選定理由 |
府内での生息地・生息環境が局限されており、生息密度も低い。 |
形態 |
成貝は殻頂のとがった円筒形で、殻高約10mm。殻表は赤紫褐色の殻皮でおおわれ、なめらかでにぶい光沢があり「小豆」を連想させるが、円錐形で周縁部が角ばる幼貝はまったく別種に見える。軟体部は黒色。円形角質のフタを持ち、成貝では真円形に反転・肥厚した殻口を完全に閉じる。幼貝はカサキビ属Trochochlamysのベッコウマイマイに多少似るが、これらが光沢のある褐色・半透明の殻を持つのに対し、本種の幼貝は光沢がにぶく、赤紫褐色・不透明であることにより区別は容易である。 |
分布 |
本州(長野県、静岡県以西)、四国、九州などに分布するが、府内で執筆者らが現認している生息地は中丹地域の山地(大江町)の1ヶ所のみ。環境庁「第4回種の多様性調査」では中部地域の2ヶ所(美山町と亀岡市)からの報告があり、確認が必要である。 |
生態的特性 |
兵庫県以南では比較的開けた場所に非常に高密度で生息することがあるのに対し、府内の既知の生息地では、自然度の高い広葉樹林の老齢木の朽ちた部分に局在する。 |
生息地の現状 |
府内では生息地が非常に局限されている。既知の生息地でも特定の樹木には数十個体レベルで生息するが、樹木から外れるとほとんど見つからないほど、生息微環境的には局在している。府内の生息地は、地理的分布域の北縁に位置するものとして生物地理学上重要である。 |
生存に対する脅威 |
生息環境の樹林環境を改変する行為が生存の脅威となりうる。 |
必要な保全対策 |
既知の生息地の現状保存が最大限求められる。 |
その他 |
日本固有種 |