| 選定理由 |
環境省のレッドリストでも希少種扱いされているように、これまで日本の10数箇所から記録されている稀な種であり、個体数も少ない。京都府からはこれまで、京都市大原からメス１匹が記録されているのみである。 |
| 形態 |
体長はメスで15mm、オスで13mm。ハバチ科では最大級で、体も太く、触角は亜棍棒状、色彩は黒色と茶色のまだらで、一見コンボウハバチ科のナシアシブトハバチに似る。前翅の臀室は完全で、横脈は見られない。後翅は２つの中室を持ち、臀室は柄を有する。脚の爪の内歯は外歯よりも小さい。
◎近似種との区別
本属はこれまで２種が知られるのみで、日本には本種だけが分布する。近縁種N.montana Konowはヒマラヤ一帯に分布する。 |
| 分布 |
日本固有種であり、九州、四国、本州中西部の低山地に局所的に分布する。
◎府内の分布区域
南部地域（京都市・乙訓地域）。 |
| 生態的特性 |
年１化性で、サルナシActinidia argutaを寄主植物とする。メス成虫は数10卵を列状に葉内に産み込む。弱齢幼虫は集合して葉を摂食するが、終齢幼虫は単独で摂食し、老熟すると地中の潜り、土窩を作り、越冬する。 |
| 生息地の現状 |
西日本に広く分布するが、採集地点は比較的自然度の高い低山地に限られている。かつて九州の英彦山で個体数の多い時期があったものの、現在は全国的に採集例は稀であり、保護の必要性が高い。 |
| 生存に対する脅威 |
寄主植物であるサルナシは日本各地に分布し、特に稀な植物ではないが、イトウハバチの分布が局地的であることは、本種の環境要求が狭いことが考えられ、人為的な環境変化が生存に対する脅威となる可能性が高い。 |
| その他 |
日本固有種 |
