選定理由 |
府内での記録が少なく、また近年の生息が確認されていない。 |
形態 |
殻は長卵形で厚く、殻頂は前方に位置し、後方に細長く伸びる。殻長は最大で7cmに達する。幼貝では緑色の放射状の模様があり、彫刻も顕著であるが、成長するにつれて殻表面は平滑で黒褐色となる。擬主歯と後側歯があり、後側歯は二分され、その溝が後側歯とほぼ平行になっている。グロキディウム幼生は亜三角形で、腹縁に刺状突起があり、殻長は0.24mmである。
◎近似種との区別
殻頂はニセマツカサガイより前方に位置し、後端はニセマツカサガイのように湾曲せずに尖る。 |
分布 |
滋賀県、京都府、大阪府に分布し、府内では巨椋池で記録がある。
◎府内の分布区域
淀川水系。
◎近似種との比較
近縁種のニセマツカサガイも同じ水系に分布するが、分布域は重ならない。 |
生態的特性 |
琵琶湖では水深5m前後の砂礫〜泥底に多く生息する。殻長3cmで性成熟する。妊卵期は10〜7月で、放出された幼生はヨシノボリなどに寄生する。 |
生息地の現状 |
巨椋池は干拓されて消失し、ここの個体群は絶滅したと考えられる。府内では巨椋池以外での生息記録はない。しかし、本種は琵琶湖南湖や瀬田川にも生息することから、幼生が寄生したヨシノボリなどが流下し、琵琶湖疏水や宇治川には、まだごくわずかの個体数であろうが、生息している可能性がある。オトコタテボシガイ属は日本固有属であり、日本における生物進化を考える上で貴重である。 |
生存に対する脅威 |
河川改修や埋め立てによる生息場所の破壊や水質汚濁による生息環境の悪化。 |
必要な保全対策 |
本種の生息環境の保全だけでなく、幼生の宿主となるヨシノボリなどが生息できる環境を維持することが重要である。 |
その他 |
琵琶湖・淀川水系固有種 |