選定理由 |
京都がNakane(1963)の記載したタイプ産地である。水生植物に厳密に依存した生活史を持つ。 |
形態 |
原色昆虫大図鑑(II)甲虫篇(北隆館)161 図版No.8:原色日本甲虫図鑑(IV)[保育社]29図版No.18を参照。体長6.5mm、黒色で背面は金銅色、各翅端は斜に切断される。触角が肥厚し、末端数節では幅は長さとほぼ等長。 |
分布 |
西限は広島県芸北町牛小屋湿原、東限は愛知県作手湿原・葦毛湿原、岐阜県中津川市で、岡山県、兵庫県、大阪府、奈良県、滋賀県、福井県、三重県にも分布する。
◎府内の分布区域
京都市左京区大悲山:Nakane(1963a):八丁平:野尻湖昆虫グループ(1985) |
生態的特性 |
食草を示唆するような食害例が知られていないが、成虫はカサスゲCarex ampliatadispal -ata、アゼスゲC. thunbergi、ゴウソC. pruinosa、オニスゲC. dickinsiiなどのスゲ科植物に訪花する。 |
生息地の現状 |
高層湿原である八丁平は乾燥してきており、水生植物の減少が著しい。 |
生存に対する脅威 |
既知産地はいずれも大きな開発の対象とはなっていないが、特に水生植物が依存する湿地は変化を受けやすいから、それを寄主とする本種のような昆虫も不安定な立場に置かれている。 |
必要な保全対策 |
八丁平への林道敷設は中途半端な状態で凍結されており、大悲山もとりわけ開発の対象にはなっていないから、人為的に絶滅の危機にさらされることはないであろう。 |