選定理由 |
府内では近年の記録がないため。 |
形態 |
腹長30〜35mm、後翅長32〜39mmで、日本産のアカネ属の最大種。全身が鮮やかな橙黄色で、斑紋を欠き、翅全体がほぼ一様な橙色になる。
◎近似種との区別
オオキトンボはアカトンボ類で一番大きく、全身が鮮やかな橙黄色になる。キトンボは体全体が橙黄色で、成熟すると背面の赤みが増す。ネキトンボの翅の基部は鮮やかな橙赤色で、成熟したオスは体全体が真っ赤になり、メスも腹部の背面が赤くなる。 |
分布 |
本州・四国、九州北部に分布するが産地は局地的。
◎府内の分布区域
南部地域。宇治市木幡池・長岡京市などで記録されているが、30年以上記録がない。 |
生態的特性 |
主に平地や丘陵地の、ヨシなどの抽水植物が繁茂する大きい池沼で見られる。7月頃から羽化し、未熟な個体は羽化水域から少し離れた林の梢や草むらなどにいる。成熟した成虫は10月頃から水域に戻り、生殖活動を行う。交尾後は、連結したまま池の中央付近で打水産卵をしたり、水際で打泥産卵をするが、メスが単独で産卵する場合もある。 |
生息地の現状 |
かつての生息地であった池の水質や生物的環境は、本種が記録されていた1960年代以前とは、大きく変わってしまっていると考えられる。宇治市木幡池では1960年代初めには、多数のオオキトンボが見られたという。しかし、木幡池は大半が埋め立てられて周囲には住宅地ができ、周辺の樹木は伐採されて道路が建設された結果、トンボ類が激減し、本種も姿を消してしまった。 |
生存に対する脅威 |
現在も発生を続けている場所は、府内では確認されていない。しかし、近年増加が問題となっているブラックバスなどの動物食性外来魚による幼虫などの捕食や、生息している池沼やその周辺の水域の水質汚染は、本種の生存にとって脅威となる。 |
必要な保全対策 |
府内では1970年代に入ってからの記録がないので、既に絶滅してしまった可能性も高い。しかし、まだ未発見の発生地が残されている可能性はあるので、未調査の池沼を中心に、今後も調査を続けていく必要がある。 |