選定理由 |
府内での記録が少なく、また近年の生息が確認されていない。 |
形態 |
成貝は殻高4〜6mmと小型で、モノアラガイに似ている。殻は左巻で、薄い。体層が発達し、螺塔は低く、各螺層はねじれて、縫合は顕著に凹んでいる。殻口は長卵形で大きく、殻高の約3/4あり、やや下方に広く開く。殻表には明瞭な螺条が見られる。
◎近似種との区別
形の似ているモノアラガイの殻は右巻で、殻の巻が異なる。また、近縁のカワネジガイに比べて螺条が明瞭で、容易に区別できる。 |
分布 |
本州の10都県に分布し、府内では巨椋池で記録がある。
◎府内の分布区域
淀川水系。
◎近似種との比較
別亜種がシベリアに分布する。 |
生態的特性 |
ヨシ帯やマコモ、カナダモなどの沈水植物があるところに生息する。植物の上に付着していることが多いが、泥底にいることもある。これ以外の生態的な情報は乏しく、生活史や産卵生態についてはよく分かっていない。 |
生息地の現状 |
巨椋池は干拓されて消滅し、ここの個体群は絶滅したと考えられる。しかし、カワネジガイと同様に、本種も一度確認された場所で再確認されることがほとんどなく、個体群の消長が激しい種類と考えられる。府内においても、思いがけない場所で発見される可能性がある。本種はヒラマキガイ科に属するが、殻は平巻でなく、螺塔が高くなる点で特異な種である。 |
生存に対する脅威 |
河川改修や圃場整備により、本種の付着する水生植物などが激減しており、生息環境は悪化している。 |
必要な保全対策 |
本種は個体群の消長が激しいため、生息地の保護が直接本種の保護につながるかどうかは疑問がある。生活史や繁殖生態などの基礎的な研究を行い、本種の種族維持の特徴を明らかにする必要がある。また、思いがけない場所で発見される可能性があるので、水草帯がある溜池などの改修の際には注意深い調査が必要である。 |
その他 |
日本固有亜種 |