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知恵の経営、元気印、経営革新、チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業等を紹介するページです。
(2024年2月25日、ものづくり振興課 足利)
有限会社中村ローソク(外部リンク)(京都市伏見区)様らの素敵なイベントに参加しました。
夜な夜な行われた本イベント。和ろうそくの明かりが映えました。
会場は、若冲が伊藤家の墓を建立した「宝蔵寺」さん(外部リンク)。
講師の太田梨紗子先生(日本美術史学研究者)からは、若冲が錦市場のために長きにわたって奔走した話が熱く語られました。
同寺は、若冲の髑髏図(版画)を所蔵。髑髏は、悟りの境地というか、高い精神性の象徴として、画家たちのモチーフとして選ばれてきたものなのだそう。また、若冲が好んで描いた鶏も、時を刻んだり、仲間に餌の情報を共有したりするなど、儒教の「五常(仁、義、礼、智、信)」を兼ね備えた崇高な存在とも捉えられていたそう(ボーっと聞いていたので、ちょっと違うかもしれませんが、だいたいそんな感じです(笑))。
(2024年1月16日、ものづくり振興課 足利)
有限会社中村ローソク(外部リンク)(京都市伏見区)様らの取組です。
(2023年10月13日、ものづくり振興課 足利)
有限会社中村ローソク(外部リンク)(京都市伏見区)の田川社長のFacebookに、とっても分かりやすく解説されてましたので、その画像をそのまま転載し、改めて「和蝋燭」についてご紹介します!
(令和3年11月17日、ものづくり振興課)
有限会社中村ローソク(外部リンク)(京都市伏見区)様御協力による、地域の幼稚園児の皆さんによる絵付け蝋燭。
とっても幻想的です。
(令和元年5月13日、ものづくり振興課)
有限会社中村ローソク(外部リンク)(京都市伏見区)の田川社長にお話をうかがいました。
-蝋燭ですか。
田川)はい、「和蝋燭」を作ってます。明治10年に創業(昭和52年法人化)してから、私で4代目です。我が国で蝋燭が最初に登場したのは奈良時代です。当時の蝋燭は蜜蜂の巣から採った蝋を材料とした「密蝋燭」で、唐から輸入された貴重品でした。日本の蝋燭「和蝋燭」が誕生したのは室町時代で、「木蝋燭」が主流です。
-「中村」ローソクなのに、社長は「田川」さんですか?
田川)妻の家業が和蝋燭屋でした。先代は「中村」です。結婚当時はサラリーマンでしたが、後継者がいないということで、私が継ぐことになりました。職人経験はもちろんありませんから、人の何倍も練習を重ねて技術を身につけましたよ。今では和蝋燭作り体験などの対応や営業活動まで全てやっております!
-和蝋燭職人さんって、どのくらいいるんでしょうか?
田川)江戸時代に和蝋燭が急速に普及した時代は非常に多くの職人がおりました。明治以降、洋ローソクが普及するようになり職人の数は減少して、現在は日本全国でも20人くらいですかね。京都でも10人くらいしかいません。
-非常に少ないですね!さて、和蝋燭って、普通の蝋燭とは違うんでしょうか?
田川)素材が全く違います。一般に知られている蝋燭は、石油を原料にしていますが、和蝋燭は植物を原料に作られています。和紙に藺草(いぐさ)の髄を巻き付けた「燈芯」と、植物性の「蝋」でできています。仏事で使用するため、石油で出来ているパラフィンや動物、魚などの油や蝋は使いません。蜜蝋も虫が作る蝋なので使用いたしません。当店で使用する蝋は、櫨蝋、米ぬか蝋とパームヤシ蝋のブレンドした蝋の二種類を使用しています。
-どういう方がお使いになるのですか?
田川)例えば、お寺さんですね。当社も本山に納めています。和蝋燭が神社仏閣で使用され続けているのは、殺傷を禁じていることもそうですが、植物性の蝋燭は油煙が極端に少ないため、煤を払うだけで素地ができるという点も挙げられます。また、火力が弱いため芯を太くすることができ、多少の風では消えることがなく、縁起の悪い立ち消えを防ぎます。熱いお湯で蝋が溶けるので、燭台についた蝋を簡単に、台を傷つけずに洗うことができます。
-神社仏閣以外ではどんなところで使われていますか?
田川)仏事以外で和蝋燭を見ることは減っておりますが、歌舞伎や京都の芸妓さん、舞妓さんの舞台、能や狂言では今もなお使用されております。歌舞伎役者さんや芸舞妓さんのあの顔の白さは、和蝋燭の灯りの下で綺麗に映えるためです。また、お茶席や夜ばなしの時にも数寄屋蝋燭という特別な縦縞の入った和蝋燭を使用します。和蝋燭は明かりとしてだけでなく、「時間を計る道具」として使用しているんですよ。
-確かに、芸舞妓さんのお座敷の延長は、一本追加という表現をしますね。
田川)はい。和蝋燭は一定の時間で消える仕組みなので、時計ではなくて蝋燭減る速さで時間がわかります。お座敷では、蝋燭をもう一本持ってくるということが、時間延長を意味しておりましたから、今でもその言い方をしているのです。
-どうやって作るのですか?
田川)原材料として、櫨(ハゼ)の木の実を練ったものを仕入れます。
-これですか。
田川)はい。それを鍋で煮て溶かし、芯の先端部に溶かした蝋を浸けます。そして型に流し込みます。
-型に流す作業も難しいんですか?
田川)流し入れるスピードが重要です。ゆっくり過ぎるとムラができ、速過ぎると気泡ができてしまいます。季節により感覚で適度なスピードに調整します。型も昔は舟造り職人が作ってくれていたのです。今では職人がいないので、形だけ加工屋さんに頼み、調整は自分でしています。
-木型までご自身で仕上げられているんですね!
田川)次に、コーティング(清浄生掛け)です。60度~70度と、とても熱いですが、手作業で手際よくやります。手の色が違うでしょ?!蝋をならす左手は、シミがなく白いんです。高級化粧品にも蝋は使われているのですよ。
-美白化粧品になりますね!完成品の蝋燭は、とてもきれいですね。和紙を巻いているようです。
田川)そうでしょう。白い部分も、中の濁った部分も同じ素材でできているんですよ。ハゼを熱して練り込むと白くなります。串から抜いて、包丁で下部を切り整えたら完成です。
こういう色つけのコーティングもあります。一本一本杓で顔料を掛けます。
-へえ。色つけも手際よく、職人技ですね。
田川)通常は白いままで完成、あるいは色つけをして完成ですが、絵付けをする場合もあります。絵ローソクは、京都ではまだ歴史が浅く、20年くらいです。それまでは会津若松などが絵付け蝋燭が盛んで、京都でも売っておりました。しかし、問屋さんなどから「京都でもつくってもらわんと、京都のものって言えへんのです・・・。」と相談され、絵付け職人さんを雇うことにしました。
-では、中村ローソクさんが京都では絵付け蝋燭を最初に始めたんですか?
田川)そうです。今でも、京都で絵付け蝋燭を作っているところはないと思いますよ。会津若松の絵付けはべたっとした油絵のパターンのようなイメージです。うちの絵付けは、友禅に使う細い筆を柄って繊細な絵を描いています。絵蝋燭は、お供えの花の代わりですので、基本は火を灯しません。
-蝋燭なのに、火を灯さないんですか?
田川)はい。飾りとしても楽しめるという意味であって、火を灯して楽しんでいただくこともできます。おみやげには絵蝋燭が人気ですね。
-「ふしみ美人(外部リンク)」プロジェクトにも参画されていますが、これがその商品ですか。
田川)おみやげ品として誰でも手にとってもらいやすいように、ミニサイズの蝋燭にしています。季節ごとに絵柄は変えています。全て手作りなので、1つ1つ絵を変えて作れますよ。
-「ふしみ美人」商品は、「京のおつかいもの本舗(外部リンク)」で取り扱っているのですか。
田川)はい。うちは工場と別にセレクトショップのようなお店と、和蝋燭体験スペースを持っています。団体のお客さんが来たときに商品を見てもらうと、非常に喜ばれます。普通のおみやげ屋さんでは見られないものばかりなので。また、百貨店などとも多く取引があり、商談スペースにもしております。ここにふしみ美人の商品を並べて、こんな地域ブランドがあるよ、と案内できるようにしています。
京都の伝統産業の発展に寄与する活動、そして美しい蝋燭づくり、これからも応援しております!ありがとうございました!
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