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京都府の皆さま、こんにちは。
京都のこの時期は、祇園祭、五山の送り火、地蔵盆などイベントが目白押しですが、サモアでも「ファザーズデー」(父の日)という大きなイベントがありました。サモアでは5月の「マザーズデー」(母の日)、8月の「ファザーズデー」(父の日)、10月の子どもの日にあたる「ホワイトサンデー」の3つは大きなイベントで、国民の祝日として定められています。ファザーズデーはお父さんが主役で、子どもやお母さんがお父さんのために踊りや歌を披露したり、プレゼントを贈ったりしていました。
さて第2回は私のいる南太平洋の島国、サモア独立国の文化や生活・自然について紹介いたします。首都のアピアやその周辺部では、都市化が進んでおり、ビルも立ち並んでいます。自然も少なく、住宅も西欧諸国と変わりないですが、私の任地であるレウルモエガ村は自然豊かで、昔ながらのサモアの生活が垣間見られます。
ファレと呼ばれる壁のない住居
昼寝をする動物たち(犬と猫)
上の2枚の写真は私の住む住居です。ファレと呼ばれる壁のない住居が村では一般的です。風通しが良く、開放的なつくりになっています。よく村人や動物たち(犬、猫、たまに豚)が昼寝に訪れます。赤道に近い熱帯に位置するサモアは年中高温多湿の気候で、日中の日差しはとても強いです。日中は風通しの良いファレで昼寝をして、涼しい朝や夕方に行動するのが村での一般的な生活です。私の村では、農業をやっている家庭がほとんどで、朝・夕にタロイモ畑などの手入れを行ったり、家の周りの草を刈ったり、掃除をしたりしています。日曜日の昼は村人も動物もみんな昼寝をしているので、村に静寂が訪れます。
次にサモアの食事についてです。最近は海外から安いお菓子やカップラーメンなどが輸入されるようになったり、食の西洋化が進み、パンやパスタ、ハンバーガーなどが食べられるようになるなど、サモアの食生活も激変しています。しかし、私の村ではまだまだ昔からの食事が一般的です。サモアの主食はタロイモ、バナナ(日本と違って甘くない)、ブレッドフルーツ(パンの実)です。味付けはココナッツミルクと塩です。主食のタロイモやバナナ、ブレッドフルーツは屋外の調理場で茹でたり、蒸し焼きにします。屋外での調理は男性の仕事で、小学校高学年くらいから調理を手伝うようになります。日曜日や特別なイベントの時には豚を丸焼きにして、みんなで食べます。
屋外の調理場(筆者と子どもたち)
サモアの食事(左がタロとバナナ、右が豚肉、鳥と魚のフライ)
サモアは人口の95%以上がキリスト教徒といわれています。日曜日には真っ白な服を着て教会に行くのが一般的です。また、学校でも必ず登校時、お昼、放課後にお祈りの時間があります。私の村では夕方18時30分頃に鐘が鳴り、「Curfew」と呼ばれるお祈りが各家庭で行われます。その時間帯の外出(18時30から19時00分頃)は村で禁止されています。イースター(復活祭)、マザーズデー(母の日)、ファザーズデー(父の日)、ホワイトサンデー(子どもの日)、クリスマス、ニューイヤーなどのイベントでは教会で歌や踊り、劇などをしてみんなで楽しみます。
ホワイトサンデーの子どもたち
教会の様子(筆者と牧師夫妻)
サモアの人気のスポーツはやはりラグビーです。サモアは人口17万人あまりの小国でありながら、ワールドカップに出場するなどラグビーの強豪として知られています。また、世界ランク1位のニュージーランドのラグビー代表に、多くのサモア人の血を引く選手がいます。村では、大人も子どももラグビーが大好きです。放課後の学校では多くの子どもたちがラグビーをしています。それ以外のスポーツだと、バレーボール、クリケット、女子だとネットボールの人気があります。スポーツ以外だと、歌や踊り、ビンゴなどが人気の余暇の過ごし方のようです。最近では健康志向の高まりからウォーキングやズンバ(アップテンポの音楽に合わせて行うフィットネスプログラム)を行う人も増えてきています。
放課後の学校でラグビーをする子どもたち(裸足でのプレーがサモア式です)
南太平洋のサモアといえば、やっぱり「美しい海」、「白い砂浜」、「ヤシの木」でしょうか。日本からの観光客は少ないですが、ニュージーランドやオーストラリアからの観光客は多く、世界的にみれば観光地として知られています。サモアに到着する飛行機の機内アナウンスでも「beautiful Island Samoa」と紹介されます。観光地のビーチでは、ファレと呼ばれる壁のない住居で美しい海を眺めたり、本を読んだりとのんびり過ごしている観光客の姿をみることができます。また、サモアは火山島で、島のあちこちに火山地形がみられます。壮大な火山地形と美しい海のコントラストもサモアの魅力です。
サモアの海とヤシの木
サモアの観光地 トスア(火山の爆発によってできた洞窟に海水が侵入して形成)
私の村では場所によっては水道や電気が通っていません。村では写真のように、子どもが水を汲んで何往復も運んでいたりします。また、小さい赤ちゃんの面倒をみたり、農業の手伝い、屋外の調理場でご飯の準備、庭の草刈り、家の掃除とサモアの子どもたちは本当によく働きます。ヤシの木に登って、ココナッツをとるのもとても上手です。学校に行くと、家事から解放され、新しいことを勉強したり、友達と遊んだりできるので、みんな学校が大好きです。首都では高い学費の私立学校に通う子ども、奨学金や親戚を頼ってニュージーランドやアメリカなど海外の学校に進学する子どももいますが、村では家事が忙しいなどの理由で学校に行かない子どももいます。
以上、サモアの文化・生活・自然について紹介いたしました。原稿作成にあたって、サモアの良さをたくさんみつけることができました。サモアに少しでも興味をもっていただけたら幸いです。サモアでの残りの生活もあと1年を切りました。今後も自分の活動を通して、サモアやサモアの人たちの良いところをたくさんみつけていきたいです。
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