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令和6年12月12日定例知事記者会見

 

鷲峰山トンネルの開通について

本日の発表項目は、鷲峰山トンネルの開通についてです。

京都府では、宇治田原町と和束町にまたがる犬打峠において整備を進めてまいりました鷲峰山トンネルを含むバイパス事業につきまして、来たる令和7年2月24日に供用開始することを決定いたしました。

犬打峠は道路幅が狭くて、急カーブが連続しており、車両同士のすれ違いも困難な交通の難所であり、大雨などの災害によって通行止めとなることも多い場所です。

この鷲峰山トンネルが開通することにより、走行性と交通の安全性が向上し、宇治田原町、和束町間の所要時間が約15分間短縮されますとともに、大雨等の異常気象時にも常時通行可能となります。

さらに、今後、開通が予定されています新名神高速道路へのアクセス性が向上することにより、交流人口の拡大に伴う地域産業の振興、地域の活性化についても期待しております。

開通日当日は、宇治田原、和束両町長をはじめ鷲峰山トンネルの事業推進に御尽力いただいた皆様をお招きして、和束小学校において開通記念式典を、鷲峰山トンネル坑口において通り初め式を執り行うこととしておりますので、当日の取材についてよろしくお願いいたします。

私からは以上です。

 

質疑応答

記者

鷲峰山トンネルの開通による効果についてはどうか。

知事

犬打峠の現道については、車両のすれ違いが本当に困難であり、異常気象時には通行止めになることもあり、開通によって交通の安心・安全が確保されるということが、まずは非常に大きい効果です。それから、当然、所要時間も短くなるので、宇治田原町と和束町の両地域の交流も拡大しますし、今後開通が予定されている新名神高速道路へのアクセスという意味においても、新名神高速道路の開通効果を南側に波及させていくという意味においても、トンネル開通の効果は非常に大きいと考えています。

記者

鷲峰山トンネルの開通によって、特に和束町と宇治田原町にどのような効果があるのか。

知事

発表資料2枚目の真ん中に平面図を掲載しておりますが、この図の黄色部分が現道です。私も何度か通ったことがありますが、車両のすれ違いが困難な区間が非常にたくさんあり、道の両側が切り立った崖になっています。

発表資料2枚目の一番上の地図を見ていただきますと分かりますとおり、和束町と宇治田原町間の最短距離はこの宇治木屋線(犬打峠)を通ることですが、そうした交通の難所でしたので、本当に急ぐ時を除いては、安全確保をするために迂回をしていました。

トンネルは異常降雨時でも通ることができるので、安全にかつ速やかに二つの町を結ぶ道ができたということです。

さらに新名神高速道路の開通後は、新名神から和束町にアクセスするには、このトンネルを使ったルートが最短で一番安全になります。

こうしたことから、トンネルとしては非常に大きな効果がある事業だと考えています。

記者

地域の方の生活にどのような役割を発揮してほしいか。

知事

前々から、現道が最短なので使いたいが、交通の安全が確保できないという声がありました。

5月に現道の路肩の崩壊があったように地形的に困難なところなので、万が一、もっと大きな災害が起こり、長い間、交通が途絶されるようなことがあれば困ります。

和束町と宇治田原町はお茶産業が盛んな町であり、新名神高速道路の開通後の話にはなりますが、新名神を経由して和束の茶畑の風景を見に行っていただくなど、観光振興上も、極めて有効なルートになるのではないかと考えています。

記者

鷲峰山トンネルについては、開通が1年遅れたのか。

担当者

トンネルの掘削において、地盤の軟弱な部分があり、慎重に工事を進めるために、完成時期を1年後ろ倒しの令和6年度に変更した経緯があります。

記者

難工事だったトンネルの開通見通しがついたことについて、どのように感じているか。

知事

交通の難所となっている現道の峠がありますが、トンネルを作ることで、それが解消されるので非常に整備効果が高いと考えています。なかなか府の事業で延長3,000メートル近いトンネルの整備はそうたくさんありませんので、府の事業としてはかなり大規模な事業として着手しました。

そのため、少し遅れましたが、無事に開通を迎えられることは感慨深いですし、多くの地元の方にも協力いただいたので、地権者や施工事業者の方々も含めて、関係する皆様に心から感謝申し上げます。

記者

北陸新幹線について、明日の与党PTのヒアリングには知事も出席すると思うが、現行ルートでの建設について意見を求められた場合はどういうことを訴えていくのか。

知事

どういうことについて意見を求められるのかはっきりしている訳ではありませんが、今の私の立場としては、これまでも申し上げていますが、国と鉄道・運輸機構において、府民の皆様の理解と納得が得られるためにも、慎重な調査と丁寧な地元説明を行っていただくということ。そして地下水など様々な施工上の課題がありますし、環境の保全についても適切に対応していただく必要があると考えていますので、その点について我々の立場や考えを申し述べて参りたいと考えています。

ルート選択のような話になるのかどうかは分かりませんが、その前段として府民の皆様の理解と納得のために、慎重な調査と丁寧な地元説明という点については、強く訴えていきたいと考えています。

また、建設費の地方負担について問われれば、受益に応じた負担ということをこれまでも申し上げておりますので、そのことについては強く求めて参りたいと考えています。

記者

先日の記者会見でも地下水が課題だと言われており、酒造組合からも要望があったが、知事の受け止めはどうか。

知事

京都府酒造組合連合会と伏見酒造組合から要望をいただきました。要望の中身は既に御承知だと思いますが、要望書にも書いてありますように、酒造組合はこれまでも地下水に影響が出るような事業の実施にあたっては、その都度、様々な要望をされてきたという経緯があります。酒造組合にとってみれば、水は酒造りに欠かせないものなので、様々な御意見をお持ちだということは分かっていますので、要望の趣旨はしっかりと受け止めていきたいと考えていますし、もし必要があれば、ヒアリングの場でもそうした声が出ていることについて、きちんとお伝えしたいと考えています。

記者

費用については、知事は受益に応じた負担をということをずっと言われている中、西田委員長は全額国費で負担をというような発言もされているが、それは可能だと思うか。

知事

西田先生の仰っていることについて、私は評価する立場にありません。

ただ、財政当局の判断もありますし、それから過去の新幹線整備における財政負担の枠組みについての経過もありますので、様々な論点があると考えています。

全額国費かどうかは別にしても、現行の制度にとらわれない取組をしていただかないと、なかなか受益に応じた負担にはならないのではないかと、漠然ではありますが考えています。

記者

松井市長は、先日の記者会見で地下水や財政負担などの4つの課題をクリアできなければ、(新幹線整備に)同意できないというような発言をされたが、知事も同じ考えか。

知事

同意できないと言われたかどうかは私も確認していませんが、環境への影響、残土の処分、交通渋滞、財政負担という4つの懸念があるということは常に仰っていますので、そのことについては、今までと先日の記者会見で、松井市長の発言がそれほど大きく変わったとは思っていません。

我々も府民の皆様の理解と納得を得ることが重要だと言っていますので、それが得られないのであれば、私がというよりも、京都府全体として何らかの対応を求めていく必要があると考えています。

これからも様々な手続きがありますので、その中で市長が手続きとしてそういうことを言われるのは理解できます。

ただその前に、先ほど挙げた4つの懸念については、それがどうなるのかということについて、納得できるような形での説明や根拠が欲しいと市長も仰っていると思いますし、そうした点については私も全く同じ立場です。

記者

府民の理解と納得が得られないなら何らかの対応を求めていくとのことだが、何らかの対応とは具体的にどういうことか。

知事

それは、私ではなく事業主体の方で色々と考えられると思いますが、我々が色々なことを判断するに足るだけの根拠や資料などをお示しいただくことが、まず第一歩だと考えています。その上で、松井市長も懸念と仰っていますが、影響があるのかどうか分からないので懸念と仰っている訳であり、まずは新幹線整備の影響や課題をつまびらかにしていくことが重要だと考えています。

記者

ルートの是非について、仮に明日のヒアリングで意見を求められた場合は、どう答えるのか。

知事

仮の話をすると混乱するので、回答は差し控えたいと思います。

ただ、先ほど答えたとおり、まずはルートだけでなく、事業全体についての様々な施工上の課題を判断するにあたって、判断をするだけの材料が必要だという立場は変わりません。

記者

北陸新幹線については、市民団体から知事にかなりの数の要望書が提出されていると思うが、どれくらい要望書を受け取られているか。

知事

要望書にはもちろん目を通していますが、基本的には私が直接受け取ったものはありません。ただし、自民党京都府議会議員団からの最初の要望書については、令和7年度予算編成要望と同じタイミングで渡されたので、直接受け取りました。

記者

担当課などに渡されたものも含めた要望書の数はどうか。

担当者

令和6年度は7団体から8件の要望書をいただいています。

記者

要望書は目を通しているということだが、その受け止めはどうか。

知事

一つには、非常に高い関心を持たれていると感じています。先ほど、判断するための様々な材料が足りていないという話もしましたが、やはりよく分からないことに対して気になっている部分が多いのではと思います。

まさにこれから事業を実施していくプロセスにあり、しかも環境アセスメントの答えを出すための手続きの途中経過の中で3ルート案も含めて事業費も示されたので、私自身もですが、分からないことがまだまだ多いので、その反応は当然なのかなと思います。

記者

松井市長は、前回の会見で、ヒアリングで懸念を伝えたいと話されていたが、知事としても地元からこういう懸念が出ているということを伝えるのか。

知事

全部をそのまま伝えるということではありません。私自身が京都府の代表としてヒアリングを受けるので、まず京都府として考えている施工上の課題をお伝えするということになります。その過程の中で、府民や色々な方からも懸念の声をお聞きしているということは御紹介すると思いますが、明日は、意見を紹介する場ではなく、知事としての意見を述べる場です。引用する部分もあるかもしれませんが、私としては、それぞれの色々な意見も全部踏まえた上で、施工上の課題について、トータルにお話をさせていただきたいと考えています。

記者

知事が考える一番の施工上の課題は何か。

知事

それは地下水の問題だと考えています。

有識者の方がよく仰いますが、京都の都としての成り立ちには、水の存在が非常に大きいのです。琵琶湖に匹敵する量の水が、地下の水盤にあるとも言われています。水が京都の北から南に流れているというのは鉄道・運輸機構の資料にもありますが、かなりたくさんの井戸水を酒造組合やそれ以外でも多く使われています。

ただ、課題はこれだけではありません。松井市長も仰っている建設発生土の処分や運搬など様々にありますので、ヒアリングではトータルにお話したいと考えています。

一つ何かを挙げるとすれば地下水の問題が一番です。目に触れないだけに、より懸念が広がりやすい分野だと思います。

記者

様々な課題がある中での北陸新幹線の延伸の必要性はどうか。

知事

日本海側を通るルートとして第二国土軸を形成し、リダンダンシーを確保することについて、国土政策上の意義は認めています。

それを実現するためにも、整備にあたっては施工上の課題についてきちんと検討して、答えを出していく必要があると考えています。

記者

北陸新幹線の3ルート案について、ヒアリングでどこまで意見を求められるか分からないということだが、仮に意見を求められた場合は、具体的にどの案を推すかを言及する可能性はあるのか。

知事

それは先ほど答えたとおり、3ルート案のことだけではなく全体についてです。10キロ幅で実施された環境アセスメント図書への知事意見も提出しています、3ルート案のこともさることながら、それに至る部分も含めて、我々が判断するためには、色々な材料が必要だということはお話申し上げようと考えています。

ただ、ヒアリングですので、その場でどのようなことを聞かれるか、想定しているとおりになるかどうかは、分かりません。

記者

具体的にどのルートか判断するための材料が足りていないというニュアンスにも受け取れるが、どうか。

知事

そうです。足りていないということです。

記者

ルート案について明言しきれない可能性はあるということか。

知事

3ルートを選ぶということだけでなく、それぞれの案も含めた全体について、環境上の影響や地下水への影響に関して、京都府全体として「ここなら大丈夫、ここならダメだ」といったことを言うだけの材料はまだ足りていないと考えています。

記者

先週、福井県知事とJR西日本のヒアリングがあり、それぞれ色々な意見を言われたが、どのように受け止めたか。

知事

ヒアリングは非公開になっており、ヒアリング後に、各々がどのようなことを発表されたのか詳細を確認できていません。報道などで若干は承知していますが、本当にどういったこと仰ったのかは分からないので、ここで紹介するだけの知識はありません。

委員会の模様は、西田委員長が責任をもって全体についてブリーフィングされると聞いていますので、その範囲で、私は正式に知ることになるので、福井県やJR西日本がどのように言われたのかは分かりません。

記者

JR西日本の社長は、ヒアリング後の囲み取材で、京都駅に近いルートが望ましいと仰っていたが、知事の受け止めはどうか。

知事

鉄道の事業主体として、接続のことや乗り換え利便性を考慮して、発言されたのかもしれませんが、どういうことを本当に仰ったのかは分からないので、仮の発言内容について、私がここでコメントすることはできません。

記者

地域の声をどのように拾うのかは難しい課題だと思うが、府として今後、北陸新幹線について府民がどのように考えているかを知るために調査やアンケートをする予定はあるか。

知事

まだまだそういう段階ではなく、あくまで事業主体である鉄道・運輸機構が環境アセスメントをしているところであり、今のところ彼らが示している情報では、私達は判断できかねると言っているので、まずはそこがスタート台だと思います。

我々が事業主体であれば、積極的にどんどん乗り出していかなければいけませんが、あくまで我々は地元の立場として、府民の声を代表していくということなので、まずは事業主体がどういうアクションを取るのかということです。

明日は私のヒアリングなどを通して、もちろんそれだけではなく、周囲からの声を受けとめて、どう行動されるかというのは、事業主体の判断ではないかと思います。

記者

自民党京都府議団が2通の要望書を知事に出されており、2通目はメモだということを府議団幹部が言っているという報道もあるが、知事は要望書として受け取られているのか。

知事

私あてに来た要望書は2通とも正式なものとして受け止めています。普通は後から来たものが優先されると思いますが、両方とも趣旨は府域全体に整備効果が波及するようにということですので、その思いはよく分かります。

自民党京都府議団の中で要望書を取りまとめられた手続きについては、私は預かり知らないので、出てきたものが全てだということです。

記者

ヒアリングでは、自民党京都府議団の要望書の内容を何らかの形で伝えるのか。

知事

要望書の内容を伝えるかどうかは、ヒアリングの流れにもよりますが、おそらく伝えることになると思います。

ただし、与党PT整備委員会のヒアリングであり、同じ党からの要望書として、事実出ているものなので、別段、私が伝えなくても皆さんご存じだとは思います。

記者

自民党京都府議団の2通の要望書については、文言が微妙に変わっていた。先ほど知事は2通とも正式な要望書だと言われたが、後から提出された要望書の方が、重きの置かれたきちんとした要望書だと認識しているのか。

知事

きちんとしたということではありませんが、我々は予算でも何でも、同じテーマで次のステップに進み、最新で出されたものの方がより今の思いに近いものだと認識しています。それはどのような手続きであっても、皆さんも同じ認識だと思います。

重きを置くということではなく、両方とも正式な要望書として受け取っているということです。

記者

両方とも読んだのか。

知事

もちろん読んでいます。

記者

なぜ変わっているのかと思わなかったか。

知事

そんなことは思いません。趣旨は、府域全域に整備効果を波及させてほしいということに尽きると思うので、それをどう実現するかということだと考えています。

記者

同じ団体から、少し時間をおいて要望書の内容が変更されて出てきたことに対して、なぜなのかと思わないのか。

知事

理由は色々とあるのだと思います。

ただ、同じ団体から出てきている訳なので、若干変わってはいましたが、新しく出された方が最新の情報に基づいて出されたものでないかと思ったということです。

記者

自民党の中には2本目の要望書は「メモだ」と言う人がおり、私も実際取材で聞いたことがあるが、知事としてはメモではなく要望書として受け取ったということか。

知事

メモとは書いておらず、要望書と書いているので、要望書だと思っています。

記者

明日のヒアリングの前に松井京都市長と話をする予定はあるか。

知事

毎日色々なところで会っているので、わざわざ事前に話をする必要はないと思っています。

記者

ヒアリングについての打ち合わせはしないのか。

知事

わざわざ「打ち合わせ」と銘打たなくても、毎日、十分に打ち合わせをしているようなものだと思っています。

記者

電話などをしているのか。

知事

日々、色々なイベントでもお会いしているということです。

ヒアリングでは、府の立場と基礎自治体である京都市の立場は自ずから違うので、齟齬があってはいけないとは思いますが、同じことを言う訳ではありません。

松井市長はあくまで京都市の立場でお話されるので、中身をすり合わせるということではありません。出席するかどうかくらいは話をしていますが、中身はそれぞれの立場でお話させていただくものであり、だからこそ2人呼ばれているのだと思います。

記者

費用負担について、現行の制度にとらわれることのないようにと言われているのは、具体的にどういうことか。

知事

延伸に伴う国と地方の負担割合のことがありますし、それから貸付料を入れて全体の負担を下げるなど、色々とあります。

地方財政措置まで話を広げれば、過去の財政の枠組みもありますが、これまでの整備新幹線についての地方負担の仕組みありきということではなく、今までも言っていましたが、それにとらわれないようにということをお話しないといけないと考えています。

記者

極論で言うと全額を国が負担すべきと考えているのか。

知事

そうではなくて、今は環境アセスメントの終盤に差し掛かっており、どちらかというと環境への影響を評価する段階になっていますので、この段階で負担の話について道筋がつくようなことになるのかと言えば、それは少し段階が早いのではないかと思います。ただ、気持ちは伝えておかないといけませんので伝えますけれども、細かい制度の話は、まだ先の話だと思います。現に、総額の概算事業費が示されているだけであり、府県別の負担割合などは何も示されていません。それは多分ルートがきちんと決まらないと計算できないのだと思います。

なので、明日のヒアリングでは、それほど厳密な話にはならないと思います。

記者

北陸新幹線について、松井京都市長は交通渋滞の課題も掲げられているが、知事も同様に課題だと考えているのか。

知事

施工上の課題は多くあり、事業実施時における交通渋滞の話も当然あります。

記者

与党PTでは年内にルートを決定するという方針だが、年内に決定する必要性をどのように考えているか。

知事

私どもが必要性を議論する立場にはなく、それは全体の新幹線整備に責任をもっておられる国と鉄道・運輸機構が与党の枠組みの中でお考えになるので、私どもはあくまで地元の立場としてきちんとお話申し上げるということに尽きます。

記者

もっと議論を続けた方が良いということか。

知事

そういうことまで言うかどうかも含めて、ヒアリングで今の状況をお話するということです。

記者

自民党京都府議団の要望書については、「基本的には府域全体に整備効果を波及させてほしいということに尽きる」とのことだが、ヒアリングではそういった内容をお伝えするという理解でいいのか。

知事

そうではなくて、紹介するかどうかも分かりませんが、もし紹介するのであれば、自民党京都府議団の要望を全文引用しないといけません。先ほどの発言は、私がそういう趣旨だと受け止めているということです。

もし紹介するならそのまま引用することになります。ただ、「どういう趣旨か」と聞かれたら「こうじゃないですか」と答えるかもしれませんが、そこは議論にならないと思います。

記者

最初の要望書と2回目の要望書を両方紹介するのか。

知事

私から言わなければいけないことはたくさんあるので、自民党京都府議団の要望にそれほど時間を割くことはできないと思います。

記者

先ほど、費用負担を議論するには、まだ段階がまだ早いのではないかという話をされたのは、どういう意図か。

知事

例えば、手続き上、費用負担をはっきりさせるには、着工5条件と言われる中の「安定的な財源の確保」がないとできないとされており、地方の負担分についても、「安定的な財源の確保」に入ります。

まずは、どういう形で事業を進めるのかを決めるために、今、環境アセスメントをしているので、段階としては費用負担の話は、その次の段階ではないかと思っています。

地下水への影響と費用負担を同時に議論して「費用負担は良かったが、地下水の影響が大変でした」とはならず、まずは事業がもたらす施工上の課題はきちんと整理してもらわないといけません。

ただし、費用負担の話も皆様の関心が高いので、ヒアリングの場では、この段階における府の立場をお話させていただきたいと思います。ただ、レスポンスはそう簡単にはないと思います。

記者

段階を踏むのも分かるが、費用負担の話もルート選定に不可欠な話だと思う。受益が3案ごとに異なるので、環境アセスメントの後にするのではなく、同時に費用負担を勘案しないと年内のルート選定は難しいのではないか。

知事

後に、というのは少し語弊があります。

他の整備新幹線では環境アセスメントが早くに終わっていて、その後に着工に至るというプロセスを踏むことが多いですが、今回はまだ環境アセスメントが終わっていませんので敦賀以西は費用負担の話が並行的に出ることは当然だと認識しています。

私が言ったのは、「受益に応じた負担を」と要望して、そうするためには、どのような制度があるかを聞いた時に、国から簡単にレスポンスが来るような段階ではないと申し上げました。

記者

今、環境アセスメントと費用負担の話は並行して議論されているのか。

知事

国も鉄道・運輸機構も与党も並行して議論するとまでは言っていません。ただ、負担できるのかという話は、常につきまとっています。本当に負担できるかどうかは、かなり厳密な様々な取組をしないといけないと考えています。

記者

新幹線の手続きとしては、環境アセスメントを先に完了してから費用負担の議論をするというのが今までの慣例なのか。

知事

環境アセスメントが早く終わっているということもあったのですが、ケースバイケースで、同時並行的に費用負担の話を始めているケースもあり、決まり事はないようです。

記者

それであれば、知事も費用負担の議論を進め、そちらで早く納得できれば、環境アセスメントの議論もスムーズにいくのでは。

知事

府民の皆様への影響や、理解と納得を得ることなどを考えると、費用が負担できるからやるのではなくて、納得できる事業内容になっているかどうかが大前提としてあると考えています。

記者

昨日、年収の壁について、自民党、公明党、国民民主党で178万円を目指すことが合意されたが、知事の受け止めを伺いたい。

知事

先日の会見でも申し上げましたが、103万円の壁というのは、様々な形で働く人々の働き方に影響していることは間違いないですし、しかも物価が上昇して賃上げも行われるという状況であれば、壁の影響は足元で拡大しているのではないかと考えています。この年収の壁の問題を労働市場の活性化という観点から見れば、議論されることは非常にいいことだと考えています。そのような労働市場の活性化という観点に立てば、今回の合意はその一歩ですので、一定評価すべきだと考えています。

ただし、見直しに伴って地方財政に与える影響が非常に大きく、多くの自治体からその懸念の声が上がっていますので、壁の問題と地方財政への影響の問題はトータルで是非議論いただきたいです。これは、今回合意したからといって認識は変わっていません。

我々も、先日行いました政府要望において地方の財政運営に支障が生じないようにということで必要な措置をお願いしていますので、引き続き声を上げていきたいです。

ただし、この件は京都府単独の話ではなく地方全体の話ですし、年末に向けて税制の議論もありますし、地方財政計画の議論もされていきますので、必要に応じて声を上げていかないといけない場面が出てくるかもしれないですが、都道府県が個別で行くような話ではなく、おそらく知事会など一定の組織の中でやっていく方が良いのかもしれないです。

記者

今月、古都京都の文化財が世界遺産に登録されて30年を迎えるが、観光客が一部に集中したり、文化財を維持する費用が大変だったりと色々な課題があると思う。

京都府としても周遊観光や色々な取組をしているが、今、知事が考えている課題や今後取り組みたいことはどうか。

知事

「オーバーツーリズム」という言葉が一人歩きしていますが、京都市内でも本当に混雑している箇所は限られており、どこもかしこも混んでいるということではありません。

コロナ禍からの日本人観光客の戻りが若干鈍いので、外国人観光客の存在が目立ちますが、観光客が増えたことによって起こっている最大の課題は、公共交通だと考えています。

もちろん、他にもマナーの問題などもありますが、公共交通については全体の人口減少に伴う人手不足とも絡み合っている課題であり、特に一般の通勤・通学、市民・府民の皆様の通常の公共交通の利用の障害になっているということであれば、これは一つ大きな課題だと考えています。

どこもかしこも市バスが混んでいる訳ではありませんし、京都市も色々な工夫をされており、交通マネジメント等のソフト面での工夫や京都駅から観光地への直通バスの運行などをされています。そうしたことを色々と組み合わせて解決していくしかないのかなと考えています。

先ほど申しましたとおり、人手不足のことも絡んでいるので、難しい課題ではありますが、ここが一番力を入れるべきところだと考えています。

記者

ガソリン暫定税率廃止についての所見はどうか。

知事

原油価格高騰の中で家計に影響を与えることは間違いないのですが、年収の壁とはまた違ってあくまで負担軽減の話なのですが、これも地方財政に影響を与えるのは間違いないので、そこもトータルで議論してほしいです。

記者

国が水道水に含まれるPFASの関係で検査結果を公表し、府内でも暫定目標値である50ナノグラムには届かなかったが、PFASが検出されたことについて対策や国への要望があれば伺いたい。

知事

11月29日に国が過去の分も含めて全国分を取りまとめて公表されました。過去には府内で基準値超過が確認されましたが、最新の検査では、全て暫定目標値を下回る結果が発表されています。

国は以前から水道事業者に対して暫定目標値を超えないように管理するよう要請されていましたし、京都府でも水質基準に準じた検査等の実施に努めるように要請しております。

もし万が一、暫定数値を超えたことが確認された場合には、水道事業者に水源の切り替えや濃度を低減するような措置を要請しますし、国の手引きに基づいて、例えば周辺調査などをしていきます。

先日の政府要望でも申し上げましたが、国の方で最新の科学的知見に基づいた健康への影響を明確にするとともに、発生源の特定方法や汚染除去の方法を科学的に解明してもらわないといけないので、国で早急に結論を出していただきたいです。

 

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