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発表項目に先立ちまして一言申し上げます。
大雪についてでございます。
2月4日からの大雪に関しては、一旦小康状態となっていますが、本日9時52分に中丹・丹後管内の7つの市町で再び大雪注意報が発表されました。
今回の一連の大雪に関しましては2月3日に国土交通省から「大雪に関する緊急発表」があったことから、京都府では大雪注意報の発表と同時に雪害対策本部を設置して、厳重な警戒体制を確保するとともに、府民の皆様に対して、不要不急の外出自粛などを呼びかけているところです。
また、現時点で府内に大きな被害や交通障害は確認されておりませんが、京都地方気象台によりますと、明日にかけて南部の平地でも積雪となる可能性があるようです。
府民の皆様におかれましては、引き続き今後の気象情報や、道路・鉄道などの交通情報に十分御注意いただきますとともに、雪が予想される場合には不要不急の外出を避けていただき、やむを得ず車を運転される場合には、冬用タイヤの装着などしっかりと雪対策をしていただきますよう、改めて御協力をお願いします。
また、報道機関の皆様には、周知につきましても御協力をお願いいたします。
それでは、発表項目に移らせていただきます。
本日は「山陰近畿自動車道のルート帯決定」についてです。
日本海国土軸を形成する山陰近畿自動車道については、京都府北部の振興はもとより、大規模災害時におけるリダンダンシーの確保の観点からも、早期の全線開通を目指しているところです。
このうち、基礎調査が進みました網野から久美浜までの区間については、昨年3月に「山陰近畿自動車道計画検討委員会」を立ち上げまして、地域の皆様へのアンケート調査も行いながら、最適なルート帯の検討を進めてきたところです。
委員会においては、「持続可能で暮らしやすい地域づくり」や「観光振興の促進」、「事故、災害時にも機能するネットワークの確保」などの政策目標を設定し、検討・評価を行っていただいたところです。
その結果、「主要拠点である網野市街地、夕日ヶ浦温泉等の観光拠点、久美浜市街地へのアクセスに配慮した海側のルート帯案」について、政策目標の達成に優れた効果が期待され、また、京丹後市、地元関係者のニーズとも合致し、妥当であるとのご意見をいただきましたことから、この度、京都府としてルート帯を決定いたしました。
ルート帯を決定できたことで、全線開通に向けた大きな第一歩を踏み出せたと感じております。
今後は、法的手続きとなります都市計画決定に向け、地域の皆さまや関係者の御意見も伺いながら、まずは250m幅の概略ルート帯を選定し、その後、詳細ルートや構造の検討を進めてまいります。
引き続き、国や京丹後市など関係機関とも連携し、丁寧な計画づくりを進め、一日も早い全線開通に向けて全力で取り組んでまいります。
私からは以上です。
山陰近畿自動車道について、夕日ヶ浦温泉等の観光拠点へのアクセスが向上されるということたが、その周辺にインターチェンジを設ける等の考えはあるのか。
インターチェンジについては事業化の具体的なことですのでこれからですが、当然「山陰近畿自動車道計画検討委員会」でも、主要拠点の網野市街地や久美浜市街地、観光拠点ごとにインターチェンジを近接して設置するということについて提示しています。ただ、詳細な位置については、当然今後の詳細ルートを検討する中で検討していくことになると考えています。
今後のスケジュールについて、都市計画決定に向けて進めていくということだと思うが、具体的に何年までに決定しようとしているのか。
詳細なルートを検討する中で利害関係者も多く出てきますから、今、いつまでに決めるというスケジュールを示すことはなかなか難しいです。当然ですができる限り早期に決定したいと考えていますので、先ほど発言しましたように、まずは概略ルート帯の素案を選定して、住民の皆様や関係者の皆様との意見交換から始めたいと考えています。詳細ルートを検討する前段階として非常に重要なことですので、それをまず進めていきたいです。その後に都市計画決定の手続きを進めていきますので、スケジュールについては今申し上げることはなかなか難しいです。
山陰近畿自動車道について、今回発表されたルート以外にも候補のルートがいくつかあったと思うが、他のルートと比べてこのルートの決定に至った理由についてはどうか。
検討委員会を開催して、地域住民や道路利用者のアンケートやヒアリングも行ってきました。その中で、資料に記載していますが、「持続可能で暮らしやすい地域づくり」、「地域産業の活性化」、「観光振興の促進」、「事故、災害等に機能するネットワークの確保」、「安全性・走行性の向上」の5つの項目を政策目標としたのですが、その全てについて達成を見込むことができるということです。それから地元の方から、網野市街地、久美浜市街地、観光拠点のアクセスを良くして欲しいという要望が出ていましたので、そういうことを総合的に判断して、今回このルートが最適だと判断したということです。
京丹後市からは、それ以外にも半島という地域的特性があるので、防災減災についてもきちんとして欲しいといった声もありましたので、そういう地元の声も含めて、今回のルート帯を決定させていただいたということです。
このルートは実際にどういった効果が期待できるのか。
全国的な高速道路交通網の中でもミッシングリンクとして残っているところは数少なく、京都府内でも新名神高速道路は若干開通が遅れていますが一応整備の目途が立っていますので、高速道路網の体系の中ではここが最後のミッシングリンクだと考えています。まずは繋ぐということが重要ですし、日本海国土軸の形成ということであれば、災害時のリダンダンシー効果や、もう少し各論で言うと、山陰海岸ジオパークが鳥取県と兵庫県と京都府で構成していますから、そういう観光ルートを繋ぐことにもなります。医療の面では、豊岡に拠点病院がありますので、そこへのアクセスの観点もあります。距離で見ると近接していますが、自動車交通の時間がかかっているところを、この山陰近畿自動車道ができれば大幅に改善される効果があるのではないかと考えています。
山陰近畿自動車道について、久美浜・網野間の開通する時期について目途は立っているのか。
都市計画決定もすぐに決まるとは言えませんし、詳細ルートが都市計画決定手続に基づいて決まった後も用地買収をして工事に入るということですから、そこはどういう状況になるかということによるので、開通時期については見通せないです。
久美浜の先は城崎温泉まで繋げるということになると思うが、どのように進めるのか。
こちらについては、資料3ページ目の「山陰近畿自動車道の概要」に記載していますが、兵庫県側は赤い線(事業中区間)になっていて、京都府側の大宮峰山道路と同様に城崎温泉までは既に着工しています。そこから府県境までわずかですが、そこのルート決定についても、京都府よりも少し進んでいます。当然同じ所で接続しないといけないので、兵庫県と京都府の間で接続についても調整をしながら、最終的には一本の道路として繋がるようにルート決定をしていくということになります。今回京都府側が進むということになりますが、兵庫県側はそれなりに進んでいますので、大丈夫だと思っています。
京都市が、国民健康保険料を3年ぶりに引き上げることを決め、宇治市も運営協議会が引き上げを答申している。京都府への納付金が引き上げられたことが要因ということだが、財政運営主体として国民健康保険の運営についてどのように考えているか。
市町村国保の財政運営については、平成30年度から都道府県が主体となって行っており、事業費の一部は都道府県への納付金という形で市町村に負担していただき、市町村はその納付金を基礎にそれぞれ保険料を決定されています。
もともと市町村国保は、被用者保険に比べると、無職の方や非正規雇用の方、高齢者の加入割合が非常に高く、財政規模が極めて脆弱という構造的な特徴があるので、当然財政状況も厳しいと考えています。
納付金を決定するもうひとつの要素が医療費ですが、近年では新型コロナによる受診控えで医療費が一旦減少しましたが、その後、受診控えの反動で医療費が急激に増加した時期があり、保険給付費の見込みと実際に(被保険者が)支払われた額との間での乖離が生じたことが、特に令和6年度の国保の財政に影響を及ぼしたのではないかと考えています。
今般の見直しは、そうした一連の傾向も踏まえた上で、市町村とともに医療費の将来推計の方法や、納付金算定の方法についてもよく意見交換しながら検証しまして、納付金の過不足や変動ができるだけ少なくなるようにしたところです。
ただ、やはり高齢者や非正規雇用の方などが被保険者の大半を占めるという国保の構造的な課題については、国の新たな財政措置や定率負担の拡充が是非とも必要だということで、国に対しても財政基盤の強化を求めていますが、引き続き国に対してしっかりと求めていきたいと考えています。
現状のままでは都道府県が国保を運営していくということは厳しいと考えているのか。
市町村ごとに運営するのではなく、平準化や変動をならすという意味において、都道府県単位化したということについて、その方法が実は財政を厳しくしているということではないと考えています。被保険者の内訳を見ると、誰が運営しても一定の厳しさがあるということですから、利用者の方に過度な負担を求めない、そしてどこかでそれを財政で支えなければいけないということであれば、他の被用者保険と比べて脆弱さがある以上、私自身は国で財政基盤の強化をしていくこと、京都府だけではなく全体の国保財政の基盤を強化していくことが、府民・国民の健康の維持のために必要だと考えています。
埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故についてどのように受け止めているか。現在府としてどういう対応をしているのか。
陥没によりトラックが1台転落されたということです。それから、下水の使用を控えるよう要請がされたということで、かなり大都市部ですから、多くの方に影響を与えています。被害を受けておられる方には、心からお見舞いを申し上げます。
原因等がはっきりしないと何とも言えないですが、道路の陥没というのはある程度全国で大なり小なり起こっていますが、今回は大規模で、しかも大都市部で、多くの方の生活に関わるライフラインがあのような形で止まったというのは多分初めてだと思います。これは今後の原因究明にもよりますが、全国の下水だけではなく、様々なインフラについての維持管理などに場合によっては影響する可能性があります。
ただ、あの場所は管路が集中している、湾曲しているという特殊な構造上の特徴もあるようですので、原因が究明され、再発防止策がいずれ決まると思いますので、そこをしっかりと見て、我々の対策に活かしていきたいと考えています。
今回の事故を受けて、具体的に府独自で進められていることはあるか。
もともと国土交通省から緊急点検の指示があったのは、流域下水道の処理量が日量30万立米で、それに接続する管径が2メートル以上ということで、京都府の場合それに直接合致する所がなかったので点検指示はありませんでしたが、京都府では管径2メートル以上の管路が埋設されている箇所が13キロメートルほどありますので、2月5日までに路面の巡視をして異常がないことを確認しています。
管路内の点検については、埼玉県の事象の原因分析などの情報を踏まえて改めて対象範囲や手法を考えたいです。
もともと下水道法上で義務付けられている定期点検があり、腐食のおそれの大きい管路については5年に1度、それ以外にも7年に1度で一巡するように点検を行うということになっていますので、今までもその点検をしていまして、緊急的に措置しないといけない箇所はないことを確認しています。
京都府の場合は一番古いもので45年経過していますが、下水管路の標準的な耐用年数が50年ということで、まだそこには達してないですが、下水道法上の義務付けに合わせた点検はもちろんきちんとやっていきますし、今回の埼玉県の事例の原因分析や再発防止策を見て、我々も更なる対応について検討したいと考えています。
総務省が2024年の「住民基本台帳人口移動報告」を発表し、京都府は13年連続で転出超過となった。若者の大阪府や東京都への転出が止まらない状況について、「子育て環境日本一」を掲げる西脇知事としてはどのように捉えているか。
1月30日に公表された「住民基本台帳人口移動報告」によると、京都府の転出超過数が4,761人であり、2023年の2,635人から大幅に増加しています。
国全体で見ても、転入超過となっているのは、東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県、山梨県、大阪府、福岡県の7つの都府県です。全体として大都市、特に首都圏への人口集中の状況がさらに進んでいるということであり、この結果を非常に深刻に受け止めております。
京都の場合は、転入者数は2023年に過去最高を記録したのですが、2024年は1,700人程度減少し、同じく、2023年に過去最高を記録した転出者数は、さらに増加しています。年代別に見ると、10代の転入超過数が300人ほど減少して、20代の転出超過数が1,200人ほど増えています。転出先を見ると、大阪府・滋賀県・兵庫県など近隣府県への転出超過数が約1,600人増加しており、これが転出超過数が増えた大きな要因の一つだと考えています。東京都への転出超過数は50人ですが、神奈川県、埼玉県への転出者も多く、東京近郊への転出超過も増えています。
要因の分析については、まだ京都市以外の市町村の数字が公表されていないので、なかなかきっちりした分析はできませんが、少なくとも20代の近隣府県への転出超過数が大きく増加しているということは、就職や転職、場合によっては家庭を持たれる時かもしれませんが、そういうライフイベントを契機に、近隣府県の職場環境や居住環境を求めて転出されたのではないかと考えられます。
近隣府県に住んで京都の職場や学校に通うというのは、もともと一定のライフスタイルとして定着しています。それでも人口移動という形で、そこに増加傾向が見られるということは、我々が目指す「京都で住みたい、働きたい、子育てしたい」と若い世代に思ってもらえる環境づくりの必要性がますます高まっていると認識しています。
「子育て環境日本一」を御紹介いただきましたが、子育て環境以外にも就業環境や居住環境を含めた総合的な京都府の魅力づくりを進めていく必要があり、そのためには原点に立ち返って総合計画を着実に進めるということに尽きるためまずは着実に施策を実行していくことが基本だと考えています。
その上で、京都を若者に選ばれるまちにするためにどういう施策が必要なのかについて、以前に松井京都市長とも話したことはありますが、これまでの府市トップミーティングにおいては、まだ具体的な意見交換をしていませんが、京都市は府内人口の非常に大きな部分を占めているので、今後の府市トップミーティングで話し合い、施策を検討していく必要があると考えています。
居住環境や職場環境を求めて近隣府県に転出する方がいることについて、京都府にはどういうところが足りないと考えているか。
先ほど少し言いましたが、もともと近隣府県から京都府内の企業や京都府域の大学・高校に来られている方は一定数おられますので、そういう意味で一番必要なのは、やはり居住環境の整備だと思います。
その上で、居住といっても、職住近接ということを考えると職場の整備も当然必要ですし、首都圏に対する一定の人口流出もあることから、魅力ある産業の育成も必要です。
論点が若干変わりますが、京都府内の大学生の府内定着率は毎年17~19%程度なので、せっかく京都の大学を出られた方にできる限り定着していただくためには、魅力ある就職先の掘り起こしと育成が必要であり、総合的な対策を進めるべきだと考えています。
総務省の人口移動報告の結果によると、コロナ禍が終わり、改めて東京一極集中が課題となっているが、その是正についての所見はどうか。
東京都への転入超過数は、コロナ禍の最中だった2021年に5,000人台まで減少して、当時は私だけではなく、地方部の道府県は、この傾向が今後も続くのではないかと思ったのですが、その後は転入超過数が増えました。2023年が6万8,285人だったのが、2024年が7万9,285人と、ここのところずっと拡大しており、まさに東京一極集中の傾向が強まっているのではないかと考えています。
令和5年に国土形成計画が閣議決定され、その中でも、東京一極集中は地方の活力を喪失するし、巨大災害に対するリスクも増大するなど、様々な弊害があるとされています。まさに国土構造そのものに関わることなので、ぜひとも国を挙げて取り組んでいただきたいです。
石破総理も、施政方針演説の中で「地方創生2.0を進める」ということと合わせて、「一極集中を是正して、多極分散型の多様な経済社会を構築する」と述べられているので、これはまさに国の政策としてきちんとやっていただきたいです。国の動きと連動して、地方創生の取組をできる限り我々のほうで強力に進めていきたいと考えています。この問題には国と地方が連携して対処していかなければいけないと考えています。
大阪・関西万博の前売りチケットが目標の約半分しか売れておらず、当日券を導入する方針が示された。京都府も当初予算案に万博関連の事業をかなり組み込んでいると思うが、いまひとつ盛り上がりに欠ける現状についてどう考えるか。
前売りチケットの売れ行きについては承知しております。首都圏をはじめ関西以外での認知度が低いなど様々な課題がある中で、今回、大阪府、大阪市、関西広域連合に関西の経済団体3団体を加えた6者が石破総理に緊急要望をされました。特にチケットについては、万博自体の人気のこともさることながら、購入に非常に手間がかかるとか、手続きが難しいという課題も言われていますので、まずはチケットの販売をできる限り円滑化するためにということで4つの項目を要望されまして、当日券の販売についてはその中の一つです。
それ以外にも、要望としてコンビニで販売していることのPRなどがありますが、まずは興味を持った方ができるだけ簡潔かつ円滑にチケットを入手できるようにするのは当然のことだと考えています。
今の状況を見ると、非常に混雑し過ぎて混乱が起きる懸念よりも、販売の低迷の方が課題だと判断されて要望されたのであり、我々は関西広域連合の一員として今回の要望にも参画させていただいているので、まずは万博にできるだけ多くの方に来ていただくことが大きな目標であり、その目標を達成するためには当然の要望だと考えています。
高校授業料の無償化について、自民党、公明党、日本維新の会での協議が続いているが、知事はどう見ているか。
正式に発表されている項目はなく、報道で承知している限りでは、自民・公明両党が日本維新の会に対して、公立高校については本年4月から就学支援金の所得制限を撤廃する方向で調整を進めていると伝えたとのことですが、維新は私立高校についても公立高校と同様の所得制限の撤廃を主張していると言われています。
いつも言っていますが、高校の授業料の支援については、公立・私立を問わず、全国一律であることが望ましいと考えています。現行では公立・私立それぞれに国が支援していますが、それをさらに拡充することは、全国共通の課題です。どういう制度になるかは分からないので軽々には意見を言えませんが、国の動向をしっかりと見ていきたいと考えています。
特に私立高校の授業料の支援については、現状は都道府県の財政力によって差が生じているという課題があるので、もし制度を変えるとしても、私自身は全国一律に教育機会を確保するという観点から議論を進めていただきたいと考えています。以前からずっと目指している「家庭の経済状況や進学先に関わらず、全ての子どもたちが本人の希望に応じて安心して学べる環境をつくる」という観点から、建設的で前向きな議論が行われることを期待したいです。
「全国一律」というのは、公立と私立で支援レベルを区別するかどうかという議論とは別の話か。
完全に公立・私立を同様の支援レベルにするかどうかは別として、公立・私立をそれぞれ進学先として選択されているもともとの根っこの理由があるとは思いますが、一律というのは、私立高校の間では全国的に都道府県の財政力で差を設けないでいただきたいということです。公立と私立では、今でも国の就学支援では、所得制限の基準額も支援のレベルも少し異なっています。実際に教育にかかっているコストの違いも含めて、全く同じ金額での支援というわけではなく、同じ考え方で支援するのが良いのではないかということです。
公立と私立で一定の支援レベルの差があることは受け入れるということか。
今でも、公立高校はもともとの教育にかかっているコストが少ないということもあり、世帯年収が910万円以下の場合は就学支援金の支給対象となり、授業料が無償化されています。
私立高校の場合は、世帯年収が590万円以下で就額支援金の支給対象となっており、一定の差が設けられています。公立と私立の教育環境やかかっているコストの差についての配慮はあり得ることだと考えています。
北陸新幹線について、昨年末に与党PTが「1案に絞る」としていたが、結論を先送りした。その後、与党PTまたは国から京都府に対して説明をしたいという働きかけはあったのか。
私の方には今のところはありません。
水面下では何か動きがあるのか。
水面下でもないと思います。
今後、与党PTまたは国から、この時期に京都府に説明するという話は全くないということか。
そうです。ただ、北陸新幹線敦賀・新大阪間整備委員会が与党PTに報告された中間報告には、沿線の自治体に対してきちんと説明して理解を得るようにというような趣旨の文言がありましたので、当然それに沿った動きがいずれ行われるとは予想しています。
松井京都市長の就任から1年を迎えたが、これまで府市連携を進められてきた効果と今後の取組はどうか。
松井京都市長が就任され、より高いレベルの府市協調を実現したいと考えて、府市懇談会を「府市トップミーティング」という名称に改め、機動的に開催したいと考え、これまでは年1回の開催でしたが、今年度は既に3回開催しています。
その中で、府立高校と市立高校の探究学習の合同化や、京都府・京都市の周遊観光の推進、メディア関連やアート関連のイベントの実施時期や合同プロモーション実施の調整、それから、半導体産業の振興のための構想の策定等について取り上げてきました。探究学習と周遊観光については、令和6年度に具体的な取組をさせていただきました。これらについてはこれからも足並みを揃えていきたいと考えています。
それから令和7年度当初予算案では、メディア・アート関連イベントの連携、府立高校・市立高校の探究学習に関連したイベントの開催、半導体産業の振興をより具体化するためのビジネス機会の拡充や推進体制の構築について、予算計上しています。
私が令和7年度当初予算を記者発表した時に皆さんからご指摘があったように、府市トップミーティングで意見交換したこと以外でも、私と松井市長が連携の方向性を示すことで、京都府・京都市の担当者間同士が、一緒にやったほうが効果のあるものについては、従来以上に垣根をより低くして連携していると思っています。その意味で、松井市長と私が連携を進めてきた効果が表れてきているのではないかと考えています。
とはいえ、昨年は松井京都市長が就任された最初の年でしたので、これをもっと深めて拡充していかなければいけません。これからも前向きに努力をしていきたいと考えています。
業務における生成AIの利用について所見を聞きたい。昨日、鳥取県の平井知事が、個人情報が中国に流出する可能性があるため、中国の「ディープシーク」を業務では使わないと表明したが、京都府としては「ディープシーク」についてどう考えているか。
京都府では、一昨年から生成AIを試行的に使用し検証を行い、課題の整理をして今年から業務に使うということを始めています。実際の効果や課題については、当然検証しなければいけないと考えています。なお、今言われた中国の「ディープシーク」は、京都府では使っていません。
生成AIの利用には、もともとセキュリティが大きな課題の一つとしてありますが、これだけ人口が減少して人手不足になる中で、行政課題にある程度対応していくためには、業務の効率化という観点から生成AIを活用していくというのが一つの流れかと思います。仰るようにセキュリティ上の問題が起こることは当然避けなければいけないので、そういうことも含めて、私としては問題がない範囲で生成AIを活用していくという考えです。
競争入札における「1者入札」について聞きたい。競争入札で参加業者が結果的に1者であった場合、どうしても落札率が上がる傾向がある。良し悪しは別として、かつて東京都は1者入札をやめようとしたが実際にはできなかったようだが、知事は1者入札についてどう考えるか。
私も国土交通省で建設業課長の経験がありますが、入札についてはずっと試行錯誤が行われているのですが、もともとは指名競争入札でしたが、様々な談合事件を経て一般競争入札に変わりました。とはいえ、技術力を評価しないとダンピングによって質が悪くなるので、総合評価方式を入れたり、場合によってデザインビルド方式を入れたりと、かなり複雑化した様々な入札制度が行われてきています。
その理由は、当然、競争性の確保もありますし、もう一つは、公共が発注する訳ですから、できたものの質もきちんと確保しなければならず、そこをどう調和をするのかということです。要するに、価格だけで競争するのはいかがなものかという議論があります。実際、非常に低い価格で入札したために出来栄えが悪かったという例もあるので、そこを両立させるためにどうするかという議論の中で、1者入札の話も出てくる訳です。
一方、以前は建設業者が多く、過当競争でダンピングが発生していましたが、今はどちらかというと人手不足で施工ができないという状況です。入札に複数者の参加があるほうがふさわしいと思いますが、1者入札を全てやめるとなると、実際に施工できなくなったということも過去にありました。例えば学校建築などではそうしたことが多いです。
そうした事態を避けるためにどうしたら良いのかとなると、色々な工夫があると思うのですが、一つは予定価格を適正に積算することが重要です。というのは、入札するのは民間企業なので、一定の収益性が確保できることを前提にしないといけません。無理やり応札させることはできません。どんな制度にしても、自主的に応札してもらうためには、魅力あると言うと語弊があるかもしれませんが、適正な工事として発注することが一番の原則だと考えています。
あとは競争性を確保するために、どれだけ広い範囲から応募してもらうかということです。ただ、応募範囲をあまり広くし過ぎると、施工能力がないこともあり得るので、そこは応募範囲と施工能力の兼ね合いを考慮すべきですが、原則としては、当然競争してもらう必要があるので、複数者で入札してもらうのが適切だと考えています。
ただ、1者入札を全て排除することで、現場で公共的なものを造ることができなくなっては困ります。そうなると、あとは1者入札であっても、その入札が法令違反していないか、また法令だけではなく、適切、適正な形で入札されているのかどうかを検証することが最低限必要です。
1者入札を完全に入口で排除するのは、今の施工状況からするとなかなか難しいのではないかということが、紆余曲折があった中で、今私が考えていることです。
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