選定理由 |
京都府では深泥池に固有。自然度の高い湿地に限って生息する種で、しかも本州ではごく少数の産地しか知られていない。生息可能な環境は極めて限定されていて、範囲も狭いため、各地とも絶滅の危険性が高い。 |
形態 |
近縁種の中ではやや小型の種。身体は黒色で、胸部には2対の灰色の縦条があり、腹部の両側には3対の黄色紋(メスではやや灰色を帯びる)をもつ。翅はほぼ透明。脚は黄色で黒紋がある。顔面の下方が強く前方へ突出し、他種から容易に識別できる。 |
分布 |
ヨ−ロッパから日本。日本では北海道、福井県、京都府、奈良県(本州では各1ヶ所)のみ。
◎府内の分布区域
深泥池。 |
生態的特性および保全対策等 |
年1化と思われる。幼虫は水生で、泥土中の植物性の腐食物を食べ、長く延びた尾部を水面に出して呼吸する。深泥池ではミツガシワを食した例が知られているが、この植物が分布しない湿地でも生息が確認された。成虫は湿地に咲く各種の花を訪れる。かつては近畿地方にも広く分布していた種であるが、環境の変化に伴って著しく産地が狭まったと考えられる。奈良県における観察では、自然度の高い環境にのみ生息し、隣接する水田には生息域を広げていない。現在深泥池では広い範囲にわたって見られ、個体数も多い。しかし環境の変化には敏感であるので、その存続は予断を許さない。 |