞いている。
- ハイテク部品を扱う京都はグローバル市場の中でもシェアも高く、さらにもう一歩進んだ高いステージで活躍できると見込んでいる。これら京都の活力をどう中小企業に活かし、また京都市以外への滲みだしまでどう誘導するのか考える必要がある。
- 防災、減災について、つながりを持つことが必要。ひいては人を思いやる心を育てる環境づくりができればよい。
- 暮らしの安心について、激甚災害が増加しているが、従来の指標が使えなくなっている一方、激甚災害に対応する迅速な対策が指標に出てきているかといえば出てない。激甚災害に関する考え方を強化すべき。
- ハザードマップをいくら作り上げても、いくら避難指示を出しても、自身の身を守るためには、どうすればよいのかがなかなか伝わらない。過去に災害を経験されている方も多いが、現在は経験に頼ってはいけないような災害が来る時代。特に経験のあるお年寄りほど逃げ遅れる。その方々に、どうやったら啓発が出来るかが課題。
- 少子化、子育て、環境、男女共同参画などの問題は、分野を単純に絞るのではなく、それぞれが表裏一体の問題であり、さらに地域間の格差も、観光の面、産業の面、暮らしの問題と、どんどん広がっているのではないかという指摘がされた。中小企業の自立化や、伝統産業とともに文化そのものをどう維持・発展・継承していくかという指摘においても同様であり、こうした視点で課題を捉えていくことが必要であると考える。