ここから本文です。
知恵の経営、元気印、経営革新、チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業等を紹介するページです。
--いよいよ始められましたね。概要を教えてください。
中川)「古民家を探している人」と「大切な古民家を売りたい人」をつなぐマッチングサイトでして、古民家を売りたい方が自由に情報を登録し、古民家を買いたい方と直接商談できます。
--手数料は?
中川)無料です。
--はあ?!
中川)完全無料です(笑)。登録料・利用料、仲介手数料も不要ですし、書類の申請も不要です。もちろん仲介してほしいとの依頼があれば、仲介しますし、その場合は通常の仲介手数料はいただきますけれど。
--ご商売にならないじゃないですか?!
中川)そうなんです。ですけれど敢えて、です。これまで、当社は、たくさんのお客様から「京都での田舎暮らし」「古民家での暮らし」をご希望いただいてまいりました。そうしたご希望をお持ちのお客様に会員登録いただいておりますが、800名様を超えています。しかし、当社が直接取り扱える物件は少なく、古民家情報を十分にご提供できていないのです。「田舎の空家問題を解決する」という当社の企業理念が十分に果たせていないのです。
--空家の古民家ってどのくらいあるのですか?
中川)当社の試算では、京都府内の全空家17万強のうち、1万弱が古民家の空家です。
--古民家の需要はたくさんあるのに、供給側が応えていないということですか?!
中川)そうなんです。市場に出回らない古民家がたくさんあるのですが、
のほかに、
など、様々な事情があります。
同社「古民家買取事業」
--なるほど。
中川)せめて後者のケースを解決するために、CtoCのマッチングサイトを立ち上げれば、老朽化していて売れないと所有者が思っている物件でも欲しいという方もおられましょうし、不動案会社にノウハウがなければ直接欲しい方を探せるでしょうし、ということなのです。
--理に適ってますね!
中川)そうしてより多くの古民家を取り扱うようになれば、前者のケースにも変化をもたらせると思っています。これまでも、当社のお客様が、都会からきて田舎に溶け込んでいただけるよう、実際に当社自身も地域の方々の懐に入り込んで、地域のしきたりや行事をよく理解し、前さばきやフォローをしてきました。そういう表には出ないノウハウを築き上げてきましたし、そうした経験上、いつかきっと変化が生じてくるだろうと良い意味で楽観的に考えています。
同社「古民家活用事業」
--そうして市場が出来上がれば、いずれ御社のビジネスにも様々な形ではねかえってくるだろうし、無料でいいじゃないかと言うことですね?!理に適い、御社の企業理念にも適う発想ですね。
中川)そうですね。古民家再生など含めて、お手伝いできることはたくさんあります。
同社「古民家再生事業」
--古民家がおしゃれな吹き抜け空間になったり、手すりや扉もとってもおしゃれですね。あるいは、牛舎が素敵なオフィスになったり、すごいですね!
中川)ありがとうございます。古民家の再生には、釘や金物を一切使用しないで木材同士を接合する日本独自の建築技法「木組み技術」、速く、美しく家の壁や床、土塀等を塗る「左官技術」等が必要で、経験豊富な大工職人、左官職人等の高い技術が必要です。こうした日本伝統建築職人の技術をモーションキャプチャによる動作解析、AI等を駆使して次世代に引き継ぐプロジェクトも立ち上げ中です。
--いろいろアグレッシブに取り組んでらっしゃいますが、海外移築にも取り組まれているのですね?
中川)日本建築はアメリカ西海岸で人気がありまして、既に、米国人の日本建築大工職人がおられます。
--そうなのですね。
中川)古民家や蔵には貴重な和箪笥や石灯篭、つくばいなどのアンティーク品が数多く残っていますが、 日本国内では需要が無く、今まではその多くが廃棄処分となっていました。一方、アメリカ西海岸、特にカリフォルニア州周辺では、日本文化が根付きそういったものへの需要もありますが、 中国製品など価格重視の”もどき製品”が広まっている現状があります。当社では「日本国内で需要のない箪笥、灯篭、古材等」と、「海外の日本文化に興味のある本物志向の方」とのマッチングを目指し、アンティーク品海外販売に挑戦中です。
--それからもう1つ、「古民家ワ―ケーション(古民家シェアオフィスin亀岡)」(外部リンク)もいよいよオープンしましたね。
中川)今年の夏に、足利さんが、突然、短パンTシャツ姿で来店され「ワーケーションについて協力してほしい」といらっしゃいましたね。その時に相談していたものですね。
--格好はすみません(笑)。休日に買い物に出掛けたついでに、前から気になっていましたので、思い切って飛び込みでおうかがいしました。
中川)この物件、これまでも古民家活用で、コスプレ撮影会、ホームパーティ、結婚式、企業の勉強会などで、土日はかなり利用が多かったものです。隣にも、お試し移住のための別の建物があり、そこも既にこれまでの実績があります。
--条件面はどんな感じですか?
中川)料金は、お1人様1ヶ月18,000円(税別)です。来客OKで、契約者が他人を伴い一緒に作業される場合は、契約者以外の方の利用料として1日500円です。
--こんなに広くて素晴らしい空間に、顧客を招いてとか、複数で作業してとか、そういう使い方を考えると、安くていいじゃないですか!
中川)はい。Wi-fi完備、駐車場も無料、BBQ用の焼き台も自由にお使いください。道を挟んだ向かいの貸農園も無料でお使いいただけます。
--いいですね。このかっこいい自転車は?
中川)これも、無償でシェアリングします。
--いいですね!
中川)利用時間は、9時から19時まで(宿泊不可)で、平日、土日祝日、年末年始利用可能です。古民家の鍵を1人毎にお渡ししますので、最初の利用者・最後の利用者は開錠・施錠をお願いすることとしています。
--素晴らしい取り組みの数々ですね。亀岡在住の私としても、失礼ですが小さくとも世界と繋がる活動をなさっている企業さんがいらっしゃるなんて誇りですよ。実際、海外のグローバル企業からも問い合わせが来ているとか、すごいですね。
中川)これからの不動産会社は「新たな住まいの提供」から「空家を活用し賑わいを創出」する会社に生まれ変わることが生き残る唯一の道であると考えております。今日までの常識にとらわれず、新しい発想を膨らませ常にトライ&エラーを繰り返し、自らの道を切り開きたいと思います。
ぜひ、空家古民家の売却や活用に興味をお持ちの方、同社にご連絡ください!
(令和2年8月8日更新 ものづくり振興課 岩橋・足利)
「知恵の経営」認証企業、株式会社中川住研(外部リンク)(亀岡市)。古民家再生・活用をはじめ、コロナ時代に大きく見直される「地方の暮らし」を軸に、様々な新展開を進めてらっしゃいます(詳細はおってお知らせ)。京都でワーケーション、サテライトをお考えの企業様、ぜひご連絡を!
(掲載日:令和元年11月11日、聞き手・文:ものづくり振興課 岩橋)
平成30年度「知恵の経営」認証企業、株式会社中川住研(外部リンク)(亀岡市)の代表取締役中川克之様にお話をお伺いしました。
(認証企業紹介チラシはこちら(PDF:1,142KB))
―まずは、御社の概要を教えてください。
中川)弊社は、平成2年に亀岡市内で創業し、亀岡・南丹地域の物件を主に取り扱う宅地建物取引業者です。事業としては、宅地建物取引業全般(土地、新築、中古戸建、マンションの売買、賃貸等)を行っているほか、地域の課題をビジネスとして解決する「+social事業」を行っています。
―なるほど。「+social事業」とは具体的にどのような内容の事業なのでしょうか。
中川)日本国内で顕在化している空き家問題について、民間企業が行う事業として利益を上げながら解決を目指すものです。具体的には、1.空き家となった古民家を買い取り・再生させ、販売を行う事業と2.使われていないが、相続等の様々な事情で売りには出せない古民家をお借りして、BBQや撮影、お試し移住などにより、貸し出す事業を主に行っております。最近では、門番の部屋と大門、蔵2つに石橋付きの庭がある、大変希少な江戸時代の庄屋屋敷を取り扱っていることから、時代物のコスプレ撮影等でお使いいただくケースも増えており、古民家の新たな活用事例も生まれてきているところです。
―そうなんですね。空き家問題について収益を上げながら解決を目指すというのは非常にハードルが高いと思うのですが、どのように事業に取り組まれているのでしょうか。
中川)約30年にわたって宅地建物取引業を行っていますが、古民家に興味のある方は非常に多いと感じておりました。というのも、本格的に事業として行う前から取り扱っていた古民家には、一般的な住宅よりも、より広範囲の地域から多数のお問い合わせをいただいていたことから、潜在顧客がかなり多いのではないかという印象を持っておりました。
―なるほど。
中川)そこで、潜在顧客との接触頻度を高めるために自社HPやSNS、メルマガ等のITを活用した情報発信に注力しました。具体的な発信内容としては、実際に現地に行かなくても詳細な情報を知っていただけるように、360°カメラを活用したインドアビューや写真を交えた古民家再生の進捗状況、実際に移住・古民家暮らしをしている方のインタビュー記事、周辺情報や貸し出し時の活用事例などを詳細かつ高い頻度で提供し、インターネット上である程度古民家暮らしや利用の不安を払拭できるようにしています。加えて、お問い合わせいただいた内容については、どのような内容であっても、必ず24時間以内で回答させていただいております。その結果、古民家再生・販売は約100件、貸し出しは約400件、約3,500人の利用実績が出てきております。また、貸し出し利用のお客様が実際に古民家を購入するケースもあるなど、ITを活用した潜在顧客の掘り起こしについて、着実に効果が出ていると実感しています。
―すごいですね。
中川)加えて、約30年間にわたって亀岡・南丹地域で事業を行っていることから、1.冠婚葬祭やしきたりなどの地域の情報を知り尽くしており、あらゆる質問に対応できること、2.長年で培った様々なネットワークを駆使できること、3.新しい人が地域に馴染めるように周辺住民との調整等を行っていることなどについて、評価をいただいており、双方の組み合わせにより、ビジネスとして軌道に乗るところまできました。
―素晴らしいですね。ところで「知恵の経営」に取り組まれたきっかけは何だったのでしょうか。
中川)現在、メインで行っている「+social事業」は私が先代から会社を引き継いだ際に「第二創業」として始めた事業です。本事業を本腰を据えて行っていきたいと考えていた際に、相談先の京都中央信用金庫さんから、まずは自社の強み等の分析をしっかりと行い、それを踏まえて実施したほうが良いのではないかと御助言をいただき、それを行うのにピッタリの制度ということで「知恵の経営」を紹介いただいたのがきっかけです。
―なるほど。実際に取り組まれてみていかがでしたか。
中川)自社の強みを踏まえてどのように事業展開していくのかということをしっかりと考えることができましたので、やってみて非常に良かったと思っています。また、整理できたことで自分たちの事業に自信を持って取り組むことができるようになったほか、対外的にも説明しやすくなり、PR力が増したと感じています。その結果、御協力いただける方もかなり増え、事業展開がしやすくなったと感じています。
―「知恵の経営」で整理した内容をもとに今後のさらなる事業発展を期待しています。最後に今後の事業展開について教えてください。
中川)まずは、空き家となっている古民家の売り手と買い手をより繋ぎやすくするためにマッチングサイトを構築し、さらにお客様との接点を増やしていきたいと考えています。単なるマッチングにとどまらず、マッチング後はしっかりと間に入って調整を行い、痒い所に手が届く手厚いサービス提供をしたいと思っています。加えて、海外の方は古民家に興味を持たれている方が非常に多いので、インバウンド向けに古民家を宿泊施設として運用するほか、海外の富裕層をターゲットに、使われなくなった古材やアンティーク家具、灯篭などの再利用・販売も手掛けていきたいと考えております。これらにより、さらなる事業拡大を行い、ビジネスとして空き家問題を解決するリーディングカンパニーを目指したいと思います。
―今後の展開が楽しみですね!
お問い合わせ