選定理由 |
分布が極めて限定される上、良好な自然環境の指標として注目される。 |
形態 |
体長30mmほどの大型のハナムグリで、黒褐色で光沢がある。幼虫や成虫は「麝香(じゃこう)」のような香を放つ。 |
分布 |
日本固有種で本州、四国、九州、屋久島の温帯林を中心に分布している。
◎府内の分布区域
府内では芦生のみから記録されている。 |
生態的特性 |
本種の幼虫は各種広葉樹の大径木の樹洞(うろ)に溜まった腐植物中に生息する。スギからの発生例もある。成虫は7〜8月に出現するが、花や樹液にも集まらず、発生源の樹洞からあまり離れずに生活する傾向が強いとされる。発生源の樹洞からも本種独特の「じゃこう」臭がする。 |
生存に対する脅威 |
森林内において、本種の幼虫の生息に適した腐植物の溜まった樹洞を備えた大径木の存在確率はかなり低いものと推定される。発生源となる樹洞を備えた大径木の伐採はもちろん、林道建設やハイキング道の整備、下草刈りなどによる林内の乾燥化が、多湿な環境を好む本種へ悪影響を与えることが懸念される。 |
必要な保全対策 |
本種の幼虫が生息する木洞内の腐植物の生成には他の食材性昆虫をはじめとする様々な森林性小動物の関与が不可欠であると予想され、保全のためには豊かな森林生態系全体の保全を念頭に置く必要がある。 |
その他 |
日本固有種 |