選定理由 |
全国的に記録の少ない種で著しく減少したと考えられる。 |
形態 |
体長20mmほどの大形の種で、腹部は黄色で3対の黒色紋がある。翅には不明瞭な斑紋が見られる。類例のない顕著な種である。 |
分布 |
ロシア極東部・朝鮮半島と本州に分布。青森県から兵庫県まで記録があるが、その記録は少なく、ほぼ兵庫・大阪に集中している。京都府の産地の詳細は不明。 |
生態的特性 |
生態は不明であるが、成虫はクヌギの樹液に集まることが知られている。一般にこの属の種の幼虫はスズメバチ等の巣内に生息し、日本産の種の多くがそうであるが、海外では樹液で生育する種も知られている。本種の幼虫もクヌギの樹液に生息しているか不明だが、いずれにしてもクヌギへの依存度は高い。 |
生息地の現状 |
近畿における記録の多くは1950年代以前で、以降空白が続いた。なんらかの原因で著しく減少したと考えられる。最近、熱心な調査によって兵庫県で再発見されたが、生息地はごく限られた範囲で、個体数も少なく、存続が危ぶまれる状態にある。京都府では1916年以前の記録しかなく、以降の記録が途絶えたままである。 |
必要な保全対策 |
生態や分布に関する早急な調査が前提となるが、もし生態が推測どおりとすれば、薪炭用のクヌギ林の衰退が原因である。したがって、里山的環境の保全が重要となる。 |