選定理由 |
府内では近年の記録がないため。 |
形態 |
腹長21〜24mm、後翅長23〜27mmの小型種。成熟しても赤くならず、黒化するアカトンボ。オスは成熟しても蒼白色の粉を生じない。
◎近似種との区別
ナニワトンボは眉斑の上部が細くなるが、本種は太い。また、ナニワトンボのオスは成熟すると黒化し、蒼白色の粉を生じるが、本種のオスは成熟しても粉を生じない。ナニワトンボのメスとは胸の側面の黒の模様の違いで区別つく。 |
分布 |
本州に分布するが産地は局地的。
◎府内の分布区域
南部地域。京都市深泥池で記録されているが1970年を最後に記録がない。
◎近似種との比較
ナニワトンボは丹後地域を除く府内各地域に少ないながら分布するが、マダラナニワトンボの既知産地は深泥池だけで、限られた環境でしか生息できない種であると考えられる。 |
生態的特性 |
成虫は、6月下旬頃から羽化する。丘陵地や低山地の、日当たりがよく、林に囲まれた池沼で見られる。ナニワトンボよりも開けた環境を好む。9月頃から水域に戻って来て、水がほとんどない池の岸近くの草本の上で,連結打空産卵を行う。 |
生息地の現状 |
京都市深泥池に生息していたが、1970年代に入ってから見られなくなった。同じ時期に深泥池ではベッコウトンボも姿を消しており、本種がいなくなった原因もベッコウトンボ同様、池の汚染や富栄養化である可能性が考えられる。また、近年、ブラックバスなどの肉食性の外来魚が侵入したことも、大きな問題である。 |
生存に対する脅威 |
現在も発生を続けている場所は、府内では確認されていないが、ブラックバスなどの外来魚による幼虫などの捕食や、生息地である池沼の水質汚染は脅威となる。 |
必要な保全対策 |
京都府内では近年の記録がなく、既に絶滅した可能性も高い。しかし、未発見の生息地が残されている可能性があるので、未調査の池沼を中心に、今後も調査を継続していく必要がある。 |
その他 |
日本固有種 |