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知恵の経営、元気印、経営革新、チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業を紹介するページです。
(掲載日:令和2年11月1日、ものづくり振興課)
10月2日に『マールブランシュ ロマンの森』がオープンし、株式会社ロマンライフ(外部リンク)(京都市)の徳本係長にお話をおうかがいしました。
-早速ですが、『マールブランシュ ロマンの森』のコンセプトを教えてください。
徳本)こちらは、構想から5年ほどでやっと完成した、弊社の思いが沢山詰まった体験型施設です。森の中に広がる公園のように、スイーツと共に「素敵な日常」をコンセプトにした店舗でございます。
-非常に壮大な施設ですね。
徳本)敷地面積2442.68平方メートル、延床面積2248.53平方メートルとなっております。こちらは、森に囲まれた空間を演出するため、大きな木だけで500本、その他の樹木も含めますと数千本の木を植えております。
-数千本ですか!まさに、「森」ですね。
徳本)はい。ここは元々本社工場があり、お菓子の販売店舗も設けておりましたが、地域の方々が落ち着くために訪れ、癒やされるような場を創りたいという思いがあり、「ロマンの森」計画が始まりました。高速道路への国道となっている、車通りの多い立地だからこそ、「こんなところに、癒やしの森がある!」とホッと一息していただけるのではないかと感じました。
-なるほど。こちらの大きな木は、何ですか?
徳本)こちらは、ロマンの森を守る妖精、ロマンくんです!
-ロマンくん。とっても可愛い。そして、ものすごく大きいですね!
徳本)ロマンの森は、子どもの目線を大切にしておりまして、訪れたお子さまたちがわくわくするような、可愛いキャラクターです。
-店内に入っても、森のような空間が続いていますね。
徳本)そうなんです。森のイメージがそのまま広がるよう、柱も全て木で装飾しています。カフェスペースの中にも、沢山の植物があります。
-絵本も沢山ありますね。
徳本)はい。「食」であったり、「森」をテーマにした絵本を約380冊置いております。
お子さまがここで絵本を読んで、お母さまたちとゆっくりくつろいでいただけたらなあと思っております。
-癒やしの森の中にいながら、カフェでくつろぎ、商品の購入もできる。そして、製造現場も見ることができるのですね。
徳本)はい。こちらでは、チョコレート菓子や、生菓子などの製造工場としても稼働しておりますので、
どのようにお菓子ができるのかを見ながら、購入していただいたり、賞味していただいたりすることができます。仕上げテーブル前のカウンターは、お子さまに人気です。できたてをそのまま召し上がっていただくこともできるので、作り手も喜んでおります。
工場と売り場が繋がっているということは、作り手とお客様が繋がっているということです。
-素晴らしいロマンの森ショップを拝見させていただき、ありがとうございます。以前、『茶の菓』や北山本店についてお聞かせいただいておりますが、
改めて、貴社の歴史を教えて頂けますか。
徳本)はい。以前、取材頂いたときは、京都以外でも店舗展開し、洋菓子を販売しておりましたが、現在は、店舗を全て京都に集中させています。マールブランシュ京都北山本店は、1982年に開業しておりますが、弊社の創業は、1951年に河原町三条にオープンした純喫茶『ロマン』でした。
社員の休憩スペースに、ヒストリーを掲示しておりますので、是非ご覧下さい。
-マールブランシュのルーツは、喫茶店だったのですね。知りませんでした。
徳本)さらに言いますと、実は、ロマンの森の所在地である本社工場は、元々ファミリーレストラン事業をしていたのです。
-え、ここは元々ファミリーレストランだったのですか!
徳本)1958年に現在の名誉会長がアメリカへ外食産業の視察を行って、ロードサイドレストランに感動したことがきっかけです。
今では、ファミリーレストランは当たり前の文化ですが、当時は、先進的な形態だったので、ちょうど名神高速ができるこの地に、
1969年、ロードサイドレストラン『ROMAN』をオープンしました。
-アメリカのイメージそのままですね!ところで「感動とそろばん」とは?
徳本)お客様に「感動」を与える事業をすること、そしてきちんと私たちも収益を頂いて、「そろばん」も大切にすること、です。
お客様の感動と、会社の経営的な成長どちらもバランス良く揃ってこそ、成果が得られるという考えです。
-そこからなぜ洋菓子屋さんに?
徳本)純喫茶ロマンは1956年には「ロマンフーズ株式会社」として法人化し、1957年には2号店もオープンするなど、順調に進んでおりました。そして、ロードサイドレストランもオープンし、「食」を通じてお客様に安らぎをお届けしていました。その中で、「珈琲に合う洋菓子を作りたい」という想いから、洋菓子店「マールブランシュ京都北山本店」をオープンするに至りました。
-なるほど。
徳本)オープン当時のマールブランシュ京都北山本店は、「西洋菓子の芸術座」をコンセプトにしており、高い天井、大きな窓、パティオといった家庭では味わえない空間にいたしました。積極的に海外視察を行い、ヨーロッパの「本物」の洋菓子文化を商品にどんどん反映させていきました。こうして、洋菓子部門は大きくなっていき、ロードサイドレストランは洋菓子の本社工場へと変遷しました。ファミリーレストランが徐々に日本でも増えてきたこともあり、「ROMAN」の役目を終え、ロマンライフは京都の「ほんまもん」の洋菓子をお届けする存在となっていきました。
-時代に合わせて、顧客の喜ぶような商品を提供していく。その中で、形を変えてきたのですね。
徳本)はい。マールブランシュの開業当時から取り寄せているフランスサバトン社のマロンペーストは、今でもマールブランシュの人気商品であるモンブランに使用しています。
-おいしそうです!ロマンの森でも、マロンに関連した限定商品がありますね!
徳本)はい。ご家庭でもマールブランシュのモンブランの味わいを気軽に召し上がれるように、チューブ状の商品として近日中に発売する予定です。
-ロマンの森オープンをきっかけに、コーポレートロゴも新しくされたのですよね。
徳本)はい。創業からこれまで、そしてこれからに想いを馳せた時、私たちは「喜びをリレーする」会社であることに気づきました。
スイーツや、私たちのおもてなしにご満足してくださった喜びが新たな喜びを呼び、それが私たち自身の喜びへ繋がっています。
喜びをバトンのように繋いでいきながら、歴史を刻んでいきたいという思いです。オフィスの椅子も、喜びのリレーをイメージしていて、
個々の椅子が繋がっていく形になっています。
-素晴らしいですね。今後の、展望はございますか?
徳本)そうですね。子どもたちに向けて、「ちびっ子の夢プロジェクト」などを行っていたのですが、
このような体験事業を、ロマンの森で実施していく予定です。
ターゲットは子ども以外でも、40代以上の男性へ向けたお菓子作り体験なども面白いかなと思っています。
-楽しそうですね!!
徳本)また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、観光需要の多い弊社も大きな打撃を受けました。
そんな中で、ご家庭で気軽に召し上がって頂けるような新商品の開発も手がけました。
大変な中だからこそ、挑戦をして、喜びをリレーしていこう、と思っております。
-素晴らしいですね。
喜びを繋いでいくリレー、これからも応援しております!
(掲載日:平成28年8月17日、聞き手・文:ものづくり振興課倉橋)
平成20年度、28年度経営革新企業、株式会社ロマンライフ(外部リンク)(京都市)の加藤専務取締役にお話をおうかがいしました。
―御社の概要について教えてください。
加藤)当社は『マールブランシュ』として洋菓子の製造・販売を行うほか、『侘家古暦堂』として飲食店の経営も行っています。『マールブランシュ』については、1982年に京都北山に本店を構え創業したことを始めに、現在では京都を中心に全国で24店舗を運営しています。様々な種類の洋菓子を展開していますが、特に『茶の菓』は当社を代表する洋菓子となっています。
―『茶の菓』はどのように生まれたのでしょうか?
加藤)今や世の中にはたくさんの抹茶菓子がありますし、国内外の方にも人気がありますが、『京都らしさを感じて頂けるほんまもんの抹茶菓子を』ということで『茶の菓』の開発を行いました。宇治白川の厳選茶葉を始めとする宇治茶をふんだんに使いつつ、他の材料の良さも引き立てるバランスを見出しています。また、最高の食感を実現するためラングドシャの焼き上がりの厚みについては過去の常識にとらわれないレベルを実現しています。このように、お客様にほんまもんの抹茶菓子を召し上がって頂きたいとの想いから細部に至るまで妥協せずに作り込みを行った結果、当社を代表する洋菓子にまでなったものと考えています。
―成長著しい御社ですが何か秘訣はあるのでしょうか?
加藤)当社の企業理念は『創業の心』と『経営理念』によって構成されています。その理念が社員全員に理解されていることが成長の最大の原動力になっているものと思います。例えば、『ロマンライフニュース』という社員一人一人に理念に基づいた実践例を報告してもらう日刊紙を発行しているのですが、これで全社的に経験の共有を図りつつ、経営層とのコミュニケーションのツールともしています。
―社員さんと経営者との対話形式になっているのですね。
加藤)はい。こうして理念の浸透とその実践度合いを測る大変大事なツールとなっています。
―この『合掌』は何ですか?カレンダーでしょうか?
加藤)はい。これは創業した会長が作ったものです。1~31日まであり、社内では『合掌カレンダー』と申しております。これは、当社の理念に繋がるモノの見方や考え方のエッセンスを記したものとなっており、例えば『暇な時間は神様からの贈り物』といった、日々のたゆまぬ研鑽の重要性を教えてくれる文言が記されています。社内でも人気があり、全てを暗記している社員もかなりいるようです。
―今後の展開については何かお考えでしょうか?
加藤)京都の洋菓子として全国的に好評を頂いていることは大変嬉しいことではあるのですが、当社としてはまずは地元京都の皆さまに大事にされる存在になっていくことが何よりも重要と考えています。そのために、これからの商品展開についても『ピンキリ』では無く『ピンピン』、すなわち吟味に吟味を重ねた良品を揃えることで、まずは地元京都のお客様に満足して頂けることを目指します。そして、事業理念の実現に向けたビジネスモデルを丁寧に追求しながら、100年、200年と歴史を積み上げて洋菓子の老舗となることを目指したいと思います。
お話をお聞きする中で地元京都を大事にされている想いが強く感じられました。今後の展開がますます楽しみです。
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