選定理由 |
水際の湿潤環境に生息し、府内ではそのような環境が急速に失われてきており、減少が著しいと推測される。 |
形態 |
殻は細長い滴形(いわゆる細長いモノアラガイ形)で、殻高15mm程度まで。螺管の増大が著しく殻口は殻高の3/4程度を占め螺塔部分は小さい。殻は非常に薄く半透明で黄色を帯びた褐色を呈する。同じ科のヒメモノオカモノアラガイは、より小型で螺層縫合部のくびれが顕著で、殻口が相対的に小さく(殻高の2/3程度)、より乾燥した環境に生息する。カンサイオカモノアラガイは異名。 |
分布 |
北海道から九州まで広く分布し、府内では京都市内の平野部でわずかに記録がある。 |
生態的特性 |
水田地帯の用水路や側溝など、陸域と水域をつなぐ水際の推移環境(エコトーン)に生息するが、水中に入ることはない。こうした環境は従来、十分な陸貝調査がされてこなかったため、今後、本種の生息が各地で確認される可能性がある。 |
生息地の現状 |
本種は水際エコトーンの指標種となりうるが、選好する水際環境は全国的に著しく改変・縮小されており、本種も生息域を縮小させていると推察される。 |
生存に対する脅威 |
最近になって水際エコトーンの生態的な重要性が認識されるようになってきたが、現在でも物理的改変による生息環境の劣化が続いている。 |
必要な保全対策 |
府内での既知の生息地が局限されており、まずは生息状況の確認が求められる。生息が現認できる場合には、本種のような環境改変に対して繊細に反応する種の存続に配慮することが、水際エコトーンの生物相全体を保全することにつながりうる。 |
その他 |
日本固有種 |