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知恵の経営、元気印、経営革新、チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業を紹介するページです。
(令和3年3月1日、ものづくり振興課)
株式会社ツー・ナイン・ジャパン(京都市)によるによる「新型コロナウイルス感染症対策技術結集事業(外部リンク)」の取組です。
(掲載日:平成28年10月25日 ものづくり振興課)
10月24日(月曜)、同社の新拠点「智慧夢工房」の内覧会が行われました。立派な京町家は、海外のお客様との商談にもぴったり。奥には立派な庭と、更に新工場も併設されています。
「番地が29番地だっかから」— 場所を即決されたのは、まさしく「経営者の勘」!今後の展開が楽しみです。
(掲載日:平成28年9月15日、聞き手・文:ものづくり振興課 足利)
平成23年度知恵の経営、26年度元気印、20年度経営革新企業の株式会社ツー・ナイン・ジャパン(京都市)の二九規長代表取締役様にお話をおうかがいしました。
—まず、事業の概要から教えてください。
二九) 製薬・健康食品メーカー向けに「杵」と「臼」を製造販売しています。日本で流通している薬は2万種類以上あり、その6割は錠剤です。錠剤を作る機械「打錠機」に取り付ける金型が、杵と臼です。「2つに割りやすい錠剤を作りたい」「錠剤の文字を鮮明に見せたい」「丸錠以外の形の錠剤にしたい」など、多くのリクエストをいただくなど錠剤形状設計に定評があり、お蔭さまで国内シェアは現在約3割に上ります。将来的にはシェア5割に持っていきたいと思っています。
—すごいですね。
二九) 当社は、京都府の元気印、経営革新、知恵の経営をはじめとする公的認証や、それらのビジネスプランに基づいて取得した特許など、他とは違うことばかり追求してきました。その結果、杵・臼に使用する素材、表面処理、リユース・リサイクル、クリーニングに至る様々な局面で独自の技術・サービスを有しています。
—なるほど。それぞれご紹介いただけませんか。
二九) まず、杵、臼の素材についてです。その割れや欠けは、錠剤の生産ラインの停止など、お客様企業にとっては重大な事態をもたらします。そこで、ESR(エレクトロスラグ再溶解法)という特殊溶解技法による新素材を開発しています。金属の割れや欠けは、金属疲労のほか、炭化物や介在物と呼ばれる不純物が含まれることで発生しやすくなります。中でも介在物は金属精錬の過程でわずかに取り切れなかった結果含まれるものです。そこで、当社ではESRにより、精錬済の金属を再度、電気熱で少しずつ溶解させ、比重の違いで介在物を取り除きます。しかも、少量ずつ溶け出した金属は積層凝固でよりきめ細かい結晶を形成します。
—手間がかかっているのですね。
二九) そうなのです。ESRを2回繰り返し、金属は質量が3割ほど減ります。時間もすごくかかります。しかし、その結果、耐欠け・割れ性や耐摩耗性、鏡面性などで大変優れた性能を有しています。
—では、表面処理についてはいかがでしょうか。
二九) 薬剤を押し固める打錠の過程で、杵の先端表面に粉体が付着するスティッキングが発生し、刻印がかすれたり、杵から錠剤がうまく離れなかったりといったトラブルが発生することがあります。そこで、「TOP処理」と呼ぶ特殊な下地処理により、杵の表面に薬剤が入り込まない程の微細な、約0.3μmの凹凸を加工しておくことで、杵と薬剤の間に空気が入り込む隙間を作って離型性を高めています。ただし、この加工だけでは耐食性や耐久性に劣る時がありますので、更に複層コーティング等の表面処理との複合処理をお勧めしています。
—どうして、そのような優れた手法を生み出せるのですか?
二九) もともと当社は精密機械の金型、半導体の部品金型の表面処理を行ってきた経験と、金属の表面処理についても長年の経験ノウハウがあります。
—なるほど。次にリユース・リサイクルについてはいかがでしょうか。
二九) 通常は先端が摩耗した杵はそのまま廃棄されますが、当社では切削加工・コーティングにより先端を元通りの形状にし、リユース(再利用)を可能とします。あるいは、杵の先端部を切断し、先端部のみ新品に圧入接合して付け替えるリサイクルも行っており、新品よりも低価格でご提供できます。
—新しい発想ですね。
二九) さらに、どうせリサイクルするならばリサイクル前提で、ということで、最初から先端部を圧入接合し、摩耗した場合は付け替えるという「DMC(異種金属接合)」杵もあります。このように、当社は、廃棄物削減やリサイクルを目的とした環境対策技術にも力を入れております。
—クリーニングについては、どうでしょうか。
二九) 乾式洗浄機「ECOミラー」で、お客様から当社製にかかわらず使用済の杵・臼をお預かりし、付着した薬剤や汚れをムラなく取り除きます。クルミの粉などを遠心力でぶつけることで、傷をつけずに綺麗に取り除くことができるのです。
—数々の独自技術・サービスをお持ちですごいですね。秘訣は何ですか?
二九) 四六時中仕事のことを必死で考えている、それに尽きます。金融機関の借入に対し、個人保証のハンコをついていますから、必死ですよ。趣味のゴルフも、もうかれこれ30年やっていません(笑)。父の遺言で、もともと二九精密機械工業株式会社から販売商社として独立しましたので、知名度向上のためにも公的認証の取得に努めてきました。
—大切にされてらっしゃることは何でしょう?
二九) 人のつながりは大切にしていますね。産学連携の推進として岐阜薬科大学などと学会を開催しています。また、趣味の鳩レースで知り合った方が、後に大きな取引につながった運命の方になったということもありました。私は車にも大変関心がありますし、いろいろなことに興味があります。趣味は大切ですね(笑)。取引先等とも家族ぐるみでお付き合いをしてきましたので、私の後継者達もその関係を引き継いでいますね。
—最後に今後の展望はいかがでしょうか?
二九) いずれホールディングスにしていきたいと考えています。協力工場においては、後継者難のところもあります。そこで当社がその従業員を引き取っていくということも視野に入れていきたいですね。ともかく、「世の中、おもしろおかしく」でまいりたいなと思います。
(本社外観)
同社のますますの発展が楽しみですね!
なお、まもなく「京町家を活用した新工房」と「R&Dセンター」も完成予定です。その取材は次回!
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