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本日は御用納めで今年最後の会見となります。記者の皆様には1年間何かとお世話になりありがとうございました。
1点目は年末の恒例の話題として、この1年を振り返って参りたいと思います。まず、大きな3つの出来事ですが、1つ目は、(株)京都アニメーション第1スタジオ放火事件です。多くの方が亡くなった大変痛ましい事件で、胸が締め付けられる思いです。改めて亡くなられた方々のご冥福と負傷された方の一日も早いご回復を心からお祈り申し上げると共に、ご遺族の皆様に謹んでお悔やみを申し上げたいと思います。
京都府といたしましては引き続き被害者やご家族、周辺住民など関係の皆様に寄り添って、全力で支援して参りたいと思います。
2つ目は、就任して初めてとなる新しい総合計画「京都府総合計画(京都夢実現プラン)」の策定です。20年後に実現したい京都府の将来像を掲げ、それに向かっておおむね4年間で取り組むべき方策を定めております。来年は、現在編成を進めております計画策定後初の当初予算に基づき、しっかりとスタートダッシュが切れるように府民の皆様と連携・協働していきたいと思います。このほか、府政の重要課題である「京都府観光総合戦略」、「京都府子育て環境日本一推進戦略」、「京都府農林水産ビジョン」も策定するなど、府政推進の柱となる計画を策定した1年でした。
3つ目は、京都経済百年の計となります「京都経済センター」の誕生です。京都の経済団体や中小企業支援団体が一堂に集結する京都経済の新しい拠点として、府内の中小企業が抱える様々な課題の解決やイノベーションが起こり続ける環境作りを行いたいと思います。
以降は、所管部局の建制順に並んでおります。
4つ目は、京都議定書の精神を世界に向けて発信するため、2010年から始まっております「KYOTO地球環境の殿堂」が10周年を迎えました。これまで24人の方を表彰して参りましたが、先日アフガニスタンでの支援中に亡くなられた医師の中村哲氏は、第8回の殿堂入りをされた方です。改めて心からお悔やみを申し上げますと共に、中村氏の遺志を受け継ぎ、引き続き地球環境問題の解決に取り組んで参りたいと思います。
5つ目は、日本で初めて行われた「ICOM(国際博物館会議)京都大会2019」の開催です。120の国と地域から過去最多となる約4,600名の方が京都を訪れました。府内の博物館関係者が大会参加者との交流を通じて、地域文化の魅力を再発見し、文化の継承や発展のための課題解決に向けたアイデアや、地域活性化につながるヒントを得られる機会になりました。
6つ目は、先日、府内唯一の通年営業となるアイススケート場「木下アカデミー京都アイスアリーナ」がオープンしました。国際規格を満たしているリンクですので、府民に親しんでもらうことはもちろん、世界に羽ばたく選手がここから育っていくことを願っております。
7つ目は、12月21日(土曜日)に開設記念式典を行いました「京都府保健環境研究所・京都市衛生環境研究所」の開設です。平成26年に府市共同で新しい研究所を整備することを決定し、以来5年を掛けて開業しました。動物愛護センターの共同設置、消防学校の共同化に続いて新たな府市の連携拠点がオープンしました。
8つ目は、「子育て環境日本一に向けた職場づくり行動宣言」の取組についてです。これは、企業が子育てに優しい職場環境づくりに向けた具体的な行動を宣言し実践することで、妊娠・出産、子育てを理解して支援する風土の醸成、子育てを社会全体で応援する機運を醸成するものです。今月の20日時点で、287社に宣言いただいています。2023年度に1500社を目指すことにしておりますのでPRをお願い致します。
9つ目は、錦市場商店街にオープンしたアンテナショップ「丹後Table」です。京都の象徴的な場所である「錦市場」で、丹後地域の食や自然の魅力を訪日観光客等に発信し、現地への誘客を目指すほか、京都市にいながらにして本場の味が楽しめる、「食」をキーワードとした府市協調につながると期待しております。
最後に、茨城国体で京都府が総合8位に入賞しました。入賞は7年ぶりです。京都府は、優れた資質があるジュニア選手の発掘・育成を行うと共に、豊かで明るい社会の発展に貢献できる若い人材育成を目指して「京都きっず」プロジェクトを進めております。フェンシングの少年男女共に「京都きっず」出身の選手が活躍するなど、若い選手が躍動した年となりました。
特別編として、元号が平成から令和へ、新しい時代の幕開けとなったこと、吉野彰氏のノーベル化学賞の受賞を挙げました。天皇皇后両陛下がご即位後初めて京都府に行幸啓されたことも掲げております。
この1年を振り返り、私が考えた今年の漢字は「開」です。令和の時代が幕を開けたことや、新しい総合計画も10月にスタートしましたし、ゴールデンスポーツイヤーズも幕を開け、ラグビーワールドカップに感動し興奮したことも記憶に新しいと思います。文化の面ではICOM京都大会が開催され、来年は日本博、そして文化庁の本格移転に続いていきます。今年は幕開けの年であったとの思いから選びました。
2点目は、京都縦貫自動車道のNEXCO西日本(西日本高速道路株式会社。以下同じ。)への移管についてです。国土交通省近畿地方整備局、NEXCO西日本、京都府と京都府道路公社で移管に関する協議方針をまとめることができました。京都縦貫自動車道は、平成27年に全線供用して京都府道路公社とNEXCO西日本がそれぞれ管理をして参りましたが、京都府道路公社管理区間をNEXCO西日本に移管し一体管理とすることで、全国と同水準の料金制度、合理的で効率的な維持管理体勢の構築が可能になると思っております。今回合意できたのは、4点あります。
(1)移管対象区間は、宮津天橋立IC~丹波ICとなり京都府道路公社の管理区間の全線です。(2)移管予定時期は令和5年4月。(3)移管後の料金はNEXCO全国路線網(地方部)と同等水準とし、休日割引などを導入する予定です。(4)丹波IC以南の八木本線料金所及び篠本線料金所の撤去を行うなどにより利用者重視のシームレスな料金体系の実現を目指します。
これにより、宮津天橋立IC~大山崎JCT・ICの京都縦貫自動車道の全線がNEXCO西日本の管理となります。今後は合意に至った協議方針を前提に移管に関する条件等詳細を詰めつつ、所定の手続きを進めたいと考えています。
京都縦貫自動車道(宮津天橋立IC~丹波IC)の移管等について協議を進めてまいります~使いやすい高速道路を目指して~(PDF:609KB)
京都縦貫自動車道について、以前から要望していたものか。また、利用者に具体的にどのようなメリットがあるのか。
従来から移管についての要望はしておりましたが、国への政策提案の際に2019年6月に石井国土交通大臣(当時)に改めて要望したところ、事務レベルでNEXCOが一括管理する方向で協議を進める指示が出され、それに基づいて協議をして参りました。今般、基本的な方針までは整いましたので、一つ一つステップを踏んでいくため、今回の発表に至りました。根幹が決まりましたが、今後詰めないといけないことがたくさんあるので、この線に沿って、実務的な協議をより前に進めていきたいと思います。
メリットの一つは、全国的な路線網に入るので、料金や管理も一体管理することで、スムーズな運行が可能になることです。舞鶴若狭自動車道も含めてですが、リダンダンシーの効果もあると思いますし、料金水準についても全国プールの中で決めると思います。具体的にどういう料金になるかは、これからの課題だと思います。単区間では上下動しますが、トータルとしては、NEXCOの方がきめ細かな料金割引制度を持っておりますので、その中でやっていただけることになります。また、より効果的・効率的な管理ができると思います。今後、老朽化対策など、通常の維持管理よりも投資額が必要な対策となると、公社では大変なところです。4車線化についてもNEXCOの管理区間については4車線化を優先的に進める区間としてお願いしていますが、公社ではそこまでの体力がないので、移管によって4車線化の可能性が高くなるのではと思います。具体的な効果は詳細な移管の条件が決まったところでもう少し明らかになると思います。
4車線化のステップはどのようなものか。
公社の投資余力では4車線化は難しいので、すぐにやってくれるというわけではありませんが、移管することによってその可能性が高まると思います。
令和5年4月にまとめてすべての項目を移管するのか。
移管と言っても、財産の整理や維持管理している職員の体制など実務的に詰めないといけないことがありますが、こうしたことをすべて解決した上で、令和5年4月に移管したいという予定で協議を進めていくことになると思います。
1年の振り返りの中で行政の課題として見えてきたことは。
行政は継続している部分と常に改革している部分があり、反省点はトライアンドエラーで常に反省をしていますが、今年は10月に総合計画を策定しました。その過程では府民を代表する府議会で審議いただくと共に、直接府民の意見を伺っています。京都府内の課題は、計画策定の中で吸収し、それらを反映して計画を作りました。従って今年は、来年からスタートするための計画策定の過程だったと思います。2018年は自然災害が多かったのですが、2019年は京都アニメーションの事件もありましたので、府民の安心・安全を守ることが府政の根幹にあると痛感しました。また、2019年は関東・甲信越や東北で気候変動の影響と思われるような大きな災害が起こりました。安心・安全に万全を期していかなければいけないと改めて強く認識させられました。こうしたことは来年以降活かしていきたいと思います。
京都アニメーションの事件について、京都府の被害者義援金受入口座の受入金額はいくらになったか。
最終的な受入金額は33億4,138万3,481円です。暫定額から約8,000万円増加しております。義援金箱に入った金額の集計と締切の間際にも振込等がありましたので、その合計となります。
次回の配分委員会の日時はいつか。
配分委員会は、第一回の議事概要をご報告しておりますが、被害に遭われた方の年齢や家族構成、怪我の程度など考慮すべき点がありました。個人情報に分類されるものが非常に多いので、皆様のご理解を得ながら情報収集しております。そこに時間が掛かっているので、2回目の開催時期については報告できる段階ではありません。私の思いとしては、なるべく早く配分したいと思っております。その一方で、委員会でも公平・公正かつ適切な配分を強く言われており、そのバランスを取る観点でも時間が掛かっています。決定次第お知らせしたいと思います。
京都アニメーションの火事に関連し、京都市消防局が避難についてのシミュレーションや分析を行っている。今後どのようなことを考えていくべきか。
今回の事件はある意味特殊なケースだと思います。火災から住民の命を守るため、京都市消防局が分析されたことは役に立つものだと思います。結論について実務的に聞いておりませんが、今回の事件における避難についての検証は我々の安心・安全のために活かしてまいりたいと思います。京都市消防局の専門的な知識や技術等に基づく分析については、京都府域全体に活用したいと思います。
警察官が6人逮捕・書類送検されるなど、公務員の不祥事が相次いだ1年だと思うが、どのように受け止めているか。
この間の不祥事については、同じ京都府の職員で、とりわけ法令を遵守し、公平・中正に職務にあたることが強く求められている警察官に、それに反する事案が起こったことは、重く受け止めております。警察官に限らず、知事部局や教育委員会も含めて公務員は公僕なので、不祥事や疑われるようなことがあってはならないし、きちっと職務を遂行することが求められていると思います。職員の綱紀保持についてはあらゆる機会を通じて徹底しておりますが、改めて自覚するように徹底していきたいと思います。
府市協調をもっと深めていきたいという思いはあるか。
府市協調を目指すというよりも、今の行政はいろんな主体と連携しないといけないので、府庁の職員だけで完結する仕事はほとんどないと思っています。京都府域における京都市が占める割合は大きいので、府市協調の仕事が多くなるのは当然だと思っています。
京都府保健環境研究所と京都市衛生環境研究所は類似の施設をより効率的・効果的に利用するための共同化ですが、こうしたニーズがあればどんどん進めていくべきだと思います。経済センターは、京都府と京都市が府市協調で核となっていますが、実際は経済界や中小企業支援団体など50近くの団体が入っています。府市が協調して核となることでより大きなオール京都体制を作ることができます。このことは、2021年度中を目途とした文化庁の本格移転の実現に効果を発揮しましたし、それをより実のあるものにするために、府市協調が必要だと思います。政策の企画立案から実施の段階まで、一緒にする仕事が多くなると思っています。
錦市場の「丹後table」も広域の観光周遊からいけば、単に京都市のリピーターを府域に運ぶというよりも市内で直接府域の魅力を感じてもらい周遊してもらう。逆に、施設の人気が出れば府域の魅力で京都市の観光振興につながるということで、大きな観点からの観光の府市協調もできると思います。いずれにしても一緒になってやる仕事は必然的に多くなると思います。
災害弱者の避難について、国は個別避難計画を作るように言っているが、小さい自治体に対して職員の支援をするなど京都府としてできることがあるのか。
昨年の7月豪雨の時、避難指示は62万人に出ていたのに、実際には4200人しか避難しなかった等の問題があり、避難のあり方や避難指示・避難勧告のあり方は、いろんなレベルで研究されています。災害弱者については、2016年に岩手県で施設が流されて多くの方が亡くなったことがあり、施設の避難計画を作ることや避難困難者のリストアップも言われました。また、ご自宅にいる方でもそういう方がおられるのではないかと言われています。施設については、病院や介護施設などの施設管理者がいるが、自宅の場合は自治会でリストアップするなどの対策が必要だと思います。小さな自治体でできないということであれば、京都府も支援しなければいけないと思っています。
今年の台風第19号で避難所の浸水や、避難途中に避難経路で亡くなった方が多いということで、12月補正予算で避難所の立地と避難経路の点検予算を通していただいたので、来年の出水期までに一定の調査結果を出して反映させたいと思います。
もう一つは、「声かけ隊」の整備をしなければいけないと思っています。多くの方に避難してもらうには、声を掛けるだけでも効果がありますので、そういう方を育成します。これは、避難時に広い範囲かつ短時間で避難の指示を伝える方法です。
府としては、どのようなやり方で支援していくのか。
マニュアルや先進的な事例がいくつもありますので、そうしたものを例示することもできます。避難のタイムラインなどを作る過程で支援することなどもできると思います。
府営水道事業のあり方について答申が出されたが、知事はどのように考えているか。
市町村の水道事業は人手が少ない中で、全体的に施設が老朽化して更新投資の必要がある一方で、人口減少で水需要が減少しており、非常に厳しい経営環境に置かれていますが、水道は必須のインフラなので、どのように持続可能なものにするか頭を悩まされています。
審議会で料金についてご議論された答申をいただきました。今の料金のままでは事業運営が非常に厳しいことから、水道の安定供給を実現する観点に立てば、この答申は妥当なものと考えております。答申を尊重しながら、具体的な料金単位については条例改正案を作成し議会にお諮りします。
一時的な措置については。
一時的な措置については、市町から要望されていることは承知していますので、それも含めて検討したいと思います。
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