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知恵の経営、元気印、経営革新、チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業を紹介するページです。
(掲載日:令和3年9月13日、ものづくり振興課)
株式会社鶴屋吉信(外部リンク)(京都市)の森取締役企画部長様にお話を伺いました。
-今回、コロナ禍においても、新たな挑戦を続けていらっしゃるとのことですが、どのような展開をされておりますでしょうか?
森)はい。弊社商品はフォーマルギフトを中心としており、自社店舗展開や百貨店への出店がメインでございましたが、コロナ禍においてデイリーギフトやカジュアルギフトに力を入れるようになりました。そこで、新商品を開発いたしました。
-それが、こちらの「果の彩」でしょうか。とても可愛いですね。
森)はい。羊羹をもっとおしゃれにかろやかに、暮らしに取り入れていただきたく、和菓子と果実を和菓子職人の手しごとで織りかさねて新しい羊羹のかたち「果の彩(かのあや)」がうまれました。
タブレットのように薄くつくった羊羹と、ドライフルーツやナッツをあわせた食感が特徴です。
-まるでチョコレートのような見た目ですね。
森)実は、まさにタブレット型チョコレートから着想を得ています。半年以上の期間をかけて、開発をしました。
-素晴らしいですね。新商品開発にはよく取り組まれるのでしょうか。
森)そうですね。キャラクターとのコラボ商品の開発も行っており、以前は「星のカービィ」とコラボさせていただきました。
ー初めて知りました!和菓子とゲームキャラクタの組み合わせは珍しいですね。
はい。カービィは世界中で人気のキャラクターで、とっても食いしんぼうなのです。なんでも吸い込むというカービィの得意ワザのように、こだわりの「あん」をお好きなだけ挟んでいただこうという発想で、手づくり最中を作りました。
-とても可愛いですね。どこで購入できるのでしょうか?
森)現在は、一部店舗や、オンラインショップにて取り扱っております。アイスやフルーツなどを追加して、自分だけのアレンジも楽しめます!お菓子の美味しさはもちろんのこと、パッケージのすみずみにいたるまで「和×カービィ」の世界観がふんだんに盛り込まれた、こだわりの一品です。
-その他、新たな取組などありましたら、教えてください。
森)最近は、店舗出店に力を入れており、日本橋の「コレド室町」など関東圏のお客様にもアプローチをする取組をしております。また、以前取材いただいたIRODORIも、おかげさまで認知度が拡大し、幅広い年齢層の方に御愛顧いただいております。
鶴屋吉信とIRODORIを併設した新モデルの店舗展開に向け、令和2年5月に渋谷ヒカリエ店をリニューアルし、6月には虎ノ門ヒルズに新店舗をオープンするなど、百貨店マーケット以外への進出にも力を入れているところです。
(虎ノ門ヒルズ店写真)
-積極的に店舗を展開されており、感心いたします。
森)ありがとうございます。これらは「ブランドを確立するための店舗」と位置づけています。このような状況下ではありますが、だからこそ取り組めるような商品開発や販路拡大を通じて、「新しい挑戦」を行っていきたいと思っております。
ー引き続き応援しております!
(掲載日:平成30年4月20日、聞き手・文 ものづくり振興課 倉橋)
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京菓子の老舗 鶴屋吉信様の亀岡新工場が完成し、稼働を開始されたとのことをお聞きしましたので見学にお邪魔しました。
工場内を拝見しましたが、広々とした空間に機械が整然と並び、代表的なお菓子である「京観世」や「つばらつばら」が次々と作られている様子はまさに圧巻でした。5月にはその他の生産拠点の集約が完了することから本格的な稼働を始められるとのことです。
新工場とともに、益々ご発展されますことをお祈りしております!
(掲載日:平成28年8月17日、聞き手・文:ものづくり振興課 倉橋)
平成28年度経営革新企業、株式会社鶴屋吉信(外部リンク)(京都市)の柴田常務取締役様、山崎人事部長様にお話を伺いました。
注※同社の『吉』につきましては『つちよし』が正式な表記となりますが、都合により本稿では『吉』と記載させて頂いております。
-御社の概要について教えてください。
柴田)享和3年(1803年)に京都今出川で鶴屋伊兵衛が創業し、以来213年間に渡って禁裏、宮家、茶道家元や有名寺社から菓子の御用命を受けて参りました。弊社の代表菓子としては『柚餅』、『京観世』がありますが、その他にも季節や歳時記に合わせて様々な京菓子を作っています。京都は御所文化や洗練された茶の湯の影響を受けて、古くより文化が根付いており、その中で磨かれてきた感性を活かした京菓子が当社の持ち味となっています。
-京菓子とは何でしょうか?
柴田) 京都の和菓子を京菓子といって、それを作る御菓子司は自負してきました。京都は古来、御所文化の雅びの影響をうけて、お菓子に京都らしい優雅さを大切にし、又、茶の湯の菓子として季節感を大切に洗練された色、形を研究してきました。菓子づくりにおいて良い環境が整っていることが京菓子の所以です。花鳥風月から創案される京菓子の芸術は現在においてもかわることがありません。
-菓子作りのご苦労はどんなことがあるのでしょうか?
柴田)何よりも菓子職人の育成が大変です。一般に和菓子作りは餡炊き10年と言われており、1人前の職人と見なされるまでに概ね20年ほどかかります。特に、餡炊きは炊き方一つで菓子の味が変わるうえに菓子ごとに炊き方が異なるなど、一朝一夕に身につく技術ではありません。弊社では数多くの餡を使っており、そのレシピ化を進めていますが、レシピの外にある細かなノウハウについては依然として伝承が必要であるため、熟練者とのOJTにより職人の育成を行っています。
-事業展開はどのようにされているのでしょうか?
柴田) 当社は府外への進出についても積極的に仕掛けており、昭和35年には他社に先駆けて東京支店を設けるなど、以来50年以上に渡って東京で京菓子を提供し続けております。また、近年の若年層の和菓子離れが業界での課題となっていますが、その対応の一環として京都駅内に当社の新たなブランドである『IRODORI』をオープンし、和菓子の世界をもっと知ってもらえるような商品を展開しています。さらに、核家族化の拡がりやライフスタイルが多様化したことによって『個食』が拡がっており、このようなニーズに対応するためにも個包装の商品展開も進めています。ただし、商品の提供方法を時代に合わせて変化させることは必要と考えていますが、老舗としての品位や格調は守るべきとの思いがあり、時代の変化に柔軟に対応しながらも伝統を大切にした事業展開を行っています。
-今後の展望についてはいかがでしょうか?
柴田)今後もお客様の価値観やライフスタイルの多様化が一層進んでいくものと考えており、既存のやり方にとらわれずに変化する市場環境に柔軟に対応出来るような生産体制を整えていく必要があるものと考えています。そのため、当社では市内の工場を一カ所に集約することで生産性に優れた新工場の立ち上げを現在計画しています。このように、京都の老舗として築いてきた伝統とブランドを守りながらも、どの世代のお客様にも喜んで頂ける京菓子をいつまでも提供していきたいと考えています。
京菓子の老舗として伝統を守りながらも革新を続ける同社の今後がますます楽しみです。
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