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第5回京都府いじめ防止対策推進委員会の議事要旨

1 開催日時

平成26年12月10日(水曜)午後2時から午後4時

2 場所

ルビノ京都堀川「松」

京都市上京区東堀川通下長者町下ル

3 出席者

  1. 審議会
    ア 出席委員 7名
    イ 欠席委員 0名
    京都府いじめ防止対策推進委員会委員名簿(PDF:64KB)
    ウ 事務局
    永野指導部長、丸川教育企画監、沖田学校教育課長 他
  2. 傍聴人 0名

4 概要

事務局からの説明

  1. 前回委員会の概要について
  2. 京都府いじめ問題対策連絡会議について
  3. 重大事態に関する全国状況について
  4. 京都府教育委員会の今後の取組について

<意見交換>(○は委員、●は事務局)

 重大事態に関する全国状況について

 ○ 地府県の事例でLINEでのやり取りを調査しようとしたようだが、そもそも、この第三者委員会の調査に係る法的根拠、あるいは権限の範囲が明らかでない。例えば司法機関からの情報をどういう形で入手できるのか等についてもグレーゾーンのままだ。

 ○ 大人の場合でも、亡くなった方の遺族がメール等のやり取りを調べることは、亡くなった人のプライバシーをどう考えるのかという問題があり、法的にもかなり議論の残るところだ。

 ○ 現状としては、こういう組織で、かなりプライバシーに関することを調査するのは難しいということになりそうだ。

 ○ 今はメールやLINE等で情報を保全しやすくはなっていると思うが、逆にある部分を強調しやすい分コントラストにおける危険性はある。片方に残っていた情報だけが強烈な証拠能力を持ってしまい、バランスを欠いてしまうケースも考えられる。

 ○ 良かれと思って両方の間に学校が入り、しっかりとした調査を行わず丸く収めようとすることで時間が経過し、情報がなくなってしまうケースもあることにも注意が必要だ。

 ○ どこかで「解決した」と判断しても、実際の解決には至っていなかった事例もあるので、学校が気づいていたが結果的にうまくいかなかったケースについて、どのようにフォローするのか等についても考えていった方が良いと感じる。

 ○ こうした第三者委員会での調査に当たって保護者や学校の関係者から聞き取りをする実際のスタッフには教育委員会の人が良いという話を伺った。
子どもや親に話を聞くことに慣れている教育委員会スタッフが、丁寧に保護者に対応し、信頼関係をしっかり築くとともに、精神科医等の専門家が方針をしっかり示し、助言することが重要だと思う。

 ● 例えば保護者と会うに当たっては、医学的・法律的な視点が必要になるかも知れないので、その際には、委員の皆様の助言もいただきながら対応していきたい。

 ○ 保護者等の話を伺うに当たって、弁護士の面接と臨床心理士が行う面接ではかなりスタイルが違ってくる。
案件の内容に応じて、誰が、どういう形で行うか等を、ある程度最初の段階で想定しておく必要があると感じる。
実際に聞き取りを行う際に、紛争性のようなものが残っているのか、被害者側だけでなく加害者側へも支援の必要があるのか等を見て、様々な配慮をしながら働きかけていかなければいけない。

 ● 教育委員会のスタッフの選定も一つの大事な視点であるし、実際の調査を始める前にどういう聞き方をするのか等についても、先生方のアドバイスをいただいておきたいと思う。最初の入り方が非常に重要である。

 ○ 基本的にはこの委員会に強制的な権限はないので、被害者側に寄り添うばかりでもいけないが、あまりネガティブな関係を強くしていくと行き詰まると思う。

 ○ 調査については、予定調和というより、互いに相手側があるので、一方に寄り添うことは相手側から離反する構造になるというところを含めて考えないといけない。

 ○ 調査委員会の立ち位置は、本当にニュートラルで良いのかという疑問はある。
被害者側に重きを置かないと話が進まないと思うが、その結果、加害者側が傷つき、自殺にまで追い込まれるようなことまで想定すると、どのあたりの位置に立っていればいいのかは本当に難しい。
今までの全国であった成功事例を知りたいと思う。

 ○ 学校におけるいじめでも、ある一定の部分を切り取れば明らかに加害・被害の関係があるが、先生方が一定の長いスパンで見ると、どっちがどっちとはっきりしないケースもあり得る。
どちらの側に立つかというよりは、どの視点をどういう距離感や時間系列の中で見るかによって軸足がかなりずれることになる。

 ○ 国研の研究では、5年、6年という長いスパンで見ていくと、その中で1回でも被害・加害の経験があったケースが8割くらいになっている。
いわゆるコミュニケーション系のいじめに関しては、被害も加害もという両方の経験が非常に増えてくる。

 ○ LINE等によるいじめをはじめ、心理的打撃のみを与えるいじめで傷つく子どももいる中、どのスパンで取るのかによって、かなり違う絵が描けてしまうので非常に難しい。

 ○ いじめ問題の経緯を見ていくと、どちらかと言えば被害を受けた側にシフトしてきている。
法律上も、被害者側に軸足を寄せた定義の中で、そもそも最初から被害者側に立った位置からスタートしていると思う。
最終的にどの当たりに軸足を置いて我々が調査するのかは、事案によってそれぞれ違 うだろう。

 ○ 30日以上の欠席があれば重大事態になるが、それに至るまでには、かなり加害・被害が入れ替わることも想定される。
法律には被害者側への絶大なる支援はあるが、加害者側への支援という発想はなく、あくまでも指導することとなっている。

 ○ 学校現場では様々なことが起こり、そうしたことを先生たちはずっと見てきた中で、一つの事象を切り取って判断するという手法は、学校の日常的な教育とは咬み合わないかもしれないが、学校には治癒力があると感じており、学校の教育力に期待したい。

 ○ この委員会では、恐らく単に事実関係を明らかにするだけではなく、ある種の心理的ケアや教育的な視点を持つことが重要になると思う。                                                                 単に加害者を指導するだけではなく、支援も含めてやっていかなければいけない。

 ● 教育というものは、単に加害、加害と言うのではなく、その家庭環境も見た上で、子どもに寄り添って支援していくことが大切だと思っている。

 ○ 家庭環境や特別な教育的支援に関することを含め、被害者側・加害者側の背景等は、個人のプライバシーになり、調査の報告書に記載することは難しいのではないか。

 ○ 他府県やこれまでの実際の報告書等も見ながら、どこまで書き込んでいけるのか、あるいは加害者側の支援についてどのように書かれているのか等、実際に重大事態が起きる前に我々も情報を共有しておきたいと思う。

 ○ プライバシーは外に出すものではないが、被害者側に加害者側の家庭環境等を含めて事情を説明することはできないのか。

 ○ 最大のポイントは、いわゆる被害者側の意向を最大限尊重した対応だと思う。
絶えず「この程度」と思うようなことでも、次に進めて良いかどうかを確認しながら対応する必要がある。
実際に、報告書を作成した段階で、誰に、どの範囲まで開示するのか等については判断が難しい。

 ○ 学校は再発防止の主体になるので、学校に対しては、できるだけ開示すべきだと思うが、プライベートな部分は微妙だと思う。
加害者側・被害者側両方について記述があった場合、被害者側だけの同意を得ても、加害者側は同意できないというようなケースも考えられる。

 ○ ケースバイケースだとは思うが、前提として、誰が報告書を全部見る可能性があるのか、被害者側は希望すれば見られるのか、加害者側はどうなのか等、基本的な線を考えていく必要はあると感じる。
我々も報告書を作る場合に、誰が読むのかということを考えなければいけない。

 ● この委員会での調査結果は府教委に報告されることになるが、その報告書をどのような形で被害者側・加害者側に伝えるのか、知事への報告やマスコミ対応を含め、他府県の事例を調べていきたい。

 ○ そもそも委員の守秘義務のあり方については気になっている。

 ○ 報道では見えてこないが、発達障害等、特別な教育的支援に関係するような事案がどのくらいあるのかは気になるところだ。
個人情報に関わることなので表に出せない中、被害者側・加害者側両者に聞き取りや調査をし、判断するのは非常に難しい作業だと思う。

 ○ 発達障害的な特性のある子どもたちが昔と比べて増えているような気がするが、そうしたことに関する子どもたちや保護者の理解がまだまだ不十分だと思う。
子どもたち自身が、その子の特性等について、どういう風に学級の中で分かり合っていけるのかは難しい問題だと思う。

 ○ 診断名は付かなくても、日常生活に困難を感じている子どもは実際いると思うので、しっかりアセスメントしてもらう必要があるし、いじめ問題についても、個別に課題のある場合は、特別支援教育の視点をしっかり持って対応することが、一番の予防になると思う。

5 問い合わせ先

京都府いじめ防止対策推進委員会 事務局 教育庁指導部学校教育課

電話 075-414-5840

お問い合わせ

京都府教育庁指導部学校教育課指導第2担当
京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町
電話番号:075-414-5840
ファックス:075-414-5837
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