選定理由 |
本来は樹洞を昼間の隠れ家にするコウモリであるが、大木が激減し、樹洞が消失したために、分布域が極端に狭まり、生息数も減少していると思われる。 |
形態 |
吻部の先がやや前外側に突出しているのが、このテングコウモリ属の特徴である。
◎近似種との区別
テングコウモリに比べて、顕著に小型である。 |
分布 |
北海道、本州、四国、九州。
◎府内の分布区域
美山町京都大学芦生演習林で1頭確認されている。 |
生態的特性 |
夕方に隠れ家から飛び出して、飛翔する昆虫類を採餌する。昆虫類が飛ばない冬期には冬眠する。 |
生息地の現状 |
芦生演習林で1頭確認されているのみであり、その後の調査では見つかっていないが、ここには原生林が残っており、樹洞が十分あるので個体数が少ないだけで、現在も生息しているものと思われる。一方、本種は樹洞を本来のねぐらにするコウモリの中では環境に対する適応性が強いと思われており、原生林から比較的遠く離れた林道上の葉上に懸下していたなどの報告があるので、府内でも今後他地域で発見される可能性が十分ある。ただし、樹洞がたくさんある林があれば、本種は生息するが、府内にはあまりそのような場所がなく、広範囲な分布は考えられない。 |
生存に対する脅威 |
昼間の隠れ家である樹洞の消失。 |
必要な保全対策 |
まず、本来の昼間の隠れ家である樹洞を今後一切減少させない。大径木の樹木を伐採しない。現在残されている大木を全て保存する。 |