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丹波ワイン株式会社(京都企業紹介)

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和食に合う、日本らしいワインを目指して-丹波ワイン株式会社

(掲載日:令和元年8月5日 ものづくり振興課)

丹波ワイン店内

 丹波ワイン株式会社(外部リンク)(京丹波町)の藤田社長、末田製造部長、坂本エグゼクティブマネージャーに、お話を伺いました。

電機会社がワイン製造

-会社概要について教えてください。

藤田)ワイン醸造の会社です。社員はパート含め23名で、1979年に創業者の黒井哲夫により、「京都の食文化に合うワインを創る」という熱い想いを持って、スタート致しました。創業者は、クロイ電機株式会社の当時の社長です。

-電機会社が、ワイン醸造をすることになったのですか!

藤田)クロイ電機は、大手電機メーカーの協力企業でしたので、新しい事業を興すなら全く異なる分野にしようと考えました。当時、弊社の近くの観光農園で、デラウエアを作っていたんですよね。ぶどうがあるならワインを造ろうということになり、日本酒蔵を借りてスタートしました。ワイン醸造に知識のある人間が必要であるということで、山梨大学から呼んだのがワイン醸造技術管理士の末田です。

末田)当初は、社長と僕と合わせても、3人くらいの社員でした。農園も小さく、規模はとても小さなワイン会社でした。

当初の酒蔵

-当時は、日本でワインを造ることは難しかったのではないですか。

末田)はい。当時は日本のワインは味が甘いと言われ、国内での評価も低かったですね。特に京都は、気温が安定せず、土壌よりも気候に悩まされました。日本は雨が多いため、ブドウの糖度が高くなりにくいという気候の条件もあり、ワインを醸造する前に、ブドウを生産することがとても難しかったです。

-観光農園から始まって、自社農園を作っていったのですか。

末田)そうですね。徐々に農園の規模を拡大して、今でも拡大を続けています。それでも、自社農園での生産割合は10%です。亀岡や京丹後地域にも契約農家がありますが、京都産だけではワインの醸造には足りません。山形、長野、山梨からもブドウを仕入れています。

ブドウ畠

-それだけ出荷が多いのですか。

末田)年間40万本のワインを販売しています。日本全体で20位くらいではないでしょうか。京都にあるワイナリーは2社だけですね。

-商品は何種類くらいあるのですか。

末田)30~40アイテムあります。多くのワイナリーが目指すワインは、赤ワインで言えば、濃厚なフルボディのボルドーが基本です。しかし、弊社は「和食に合うワイン」を目指しました。料理の味を壊さず引き立て、料理に寄り添うようなワインです。おかげさまで、有名料亭でも扱っていただいております。

量の確保ではなく、ブドウが美味しいタイミングで収穫

-ワインは、どのように造るのでしょうか。

坂本)ワイン用ブドウは雨に弱く、気温にも左右されます。そんな中でも、量の確保に走らず、糖度と酸味が絶妙のバランスになるまで、収穫時期をぎりぎりまで待つなど、ていねいに作っています。世界のブドウは1300種類以上ありますが、弊社では50種類くらいを栽培しており、その内商品化している品種は12品種ほどです。赤ワインの場合は、梗を除いて、皮や種も一緒に発酵します。ここに、色味やタンニンと呼ばれる成分が含まれています。10日ほど発酵したら、絞り、タンクで1ヶ月ほど寝かせた後、樽に保管します。

発酵に使うワイン酵母は、10種類くらいを使い分けています。世の中には酵母を投入せず「自然発酵」をとるところもあります。白ワインの場合は、皮も種もとり、ジュースを絞ってから発酵するので、赤ワインよりも手間をかけずに造ることができます。樽で半年ほど寝かし、瓶詰めしてさらに1~2年保管してから出荷します。

-では、ブドウを収穫してからワインを出荷するまで、数年かかるのですね。

末田)はい。ワイン造りは、非常に時間のかかる作業です。赤ワインは、条件(パラメータ)の組み合わせが多種多様で難しい分、おもしろいです。

-樽には木樽とステンレス樽とありますが、どちらを使用していますか。

末田)ワインの種類によって変えています。空気の混入の有無が大きな違いです。例えば、ソーヴィニヨン・ブランというワインは、グレープフルーツやカシスのような香りが特徴ですが、空気にさらされると香りが飛んでしまうので、小容量ステンレス樽が合います。

樽

-「てぐみ」という面白い商品がありますが、これはどういったワインでしょうか。

坂本)ワイン用のブドウではなく、デラウエアを使い、発酵途中で瓶詰めするという製法のワインです。デラウエアは独特の香りがあり、ワインにするときは甘口のジュースのようにすることが多い品種でした。発酵途中で瓶詰めすることで、酵母がデラウエアの独特な香りを消し、甘くなりすぎません。価格も安く、飲みやすいため、非常に人気の商品となりました。

和食に合うワイン

-ワイン業界の変遷はどうですか。

藤田)弊社が創業したのが1979年ですが、ちょうど20年後の1998年頃に、メディアがポリフェノールの効果に着目し、ワインブームが起こりました。その後、徐々に下火になっていきましたが、現在は第7次ワインブームと言われています。SNSやブログなどの発信ツールが発展し、ワインを趣味とする個人や女性就農者が着目されてきたことが起因されます。また、技術があがり、日本のワインがおいしくなってきたのだと思います。

-御社で人気のワインは、赤ワイン・白ワインのどちらですか。

藤田)やはり、赤ワインが最も発注が多いのですが、最近はスパークリングも人気です。先ほど紹介した「てぐみ」も、おいしくて、安いため反響が大きいですね。

-海外展開もされていますか。

藤田)「和食に合うワイン」がコンセプトなので、国内消費を目指しており、海外展開については、積極的には取り組んでいません。それでも、香港などアジア圏からのニーズはあります。EPAにより輸入ワインが非常に安くなりましたので、多少、影響を受けています。

坂本)とはいえ、国内にある外資系ホテルからのニーズもあります。海外のお客様も「日本に来たから、日本のワインを飲んでみたい」というニーズがあるようです。「京都の」ワインという点でも付加価値を感じてくださり、味も好評価を得られています。

丹波ワイン商品

-最近、ワイン法が施行されましたが、影響はありますか。

坂本)ワイン法の重要事項は、「商品名に地名が出る場合は、そこがブドウの産地でなくてはならない」という部分です。京都というブランド名が守られるという点では、利点があります。商品名に「京都」を出せるワイナリーは限られていますから。ただ、困ったエピソードもありまして、例えば「保津川下りワイン」という商品があるのですが、これも「保津川」が産地ではないので商品名を変えなくてはならないのです。オリジナルラベルでレストラン用に造ったワインも、レストラン名に地名が入っているため、商品名の変更が余儀なくされていますが、固有名詞なので変更にも苦労しました。既に製造しているラベルのロスもあり、痛手にはなっていますね。

-今後の展望について聞かせてください。

藤田)他の果実酒への展開と、自社農園の拡大です。果物に含まれる糖分が発酵するので、ワイン造りのノウハウを活かすことができます。

また、自社農園を北海道へ開拓する取り組みを進めています。北海道は雨が少なく涼しいため、ブドウ農園には適しており、現在、20アールくらいでテスト栽培をしております。また、シードルや梅ワインも人気があり、特に女性には、ワイン以上にこれらの果実酒は好まれます。

坂本)最近では、奈良県のブランドいちごを使ったいちごのワインを造るなど、受託醸造も少しずつ進めております。梅、いちご以外の果実酒の展開など、京都産品を使用した果実酒の醸造も検討しています。ワインのゼリーなどの御菓子屋さんとの連携実績もあり、弊社のワインを他社製品へ活用していただきたいとも考えております。

本社工場

 

ありがとうございました。これからも応援しております!

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