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知恵の経営、元気印、経営革新、チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業を紹介するページです。
(2024年2月16日、ものづくり振興課 足利・須惠)
株式会社ティ.アイ.プロス(外部リンク)が、チャレンジ・バイ製品「ラプレシャンプースチーマー(外部リンク)」を能登半島地震被災地に無償貸与されています。
(令和3年2月18日、ものづくり振興課)
株式会社ティ.アイ.プロス(外部リンク)の「ラブレシャンプースチーマー」。
最近は、強力洗浄を行う新製品も求められて開発されています(京都ビジネス交流フェア2021)。
また、シャンプースチーマー自体も、患者様の洗髪だけでなく、体を洗うのにも便利だと評判とのことです!
(掲載日 平成29年11月15日 聞き手・文:ものづくり振興課 足利)
美容室fumi(外部リンク)様×特別養護老人ホームやすらぎの杜(外部リンク)様インタビュー
(掲載日 平成29年10月4日 聞き手・文:ものづくり振興課 足利」)
株式会社ティ.アイ.プロス(外部リンク)の杉本社長、柏木技術開発部長、杉本営業部課長に、改めてお話をおうかがいしました。
―今回いよいよ「シャンプースチーマー」が完成されましたね!改めまして、どういうものでしょうか?
社長)介護分野での洗髪アイテムです。当社の「潜熱」技術を使ったスチームにより、ベッドで寝たきりの方であっても、まるで温水シャワーによる洗い流しシャンプーのような爽快感を感じていただけるものです。通常の洗髪では、1回20lのお湯が必要だと言われており、寝たきりの方の場合には、それだけの大量のお湯を運んできたり、ベッドにビニールシートを敷いたりと、その準備作業の労力、時間も相当なものでありますが、被介護者、介護者双方の負担が軽減できるものだということで、既にデモ機をそのままご購入された施設様もあります。
―開発の経過はどういったものだったのですか?
社長)4年前に美容室から相談があったのです。介護を要する方々にシャンプーをする際には、準備や後片付けも結構な手間がかかりお互いに大変だ、当社ならなんとかならないかと。
―御社は、理美容用のヘアースチーマー等を製造されてらっしゃいますものね。
柏木)はい、水蒸気の「潜熱」エネルギーを利用したパーマ、毛染、トリートメントの促進器です。液体から気体になる際に、熱が気体に吸収される「気化熱」も潜熱です。水を加熱すると1気圧では、100℃で気化しますね。加熱を続けてもしばらく100℃のままですが、その間も液体(水)は熱量を吸収して気体(水蒸気)へと変化します。(ちなみに、液体の水分がなくなり、水蒸気だけになれば温度も上昇します。)。ポイントは、まず、この潜熱エネルギーを持った飽和状態の水蒸気は、1nm(1mmの100万分の1)に満たない極めて小さい水分子の「ナノスチーム」であること、そして2つ目は、このスチームは高温ですが、空気中の水蒸気を気化させますので、その気化熱で周囲の温度を下げること、3つ目は、スチーム自体は液体の水になれば潜熱を放出して熱を発するということです。これにより、髪にスチームを当てることで、小さな「ナノ分子」がキューティクルの隙間から髪の内部に入り込み、熱を発して薬剤の反応を促進させながら、水の潤いを髪内部に与えるのです。理美容機器分野で、この仕組みを理論的に説明してスチーマーを美容室へ普及させたのが当社です。
―今回の「シャンプースチーマー」の開発で工夫、苦労された点は?
課長)まず1つは、爽快感や髪へのダメージを配慮して、一定の液体の水分を含有させながら、通常の湯温と同程度まで冷却させたスチームを生み出すことに苦労しましたね。ノズルの噴出過程を工夫し120度の水蒸気の一部から液体の水分に変えていくわけですが、その際に潜熱が放出されて高温になる中で、いかに通常の湯温程度を生み出すかということです。もう1つは、本体には120℃に加熱する圧力釜が内蔵されているわけですが、美容室でプロが使うのではなく、訪問用に持ち運べて誰でも使えるように、コンパクトで安全性をより配慮した形にすることにも工夫を重ねています。ここまで開発するのに4年がかかりました。
―素晴らしい。今後の展望はいかがでしょうか。
課長)ぜひ福祉の現場のお役に立てればと思っています。また他の業界からも相談が来ており、このスチーマーの横展開的な開発も進めていければと思っています。
(掲載日 平成28年12月16日 聞き手・文:ものづくり振興課 足利)
熊本地震の際に、株式会社ティ.アイ.プロス様に洗髪システム「シャンプースチーマー」をご提供いただき、本日、開催されました感謝状贈呈式に杉本社長様にご出席いただきました。御支援、御協力誠にありがとうございました。
(掲載日 平成28年8月23日 聞き手・文:ものづくり振興課 足利)
シャンプースチーマーを、被災された方々のQOL向上に―
平成28年8月23日(火曜)、熊本県庁にて、株式会社ティ.アイ.プロス(本社:城陽市、工場:宇治市)の新開発商品「シャンプースチーマー」の贈呈式が行われ、同社の杉本社長、杉本課長、ならびに京都府が出席し、熊本県田嶋副知事様にお渡ししてまいりました。
株式会社ティ.アイ.プロスは、国内でも数少ない理美容室向け業務用ヘアースチーマーのメーカーです。理美容室では休業日に福祉施設等向けに理美容サービスを提供されることがありますが、洗髪が人によっては体の姿勢を変えたりするのが難しいなど課題が多い要素だそうです。そんな中で「パーマやカラーで使用するヘアースチーマーを、シャンプーに応用できないか」という要請があり、「シャンプースチーマー」の開発を進めてらっしゃいました。
そんな折に、熊本地震が発生いたしました。京都府からの要請もあり、避難所を始めとする被災地の方々が、プロの理美容師でなくても扱えるよう安全性や操作性等を高めた、改良版の「シャンプースチーマー」を開発いただき、今回、熊本県にご提供いただいたものです。
業務用ヘアースチーマーで培ってこられた同社の高度な潜熱コントロール技術。これにより、潜熱蒸気がキューティクルの隙間から髪の中にしっかり入り込むため、髪はしなやかに、そして、毛根の皮脂成分も飛ばしてしまうため、頭皮はすっきりとなります。
田嶋副知事にも体感していただきました。
多くの地域に甚大な被害をもたらせた今回の地震。益城町などでは、倒壊した家屋が未だ多く残っており、言葉を失いました。未だに操業の目途が立たない工場、事業所も多く、大変厳しい状況です。そして、熊本は京都を凌ぐ暑さでした。暑い夏がまだまだ続く中、長引く避難生活でお疲れの皆様に、少しでもお役に立てればとの願いで、熊本県を介して、益城町や西原村の避難所等にご提供いただきます。
使用方法は次のとおりです(県の担当者の皆さんによる、使用方法の実習の様子)。
(スチームで髪をなじませ、専用シャンプーにて髪や頭皮を揉み、スチームでシャンプーを飛ばします。)
(掲載日 平成28年3月15日 聞き手・文:ものづくり振興課 足利)
株式会社ティ.アイ.プロス(外部リンク)の杉本社長、柏木技術開発部長、杉本営業部課長にお話をおうかがいしました
―まず、御社の概要、事業の概要を教えてください。
社長) 1995年設立、業務用の理美容機器製品の開発と生産を行っています。特に、主力製品である美容室等向けのヘアースチーマーは、独自開発のノウハウを多く搭載した機器となっています。また、このヘアースチーマーは、大手業容用理美容機器メーカー向けにOEM生産も行っております。
―ヘアースチーマーですか。床屋さんなどで、大きなヘルメット式で、頭全体を覆う加熱機器をよく見かけるのですが。
社長) ヘアースチーマーは、パーマやカラー時の薬剤の効果促進、髪へのダメージ抑制のために用いる促進器です。わかりやすく言いますと、一般的な加熱タイプの促進器は、髪の毛一本一本を表面から温めてパーマやカラーリングの反応促進を行っており、反応促進の効果が低いために、強い薬剤を使用して長時間の施術を必要としています。一方、当社のヘアースチーマーは弱い薬剤で短時間の施術が可能です。従って、髪へダメージを与えず、むしろ、髪をケアできることが特長です。
―どういう原理ですか?
部長) 髪表面のキューティクルの隙間から気体である水蒸気と薬剤を入れて、髪内部の細胞に作用させるというのが、大まかなイメージですが、当社の場合、この「原理」を徹底的に追求し完璧にコントロールしているのが、他社スチーマーとの違いです。
―どういうことですか?
部長) まず、水を約4.気圧の状態まで加熱すると約150℃で「潜熱」と呼ばれる熱量を持った飽和状態の蒸気(気体)になります。その蒸気は、文献によると約0.26nm(1nmは、1mmの100万分の1)という極めて小さい水分子の「ナノスチーム」です。このナノスチームを毛髪表面に噴射すると、薬剤を引き込みながら、キューティクル間(約1nm)の通り道を深く浸透していきます。この際に、潜熱蒸気(気体)は、毛髪内部に当たり冷却されて水(液体)になります。蒸気(気体)が水(液体)になると潜熱(凝縮熱)を放出して熱を発します。つまり、髪の内部で熱を発して薬剤の反応を促進させ、水による潤いを内部で与えます。従って、弱い薬剤でも短時間での施術が可能となり、髪のケアもできるということになります。
―すごいですね。ユーザーの視点ではどのような効果がありますか?
部長) OEMをしている関係上、積極的に広報していませんが、自社商品の「Lapreラプレ」を例に挙げますと、施術時間が短縮できる、髪がしなやかになり、カラーの発色も持ちもいいので、リピーターが増えたと、業界関係者からは好評を得ています。マイナスイオンを発生しヒーリング効果も得られますよ。
―開発・生産体制はどういったものですか?
社長) 加工工程は協力工場に外注しながら、企画・開発から最終組立、検査まで一貫対応しており、小さい規模の会社ながら、完成品を作るところまで対応しているところは珍しいと思います。
―どうして御社にはそれができるのですか?
社長) まずは、先ほど申したように「原理」を追求する開発力。次に、ISOに準じた品質管理を行っており、だからこそ大手メーカーがOEM生産を任せてくれています。そして3つ目として、以上の2つを支えているものでもありますが、化学、機械、電気など様々な専門分野の従業員を有していることです。各専門分野の展示会等はできるだけ見に行かせていますし、専門分野に凝り固まらない柔軟な思考をそれぞれがもっております。幸いにも少人数故に、違う分野どおしでも意見交換や連携がとりやすいのです。
―なるほど。では、今回新たに開発されたシャンプースチーマーシステムについて教えてください。
課長) いわゆる「ヘッドスパ」でして、介護の現場等で使っていただけるように、専用に開発したスチーマーのスチームを当てることで、お湯で洗い流すことなくシャンプーができます。先ほどのヘアースチーマーの技術を応用したものですが、「潜熱」蒸気(気体)に、敢えて水(液体)を少し加えています。
まずは、水をポンプで自動的に給水するタイプの「ラプレ シャンプースチーマーAT」と手動で給水するタイプの「ラプレ シャンプースチーマーMA」の機器を市場導入する予定でおります。
また、「ラプレ シャンプースチーマーAT」は、オプションで、身体用のスチームを搭載する予定です。
―どういうことですか?
課長) お湯で洗い流さないシャンプーシステムは、既にドライシャンプーと呼ばれるものがありますが、アルコールが主成分で、タオルでふき取ることで、殺菌効果と清涼感が得られます。一方、今回の当社のシャンプースチーマーは、潜熱蒸気(気体)と専用に開発したシャンプー剤で洗浄効果を高め、水滴(液体)の勢いで毛根などの皮脂成分を浮かします。蒸気と水で「温まったなあ」という、お風呂に入った、シャワーを浴びたのに近い感覚を得てもらえるものです。
―これまたすごいですね。開発されたきっかけは?
課長) 美容室から相談があったのです。介護を要する方々にシャンプーをする際には、準備や後片付けも結構な手間がかかりお互いに大変だ、当社ならなんとかならないかと。
―御社の開発力を、業界の方々はよくご存じなのですね。では、最後に今後の展望について、教えてください。
社長) そうですね。まず1つは、業務用製品で培った技術・ノウハウを活かして、家庭用製品も展開し、製品ラインナップを増やしていきたいですね。もう1つは、機器だけでなく消耗品も取り扱い、メンテナンスも事業領域に加えることで、開発からサービスまで事業の幅を広げていきたいですね。
全国にも珍しいお取り組みをされてらっしゃる同社の今後の展開がますます楽しみです。
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