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(2023年3月30日、ものづくり振興課 足利)
2023年3月30日、パナソニック株式会社くらしアプライアンス社の「未来の食プロジェクト」発表会(外部リンク)にお招きいただきました。
今回、発表されましたのは、「常圧凍結乾燥」の技術です。熱風で水分を蒸発させる「熱風乾燥」とも違い、凍結させた後、真空で減圧し沸点を下げて水分を昇華させる「真空凍結乾燥(フリーズドライ)」とも違い、今回は「常圧凍結乾燥」。
それ自体は、凍豆腐など以前からある手法ですが、今回すごいのは、既存の冷凍庫の冷凍装置を使って、コンパクトな装置にまとめておられること。どういう仕組みか?マイナス30度程度の冷凍庫用の冷気を、マイナス10度程度に上げることで湿度が低い冷気を作り、それによって乾燥させるのだそう。温度制御に同社のノウハウが発揮されています。
左から「乾燥前(生)」「熱風乾燥」「常圧凍結乾燥」
「熱風乾燥」は熱による変化が大きくなりがちで、「真空凍結乾燥」は食感がさくさくになりがちですが、「常圧凍結乾燥」はしっとりした食感が残るとともに、何より香りがフレッシュ!
今回、開発に協力された、一子相伝の料理人、中村元計さん、直心房さいきの料理人、才木充さん、木乃婦の料理人、髙橋拓児さん(いずれも博士号を取得され、料理を科学する料理作家KYOTO SNT LAB.を結成)が口々におっしゃってのは「香りがすごい!」「香りの印象が強烈だった!」ということです。この技術に大きな可能性を感じられたとのこと。材料を長持ちさせるのに余分なものを加える必要がなく、「原材料がシンプルなほどかっこいい」という料理人の皆さんの心を揺すぶったようです。
3名の料理人の皆さんが作られた料理も、むちゃむちゃ絶品!
乾燥雑炊に湯を注ぐだけで食べられる「雑炊」。乾燥ぜんざい、スライス餅に湯を注ぐだけで食べられる「ぜんざい」。炊飯器に、米、乾燥食材、水を入れて「炊き込みコース」で炊飯スタートするだけで食べられる「炊き込みご飯」(「foodable」で限定販売予定)。
まさに「時間を止める」技術です。
大企業には異例の、要素技術開発段階からオープンイノベーションを進めてこられたのがすごいです。株式会社ジオードの五十畑さん、京都大学大学院工学研究科の中川究也先生、SNTの3名のシェフと連携されるとともに、社内でも開発部隊やマーケティング部隊、機器部隊など横串を刺す体制を組んで進めてこられたとのこと。
将来は、家庭で乾燥食品が手軽に作れる時代が、まもなく来る予感です!
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