選定理由 |
どこでも稀な種で、自然環境が特に豊かな地に産する。深山幽谷に乏しい京都府における産地は貴重である。 |
形態 |
原色昆虫大図鑑(II)甲虫篇[北隆館]72 図版No.14:原色日本甲虫図鑑(II)[保育社]78 図版No.22を参照。ダエンマルトゲムシ科は世界中で約50種を産する小さい科で、日本からは2属3種の記録があるだけである。いずれも日本特産種で、日本人によって記載された種である。本種はその中でも分布の広い種であるが、個体数は少ない。体長約6mm、前胸背板の点刻はやや疎で、上翅の点刻は密となり、上翅にある白色毛斑は鮮明である。 |
分布 |
北海道、本州、対馬。
◎府内の分布区域
北桑田郡美山町芦生:水野(1977b) |
必要な保全対策 |
京都府での産地は芦生のみであり、選定理由にもあるように当地の環境保全が強く望まれる。芦生地区では、京都大学農学部演習林としてよく保全されてきたが、借用期間満了に伴って地元に返還されることになる。これまで手つかずで残されてきたこの地区も、経済活性化ということで開発が計画されており、京都府に残されてきた唯一の密度の高い自然林も消えゆこうとしている。生物相をかたちづくる種はお互いに密な関係のもとにあり、ある植物に固有な昆虫の保全は、その植物だけを保護しておけば実現されるといったものではない。全体としての自然保全がどうしても必要なのである。 |
その他 |
日本固有種 |