昆虫類鞘翅（コウチュウ）目 カミキリムシ科
シコクヒメコブハナカミキリ
| 京都府カテゴリー | 絶滅寸前種 |
|---|---|
| 2002年版 | 絶滅寸前種 2002年版を参照する |
| 環境省カテゴリー | なし |
| 選定理由 | 全国的希少種で府内の産地は1か所のみ。 |
|---|---|
| 形態 | 原色日本甲虫図鑑（IV）（保育社 1984）PL. 3、No. 19、日本産カミキリムシ（東海大学出版会 2007）PL. 6、No. 15-16を参照。中部山岳に分布するチャイロヒメコブハナカミキリ、九州山地に分布するキュウシュウヒメコブハナカミキリとは赤みの強い体色で区別されるが、それらとの相互関係をそれぞれ別種とするか、同一種の別亜種とみなすかについては研究者により意見が異なり、今後の標本集積とともに検討されなければならない。 |
| 分布 | 本州（岐阜県以西）、四国の山地に分布。九州の標本もあるが、キュウシュウヒメコブハナカミキリと混生するのか異所分布なのか確かでない。 ◎府内の分布区域 京都大学芦生研究林のみが産地として既知。 |
| 生態的特性 | 成虫はカツラの巨木の樹幹、ひこばえの葉上などに見られ、その根際から発生するようである。訪花中のものが採集される場合も周辺にカツラがあることから、本種のカツラ依存性は明瞭である。稀種のため幼虫期の生態に関する報告はない。 |
| 生息地の現状 | 芦生研究林においてはカツラの巨木が何本か保存木に指定されて伐採を免れており、本種の発生はそのような巨木の中、特定の株にのみ確認されている。 |
| 生存に対する脅威 | 芦生研究林に最も近い本種の既知産地は、奈良県川上村、兵庫県香美町、養父市大屋町、宍粟市波賀町、岐阜県飛騨市河合町、下呂市小坂町など、いずれの地も相互の遺伝子交流が不可能な遠隔地であり、京都大学芦生研究林の本種は孤立個体群と思われる。しかも依存すべきカツラは林内にきわめて数少なく、ダム工事が行われれば、カツラの水没が直ちに本種の絶滅につながろう。 |
| 必要な保全対策 | 長期的視点によるカツラの育成、保護が唯一の保護方法であろう。 |
| その他 | 日本固有種 |
文献 岩田ほか（1993）、長谷川（1995）、大林、新里（編）（2007）
執筆者 水野弘造
.gif)