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魚類分類学の進展に伴い、従来同種と思われていたものの中には実は別種が含まれていたり、詳細調査がなされた結果、新種であることが判明し、淡水魚の保全目標が明確となった。従来、メダカは南北2集団からなる多様な種と考えられていたが、南日本集団はミナミメダカOryzias latipes、北日本集団はキタノメダカOryzias sakaizumii の2種に整理された。両種は日本列島において南北にすみ分けているが、分布の接触域に相当する京都府では両種は混在する。例えば由良川では上流域にミナミメダカが、下流域にキタノメダカが分布し、互いに交雑することなく独自の集団を維持している。
今回の京都府レッドリストにおける魚類の掲載種数やその構成に大幅な変更があるわけではないが、そのことは京都府内の水辺環境の悪化に歯止めがかかったことを意味しない。京都府の淡水魚多様性のホットスポットと言われる淀川水系では周辺水域を含め開発が進み、生息環境の人工化は加速している。加えてオオクチバスやブルーギルなどの外来魚による食害も大きい。そのため、イタセンパラ、アユモドキなどの指定希少野生物か回復の兆しは見られず、ヨドゼゼラは激減、ヨドコガタスジシマドジョウの絶滅が確認されるなど、現況は予断を許さない状態である。
ヨドゼゼラ Biwia yodoensis
(旧)リスト外 → (新)準絶滅危惧種
従来、ゼゼラ Biwia zezera として扱われてきたが、別種であることが判明した。学名が示すように淀川水系の固有種で、かつてはワンドや氾濫原に広く分布していたが、生息地は大幅に減少し、現在では桂川、木津川などの一部の水域に局在している。 |
ヨドコガタスジシマドジョウ Cobitis minamorii yodoensis
(旧)絶滅寸前種 → (新)絶滅種
淀川水系固有の亜種で雑種起源の集団と考えられる。1970年代以降採集記録はなく、前回調査期(2002年)以降も生息は確認されず、絶滅したものと判断される。 |
〈 淡水魚類 44種 〉
絶滅種(3種)
ニッポンバラタナゴ、ミナミトミヨ、△ヨドコガタスジシマドジョウ
絶滅寸前種(13種)
カワバタモロコ、アブラハヤ、イチモンジタナゴ、イタセンパラ、ツチフキ、ナガレホトケドジョウ、
ウツセミカジカ(カジカ小卵型)、アユモドキ、☆チュウガタスジシマドジョウ、
☆サンヨウコガタスジシマドジョウ、アジメドジョウ【琵琶湖・淀川水系】、
☆タンゴスジシマドジョウ、ホトケドジョウ
絶滅危惧種(14種)
スナヤツメ、シラウオ、シロヒレタビラ、カネヒラ、カワヒガイ、ズナガニゴイ、ゼゼラ、アカザ、
☆キタノメダカ、☆ミナミメダカ、オヤニラミ、ゴクラクハゼ(琵琶湖・淀川水系)、
カマキリ(アユカケ)、○カワヤツメ
準絶滅危惧種(6種)
ヤリタナゴ、アブラボテ、☆ヌマムツ、シモフリシマハゼ、シロウオ、○ヨドゼゼラ
要注目種(8種)
サケ、ニゴロブナ、ハス、ワタカ、スイゲンゼニタナゴ、ホンモロコ、デメモロコ、ビワコオオナマズ
凡例
△:アップリスト種 ▽:ダウンリスト種 ○:新規掲載された種 ☆:種名などの変更 |
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