選定理由 |
全国的希少種で府内の産地は1ヶ所のみ。 |
形態 |
原色日本甲虫図鑑(IV)[保育社、1984]、第3図版、図19を参照。中部山岳に分布するチャイロヒメコブハナカミキリ、九州山地に分布するキュウシュウヒメコブハナカミキリとは赤みの強い体色で区別されるが、それらとの相互関係をそれぞれ別種とするか、同一種の別亜種とみなすかについては研究者により意見が異なり、今後の標本集積とともに検討されなければならない。 |
分布 |
本州(岐阜県以西)、四国の山地に分布。九州の記録もあるが、キュウシュウヒメコブハナカミキリの誤認か否か確かでない。
◎府内の分布区域
芦生演習林のみが産地として既知。 |
生態的特性 |
成虫はカツラの巨木の樹幹、ひこばえの葉上などに見られ、おそらくその根際から発生するものであろう。訪花中のものが採集される場合も周辺にカツラの存在が認められることから、本種のカツラ依存性は明瞭である。稀種のため幼虫期の生態に関する報告はない。 |
生息地の現状 |
芦生演習林においてはカツラの巨木が何本か保存木に指定されて伐採を免れており、本種の発生はそのような巨木の中、特定の株にのみ確認されている。 |
生存に対する脅威 |
芦生演習林に最も近い本種の既知産地は、奈良県川上村、兵庫県美方町、大屋町、波賀町、岐阜県河合村、小坂村など、いずれの地も相互の遺伝子交流が不可能な遠隔地であり、芦生演習林の本種は孤立個体群と思われる。しかも依存すべきカツラは林内に極めて数少なく、ダム工事が行われれば、カツラの水没が直ちに本種の絶滅につながろう。 |
必要な保全対策 |
長期的視点によるカツラの育成、保護が唯一の保護方法であろう。 |
その他 |
日本固有種 |