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まず、発表項目に先立ち一言申し上げます。
昨日、8日に日向灘を震源としたマグニチュード7.1の地震が発生しました。
被災されました方々に心からお見舞いを申し上げます。
気象庁によりますと、この地震と南海トラフ地震との関連性について検討した結果、南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が発表され、南海トラフ地震の想定震源域では、大規模地震の発生可能性が平常時に比べて相対的に高まり、もし大規模地震が発生しますと、強い揺れや高い津波が生じると考えられています。
地震の発生に備えて、避難場所や避難経路を確認すること、家族との安否確認手段を確認すること、家具の固定を確認すること、非常持出品を確認することなど、普段からの備えの再確認をお願いします。
地震発生時には命を守るための行動を取っていただき、ご近所でも声かけを行うなど、助け合っていただくよう、よろしくお願いします。
それでは、発表項目に移らせていただきます。
本日の発表項目は、「京都版ミニ・ミュンヘンin福知山」の開催についてです。
京都府では、昨年改定しました「子育て環境日本一推進戦略」に基づき、子どもの“ええ顔”があふれる京都をつくり、結婚や子育てに対するポジティブなイメージを広げるために、「子育てが楽しい風土づくり」に取り組んでいます。
その一環として、ドイツでは30年以上に渡って実施されていますミニ・ミュンヘンを参考にしまして、子どもだけで仮設のまちをつくり、運営する「京都版ミニ・ミュンヘン」の第1弾を8月12日(月曜日)に福知山市の広小路パーキングで開催します。
当日は、企画段階から参加している子どもたちが中心となり、子どもたちだけのまち「ドリームドッコイセタウン」をつくります。
この「ドリームドッコイセタウン」では、事前のワークショップを通して子どもたちがつくりあげた市役所や銀行、店舗が建ち並ぶほか、実際のまちのように、当日参加する小中学生も市民となって、仕事を探し、稼いだお金を使った消費活動を体験しながら、「子ども市長」を中心に、税金の使い道などのまちのルールを決めるなど、子どもたちが自らの意思に従って自由に過ごすことができます。
大人は口出し禁止なので、市民となることはできませんが、見学はどなたでもできますので、まちを楽しむ子どもの「ええ顔」をぜひ見ていただきたいと考えています。
締めくくりには、「子ども市長」によるステージでの発表も予定していますので、当日の取材につきまして、皆さまの御協力をよろしくお願いいたします。
最後に、資料はございませんが、大変暑い日が続いていますので、のどが渇いていなくてもこまめな水分補給を心がけ、屋外では日傘や帽子で暑さを避け、屋内ではエアコンや扇風機をためらわずに使うなど、熱中症には十分気を付けていただきたいと思います。
新型コロナウイルス感染症にも注意が必要です。
今回の変異株(KP.3)は感染力が非常に高いとされています。
府民の皆さまにおかれましては、手洗いや換気、せき等の症状があればマスク着用を行うなど、引き続きそれぞれの状況に応じて、基本的な感染対策を取っていただきますようお願いします。
また、手足口病も感染が続いておりますが、これにはアルコール消毒が効きにくいため、流水と石けんによる手洗いが重要です。
体調を崩しがちな夏ですが、体調管理には十分気を付けて、この夏をお過ごしください。
私からは、以上です。
地震について、先程避難経路の確認や備えについてしっかりするよう呼びかけられたが、今回初めて南海トラフ地震臨時情報が出されたということもあり、府民の中にはどう行動したらいいか分からないという方もいると思う。また、今夏休み期間中でお盆にも入るが、この1週間は旅行を控えるなど、先ほど仰ったこと以外で府民に対して日常生活でどのようなことを警戒して欲しいのか。
基本的には、昨日からも盛んに報道されていますが、社会経済活動は継続しながら地震への備えを再確認するということなので、先ほど私が申し上げました確認事項について、改めて備えを確認していただきたいということです。日常生活の継続については、従来と変わらない形で継続していただくというのが基本的な対応だと考えていますので、私としては地震への備えの再確認以上に、何か府民の皆様に他の行動を呼び掛けるということは予定していません。
実際に被害が発生した場合に、避難所の開設などは市町村が対応すると思うが、京都府としては今の段階でどういう準備を市町村に呼びかけているのか。
各部局に施設の点検なども指示していますので、当然、各市町村の防災部局でも同じような対応が行われるのではないかと思っていますが、(市町村に)具体的にどういうことをするようにといった呼びかけはしていません。
府として市町村には、どのようなこと呼びかけているのか。例えば、避難所の開設に向けての準備や確認などについてか。
日頃からやっていただいていることですが、災害が発生した場合に市町村の職員がどういう行動をとればいいのかということのマニュアルをチェックするとか、これからお盆の時期にも入りますので、職員への連絡体制などを改めてきちんと確保しておくとか、そういうことをやっていただければと思います。
ただ、通常の社会経済活動を行いながらということなので、その範囲の中で、年に1、2回の訓練の時だけでなく、南海トラフ地震臨時情報発表が出たことをきっかけとして改めてマニュアルを点検することなどが挙げられます。あとは、例えば備蓄品のチェックなどもされると思います。改めて備えを確認することが重要だと考えています。
府民の方にも備えの再確認をお願いしていたが、行政でも備えを再確認するということか。
そうです。やはり行政としても、改めて災害が発生した時にどういう行動をとるのかについては、マニュアルもありますが、それを職員で共有してもらうことや、備蓄についても、場所や数量の確認など、常に行われていると思いますが、この臨時情報が出たことによって、改めて確認をしてもらうなど、そういう備えがきちんとできているかどうかを、ぜひとも確認していただきたいです。
夏休みやお盆の時期に入り、京都に住んでいない方も大勢京都に来ており、この時期に大きな災害が起きるといろいろな混乱が想定されるが、そういう観点からはどのような注意を呼びかけるか。
お盆に限らず、日頃生活している場所では避難経路や避難場所の確認をされると思いますが、改めて旅行先での避難場所の確認などをお願いしたいです。
出先で不慣れな土地でも、いざという時に避難等ができるように、旅行先等での災害情報をきちんと把握していただきたいということをお願いしたいです。
地震に関連して、既に、偽情報やデマがインターネット上で出ているという話があるが、府の方で把握しているトラブル情報があれば教えて欲しい。また、知事から府民へのメッセージはあるか。
今回の地震については、九州を中心に震度が大きかったこともあり、京都府内で何かデマ情報などが出たということは聞いていません。全ての情報を把握している訳ではありませんが、私の手元にはそのような情報は来ていません。
特に災害発生時には、本当に命を救える救出救助のためや、的確に救援物資を届けるための正しい災害情報というのが、最も重要です。能登半島地震でもありましたが、そこにそのような偽情報やデマ情報が入ってくると、それ自体も迷惑ですが、本当に助けを必要とする人に、助けの手が届かないということにもなりかねないので、絶対にやめていただきたいです。
我々だけでなく、警察もそのような問題意識を持っておられると思いますが、本当に悪質な場合は、きちんと取り締まるというようなことも含めて、災害時における的確な情報の提供については、是非とも皆さまに御協力をいただきたいです。
京都府には、南海トラフ地震が発生した際の被害想定はあるのか。
被害想定は当然あります。2014年の想定なので10年前になりますが、震度6強で死者860人の想定をしています。
今回発生した地震により、九州で被害が出ているが、何か支援の取組はあるか。
全国知事会において受け皿となる災害対策都道府県連絡本部を設置しており、関西広域連合でも関西広域連合対策準備室が設置されており、情報収集をしています。もし本当に支援が必要であれば、そこに被災地からの救援要請が来ます。
本日昼過ぎの段階で、宮崎県からは支援不要という話が来ており、おそらく被害が一番多い宮崎県から救援要請がないということであれば、当面、我々の方としては動きがないということです。
ただし、災害対策都道府県連絡本部などを設置していますので、もし何かあれば、我々の方にも要請が来ると思います。
北陸新幹線について、7日に与党PTが開催され、工期や事業費、京都府内を通る3つのルート案が示されたが、これに対して国から正式な説明があったのか。説明があったのであればどういう内容だったのか。
8月7日に与党PT北陸新幹線敦賀・大阪間整備検討委員会が開催され、その場でルート案などの資料が公表され、報道もされています。
そして昨日、北陸新幹線事業推進調査連絡会議が開催されました。京都府からは武田副知事が構成メンバーとして入っていまして、7日に与党の委員会で示された資料につきまして、国と鉄道運輸機構の方から説明がありました。説明の内容は、示されている案について工期や概算事業費や課題が資料に記載されていますが、資料の通り説明を受けたと報告を受けています。
その場でも、京都府からは、引き続き国や機構においては、慎重な調査と丁寧な地元の説明を行うとともに、地下水や建設発生土などの施工上の課題、環境の保全について適切に対応していただく必要があるという考えを示しました。また地方負担については、従来通り受益に応じた負担を求めたというところで、いずれにしても、公表されてる資料に基づいて、その説明があったというのが今の段階です。
また、月内に与党の委員会では、概算要求がありますので、それに向けて議論がされる見込みであると聞いていますが、具体的な検討の進め方等については、特段の説明はなかったと聞いています。
また、昨日の斎藤国土交通大臣の記者会見で、「まずは、示した駅位置やルートなどについて、沿線自治体の皆様の理解を得られるよう、鉄道・運輸機構とともに丁寧に説明していく」と大臣が発言されていますので、いずれ丁寧な説明があると想定しています。
工期や事業費が当初の予定から膨れ上がっていて、それ対して知事は負担は従来通りの考え方で求めるということだが、予定を大きく上回る工期や事業費が示されたことについて、知事の受け止めはどうか。
工期と事業費については、元々の工期と事業費についても、それについて個別に特段コメントしている訳ではありませんので、それが増えたからといってその増えた分についてだけ改めてコメントすることは考えていませんし、最終的に全体としてどうなるのか、どういうふうに周知していくのかということについて、いずれきちんとした説明があると思っていますので、まずはそれを待ちたいと考えています。
京都商工会議所や関西経済連合会などが、工期について想定を上回る期間を示されたことに懸念を感じているというコメントを出したが、工期について知事の考えはどうか。
我々としては、先程言いましたように、施工上の課題も含めていろいろな課題があり、それをきちんと解決することが早期整備に繋がるという立場なので、そうした課題への対応等を横に置いて、工期だけ早くしてくれと言うつもりは、もともとありません。
ただ一方で、北陸の方や、今ご紹介があった関西財界等の方が、できる限り早く整備して欲しいという気持ちを持っていることは十分承知していますので、そういう声が上がることについては特段の違和感はありません。実際に北陸新幹線が通る京都府の立場としては、まずは様々な課題にきちんと対応していただくことが必要で、工期はその上で必然的に決まってくるものではないかと考えています。
3つのルート案が提示されたが、どのルートが一番現実的だと考えているか。また、示された3つのルート案ではなく、米原ルートを推奨するなどという考えはあるか。
3つの案が示されましたが、今後どういうプロセスを経てルート案を絞り込んでいくのかということや、絞り込んでいく際に、我々沿線の自治体がどういう形でそれに参画していくのかということについては、現在、何も伺っていませんので、コメントできません。
それから、もともと私が知事になった時には既に今のルートが決まっていました。それ以前に、米原ルートについては様々な議論が行われた上で、国・与党のほうで今のルートが決められたということなので、そのルートについて対応していくのが基本だと考えています。
石川県知事が、昨日の記者会見で、国の説明が不十分だと批判された上で、西脇知事に対しても、どういう認識を持っているのか伝わってこないと言われ、現行計画の整備内容について態度を明らかにするよう求めている。こうした石川県知事の発言について、知事はどう考えているか。
石川県知事の発言は全く承知していないので何とも言えませんが、国の説明については、8月7日にルート案に関する資料が示されたことによって、従来に比べれば、少し前に進んだのではないかと思っています。
ただ、我々がどういうふうにコメントをするのかということについては、先程言いましたように、そのプロセスが明らかになっていないので、国と鉄道・運輸機構からの丁寧な説明がないことには、3ルート案についてどういう立場に立つのかということについて、どのような形で表明していいのか分かりません。まずは国と鉄道・運輸機構からの説明を待ちたいと考えています。
府としては、国からの説明を待つ姿勢なのか。府のほうから積極的に求めていくことはしないのか。
斉藤国土交通大臣が説明すると仰っていますので、催促することはありませんが、当然向こうから説明についてのアプローチがあると思っています。
このタイミングで詳細な3ルート案の発表されたことについては、早いと思うか、それとも遅いと思うか。
この3ルート案が示されたことが、全体のスケジュールの中でどういう位置づけなのかは分かりません。
ただ、予算の概算要求は事項要求とするようにという話が、与党の方からも出ていたということなので、1年間の歳時記で言えば、今回のようなタイミングになったのかなとは思います。しかも、環境アセスメントの手続きに入ってから一定の年限が経っていますので、これまでの調査に基づいて次のステップに行くという意味においては、すごく遅いとかすごく早いというイメージはなく、そういう時期なのかと思いました。
着工に向けて、一段階大きく進んだと考えるのか。
大きくかどうかは分かりませんが、進んだことは間違いありません。
知事自身は、早期の着工を求めているのか。
早期の着工を求めているのではなく、全線開業は、東海道新幹線の代替性や日本海国土軸の形成など、様々な国土政策上の観点から必要だとする国家プロジェクトです。全線開業については、当然、国への要望書にも載せています。それは、早く着工するようにということではなく、全線で開業することについては、1つの鉄道ネットワークとして必要性があるので、求めているということです。
ルート案に関する資料によると、シールドトンネルによる地下水への影響はないとのことだが、どう考えているか。
環境影響評価の項目はたくさんありますが、私だけではなくて、府民の皆さま、市民の皆さまが懸念される大きな要素が地下水であることは間違いないと思います。地下水については、これから様々な手続きの中で、当然いろいろな課題が出てきて、それに対する対応が出てくるので、今回の説明資料だけで「分かりました」ということにはなりません。
今回、費用対効果が示されなかった点について、どう考えているか。今回示された概算の事業費から考えると、費用対効果が1を下回るか、上回るかについての見解はどうか。
今回、費用対効果が示されなかったことについては、ルートが決まってから示すということを言っておられたようなので、私どもから費用対効果を示してくれと催促するつもりは全くありません。
しかも、費用対効果というのは、京都府にとって意味があるものかどうかも分かりません。国家プロジェクトとして、それを進めるべきかどうかの一つのメルクマールにされていることは間違いないので、そういう意味では関心があるかもしれませんが、京都府が費用対効果によって、北陸新幹線のルートなどについて何か物を言うことはないと考えています。
ただ一点だけ過去の経緯を言えば、舞鶴を通るルートが、費用対効果を踏まえて採用されなかったという事実があることは念頭にありますが、それはあくまでルート比較の段階での話であり、今回示されなかったのは、まだそこまで熟度が高まっていないということかと思います。
費用対効果が1を割り込んだ場合でも、北陸新幹線の事業は進めていくべきと考えるか。
それは国と鉄道・運輸機構が考えるべきことであり、私どもがそれについて言及する立場にはありません。
北陸新幹線に関して、国から具体的にこの日に説明したいとか、誰が誰に説明したいなどといった具体的な話はあったか。
それはまだ来ていません。いずれ、どのレベルで誰が誰に説明するのかという話になると思いますし、説明を聞くのは、京都府だけではなく、福井県も大阪府もですので、いずれ横並びに説明するということだと思います。
説明を受ける際に、京都府としては、以前から知事が言っている丁寧な調査や説明について、改めて国に求めるのか。
斉藤国土交通大臣が発表した案について丁寧に説明すると仰っているので、そこでやりとりをする段階までいくのかは分かりませんが、まずは説明を聞くことが必要だと考えています。説明は、今発表されている範囲のことなのか、もしくはそれよりも増えるのか、その辺りのことはまだ分からないので、我々としては、まずは説明を聞いてみるということです。
受益という考え方において、費用対効果があるかないかは判断材料にならないのか。
費用対効果と受益は全く別物です。費用対効果というのは、世の中全体で便益とコストを比べるもので、京都府というよりも、例えば国土全体についての費用対効果です。私が受益と言っているのは、地元にとって負担の前提となる受益がどうかということを言っています。
もう一つは、鉄道採算性、事業採算性があると思います。これはまさに鉄道を運行する会社の採算が取れるかどうかということです。
おそらく、その3つ程の観点があると思いますが、私が言っているのは地元としての受益であり、費用対効果とは直接関係ありません。
知事は、沿線自治体の負担を「受益に応じた負担にして欲しい」と仰っているが、受益と負担はどのように計算するのか。
受益というのは、府民の皆さまの経済活動に与える影響や移動時間、府の税収など、いろいろな形で表れてきますので、それに見合って、負担が合理的だと思ってもらえるような形にしないといけないと考えています。計算をするかどうか、きちんと数字的に突合できるかどうかについては、まだ我々としてはノーアイデアです。
腹積もりとして「受益に応じた負担」というものを考えている訳ではないのに、それを国に求めるということか。
概算の事業費は出ましたが、事業のスキームを国がこれから検討され、その中でJRの負担と沿線自治体ごとの負担の割合も含め、全体の負担がどうなのかが決まります。その中で、我々の負担が合理的かどうかを考えていく時の考え方のメルクマールが「受益に応じた負担」だと言っている訳で、具体的な計算方法まではまだ考えていません。
事業費負担の割合は、現状では国や鉄道・運輸機構から全く示されていないということか。
我々は法律改正など制度改正も含めて、合理的な負担になるように求めたいと考えています。
現行の整備新幹線の負担割合というのは一応決まっています。ただ、自治体ごとの負担も決めなければいけませんが、それは結局事業費がはじかれないと出てきません。例えば、京都府内でどれだけの工事が行われるかが分からないと出てきません。そういうことも含めて最終的には負担額が決まってきますが、まだとてもそこまでいっていないのだと思います。
考え方として、「受益に応じた負担」と言っているということです。
費用対効果が1を割り込んだ場合も計画を進めるべきと考えるかという質問に対して、国と鉄道・運輸機構が考えるべきと言われたが、沿線自治体の負担があるので、府民からは合理的な説明が求められる部分ではないのか。
それは求められますが、国と鉄道・運輸機構に求められるものだと考えます。費用対効果が1を切っていても着工すべきだと言うのはなかなか難しいかもしれませんが、それは我々が言う話ではありません。というのは、たまたま今は新幹線の話になっていますが、普通の公共事業だと、全体が1を切っていても、その地元にとってみれば、ぜひとも実施して欲しい事業はいくらでもある訳です。その人たちは、別に「1を切っているからやめてくれ」なんて言っている訳ではないので、費用対効果と地元にとっての受益というものは、別物だと言っているのです。
だから、我々がB/C(費用対効果)について「1を上回って欲しい」と言うことは絶対にありません。「そんなことはできないでしょう」とは言いますが、我々が望むものではありません。あくまで国が、財務当局の査定や国家プロジェクトとしての必要性を判断する時に用いる一つの要素としてB/Cがあるのであって、我々にとってのB/Cではありません。
通過するだけであれば、我々のところに便益がなくても、国家プロジェクトとしては便益が出る場合はいくらでもあるので、B/Cと地元としての受益は別の話だと考えています。
それは、「受益に応じた負担」とは矛盾するのではないか。
そんなことはありません。例えば、新幹線が通過するだけであれば、そこに便益は生まれません。けれども、そのプロジェクト自身は、ほかの府県で便益が出れば費用対効果が1を超える場合があります。なので、費用対効果と地元としての受益とは別物だと言っています。
では、費用対効果が1を割り切ったとしても、国が進めるべきだと考えれば、府はそれに従わないといけないということか。
いえ、そういうことを言っている訳ではありません。ただ1を割り込むと、普通はプロジェクトを進められないのではないかと思います。それは私が進めるべきではないと言っているのではなくて、まさに国家判断として、おそらく進めることは難しいのではないかなと思います。
8月7日のルート案の発表に伴う知事のコメントが、その後発表された京都市長のコメントと一言一句同じだったのはなぜか。
それは京都市に聞いてもらえればと思いますが、私が京都市長に「一緒にしてくれ」と言った訳ではありません。考えていることが一緒だということではないかと思います。
一言一句同じなのは、府市協調によるものか。
あの段階や内容では、具体的な内容に踏み込んだコメントが出せるシチュエーションではなかったので、私としては、あれがあの時点では的確なコメントかなと思いましたし、京都市長もそう判断されたのだと思います。
制度改正を含めて合理的な負担を求めたいと言われたが、具体的にはどういうことか。
制度にはいろいろあって、貸付料として出している部分もありますし、大本として公共事業をどれぐらい入れるかということも制度なので、現行のルールと同じようにということを前提にするのではなく、制度改正も視野に入れた形で合理的な負担にしてもらいたいということです。
一定の事業負担を府に対して求められることについて、上限を想定して、「これ以上であればうちは出せません」というような制度の改正も考えていくということか。
そういうことではありません。まだ計算されていないので分かりませんが、一定のルールに基づいたものしか駄目だということはやめて欲しいということであり、ルールを変更してでも合理的な負担になるように考えてもらいたいということです。
新型コロナウイルスについて、これから3連休、お盆休みもあるが、現在の京都府のコロナの定点医療機関の患者数や、お盆期間の医療体制、現在医療機関がひっ迫しているのかどうか聞きたい。
7月29日から8月4日の週での、定点当たりの報告数が13.64人ということで、6月上旬から(先週まで)8週連続で増加しておりましたが、今回、少し減少しました。
ただ、昨年も、学校が夏休みに入った影響や受診機会の減少などもあり、7月末から8月上旬にかけて一度減少していましたが、8月下旬に増加に転じて9月上旬にピークを迎えましたので、油断はできません。(患者報告数の推移は)昨年よりやや低めですが、似たようなカーブになっていますので、十分に注意していかなければいけないと考えています。
医療機関の状況については、一部で入院受け入れが困難な医療機関もありますが、他の病院で受け入れるなどしてカバーできています。京都市内では患者が減少しているとの報告も受けており、京都府全体として医療提供体制がひっ迫したという状況にはないと考えています。
ただ、ご指摘のとおり、お盆休みに入るということもありますので、医療機関の状況は注視していきたいと考えています。
知事はコロナにかかっていたと聞いたが、もう体調はいいのか。
体調のことを考えている暇もなく通常業務に戻っています。コロナのせいか、暑さのせいなのかは分かりませんが、喉に痛みというか、少しいがらっぽさが残っている感じがします。
先々週の月曜日の夜に喉に違和感があり、火曜日には喉が少し痛かったのですが、水曜日の朝に発熱が確認されて、検査するとコロナ陽性でした。ただ、木曜日の夜には熱が下がりました。
どこで感染したのかは分からないのか。
分かりません。普通に行動していたので、接触している相手も多かったです。また、この時期は全国知事会ベースでも、大阪の吉村知事がコロナの療養から復帰され、全国知事会議後の金曜日に鳥取に戻った平井知事のコロナ感染が確認されました。この短い期間に47分の3がコロナに感染していたので、それなりの確率かなという気がします。
これからお盆に入り、お休みになる職員の方も多いと思うが、知事の夏休みの予定はどうか。
休みを取るなら来週かなと思っていますが、遠出をする予定はありません。
去年はお盆の時期である14日、15日に台風7号が来ました。今回の台風5号はどちらかというと北日本の方に来ていますが、そうしたことも含めて即応できる体制の中で休ませていただきたいと思っています。
今週月曜日の地域課題解決プロジェクトにおいて、南丹市と京丹波町と亀岡市を視察されたが、何か得られたものや新たに課題として見えてきたものはあるか。
月曜日は、まずは美山川でアユの友釣り体験をしたあと、大野ダム総合管理事務所に行って、それから道の駅「和」でアユのつかみ取りを子どもたちと一緒にやって、食事をして、川の駅・亀岡水辺公園で座談会をして、最後に打ち合わせをしました。
アユというブランドを磨き上げて、観光や地域活性化の目玉にされている努力に非常に敬意を覚えました。一方で、座談会の場でも言いましたが、アユラーメン、アユごはん、アヒージョなどの商品開発もされていますが、アユだけではなく、他のアクティビティなどいろいろなものと組み合わせて、もう少し広がりができるような地域活性化のツールができればいいなと感じました。
たまたま今回は夏の時期に行ったのでアユがクローズアップされていましたが、やはり年間を通して南丹地域の活性化をするためには、いろいろな商品開発や周遊ルートの開発をしなければいけないと考えています。その中心になってもらうのは、やはり森の京都DMOであり、社長も非常にそういう問題意識を持っておられましたが、いろいろな人を結びつけて、もっと縦横斜めに連携して地域の魅力をアップする必要があるなと強く感じました。
それから遊船について歴史的な観点から仰っていて、筏を使って平城京にも木材を流していた歴史などがあり、そうしたストーリー性をもっと活かしていきたいという話もされていました。そのためには、もう少し広域的な連携も必要になるので、魅力あるネタは沢山あるので、それらをどう結びつけていくかが重要だと肌で感じました。
兵庫県知事の件について、どう見ているのか。
兵庫県のことを私が論じるのは難しいのですが、様々な市長会の声や政党の声、職員の皆さんのアンケートなどもあります。事実を確認するために百条委員会もできていますので、まずは斎藤知事がそこできちんと説明責任を果たすことが一番重要だと思っています。私にはそれ以上のことはなかなか言えないと思っています。
ただ、斎藤知事は関西広域連合でも一緒に仕事をしていた仲間で、特にコロナの頃は大阪、兵庫、京都で足並みをそろえて感染対策をやってきたということもあり、ぜひとも今後もそうした円滑な連携体制が組めるようにしてもらえればありがたいという気持ちはあります。今、別に何か支障があるということではありません。
知事自身が改めて気をつけないといけないと思ったことはあるか。
それは前回の会見でも聞かれましたが、職員の声が周りからいろいろな形で出てくるということであれば、直接コミュニケーションをする場合も多い訳なので、私と誰かというだけではなくて、組織の中において幹部と職員、幹部同士でもそうですが、あらゆるレベルで風通しのいい組織にして、毎回いろいろな課題を共有し、一緒になってその解決に取り組んでいける組織風土があれば、様々な困難があっても乗り越えていけるのではないかと考えています。
全国知事会に設置する人口戦略対策本部について、京都府としてはどういった協力をしていくのか。
私はコロナに感染しており、全国知事会に出ていなかったので、臨場感をもって語ることができませんが、最終的に47都道府県知事が一致して「福井宣言」を採択できたことは非常に良かったと思っています。
「福井宣言」の中で、「人口減少問題が我が国最大の戦略的課題であって、真に実効性のある政策の再構築や政策を総括推進する指令塔組織の設置」を国に求めることになりました。私は知事に就任して以来、我が国の最大の構造的課題は人口減少だと言ってきましたが、まさに同じ課題意識を全都道府県で共有できたことは非常に良かったです。
ただ、問題はこれからで、全国知事会にも人口戦略対策本部が設置されましたので、そこで課題の共有や政策の研究などを行いながら、国に対して要望や働きかけを行っていくのがいいと考えています。
令和5年度のふるさと納税寄附額が1兆円を超えた。これまでも紆余曲折があったが、知事は、ふるさと納税のあるべき姿をどう考えているか。
まず寄附額が1兆円を超えたということは、やはり制度の認知度が年々高まってきていることの表れであり、制度として定着してきたなという感想を持っています。
ただ、ふるさと納税本来の趣旨は、お世話になった地域に対して、何らかの貢献をしたいということで、感謝の気持ちを寄附という形で表すものだと思います。
国も、その時々の状況に合わせてルールの見直し等も行ってきています。我々としては、先程申し上げた制度本来の趣旨に則り、しかも国のルールに従った形で、できる限り多くの方にご寄附をいただけるように、これからも取り組んでいきたいと考えています。
それでも1兆円を超えたということは、制度としてそれなりに定着してきているのではないかと思います。
最近の金融市場は、日銀が利上げした後に株価が上がったり下がったりして、なかなか読めない状況になっているが、府内経済への影響や対応について、どう考えているか。
これはなかなか難しい問題であり、もともと日銀が金融政策決定会合で0.25%に引き上げることを決めた後に、たまたまアメリカ経済の減速懸念が重なり、大きく株価の下落に繋がったということです。今の株価の動きについて、私はプロではないので分かりませんが、下がり始めると、どんどんそれが増幅するように動くようになっています。日銀の金利政策だけが株価を決めている要因ではないので、一概には言えませんが、やはり経済全体が金利動向に敏感になっていると感じます。
株価もかなり乱高下をしていましたが、調整局面もありまして、戻ってきているということなので、あまり株価の上下に一喜一憂はできません。
ただ、京都府は地方債を発行して、いろいろな事業をしているので、金利負担が増えれば当然財政に与える影響もあると思います。それから企業の経済活動にとってみれば、金利が上がるということは、当然コスト増の要因にもなります。一方では、適正な物価上昇水準の目標もあり、これは一定の金利の上昇が前提になっています。だからこそ、日銀は非常に苦労して政策を決めておられるので、そこはバランスが重要だと思います。
ただ我々としては、財政負担が増えないようにということで、今までも5年債や10年債、20年債を組み合わせて、できる限り金利リスクを分散する努力もしているので、そこは将来への投資と財政負担のバランスを考えた財政運営をしていくためにも、金利動向は本当によく見ておかないといけないと考えています。
先月、間人ガニの協議会が終了し、対策としてタグにQRコードを提げることが決まったが、今後のブランド向上への意気込みはどうか。
まず7月31日の第3回の協議会の最終会合で決定された新たなタグ管理の仕組みは、漁船ごとの通し番号をタグに付けて、漁業者が管理簿で記録を管理し、出漁ごとに漁協が漁業者から管理簿の報告を受けて、管理簿とタグを突合するというものです。協議会も定期的に検査をすることになっており、通し番号タグにQRコードを記載して、水揚げの日や漁船、漁港の情報をホームページで公開します。
これは京都府産のズワイガニ全体で統一的に運用されるので、おそらく全国のズワイガニ産地の中でも例のない透明性のある取組として評価できると考えています。
まずは、この新しいタグ管理の試行や検証を行い、それを我々もサポートして、スムーズに11月の漁期の開始に繋げていくということです。まずは、この管理のシステムをきちんとした上で、漁場で船長からのメッセージ動画を配信したり、市場見学会を開催するなど、消費者に京都府産のズワイガニを身近に感じてもらう取組もされていくとお聞きしています。
きちんとした管理とPR・情報提供の両方で信頼回復と魅力発信をしていくことにぜひ繋げていただきたいです。
協議会の中でもハイブランドの規格を制定するために案が出されていると思うが、近隣の県を見ると、名前が非常にゴージャスなものがあるが、例えば府民から名前を公募して当選者にカニを贈呈するなど、府民や消費者が一緒に名前を決めていくことも一案だと思うが、どうか。
今は、例えば「間人ガニ」や「舞鶴がに」としてブランド管理されています。これはこれで磨いていただくとして、今回の漁協の提案では、長期的にブランドイメージを回復して価値向上をするために新しいブランドを作るということです。
ただ、今年の漁期から初めてデータを収集するとともに、他県のブランド戦略をこれから勉強されると聞いています。まずは基礎データを集めて、今ご紹介のありました他県のいろいろな名前やサイズなどの規格を勉強し、その後に具体案が考えられていくのだと思います。
まずはしっかりと基礎データを集めて取り組んでいただき、その上で、もしそれが実現するなら、今お話があったように、京都を表すとか、高級感を出すとか、そういうネーミングになればいいと思っていますが、まだそこまでは考えられていないようなので、次の段階かなと思います。
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