選定理由 |
比較的広く分布するが、それぞれの生育場所での個体数は極めて少ない。京都市内では絶滅したと考えられる。 |
形態 |
幼菌(菌蕾)は卵形、淡黄色〜白色、頂部が裂開し子実体を突き出す。子実体は傘部と柄部の区別があり、傘部の表面は暗緑色で悪臭を放つ粘液状の基本体(グレバ)で覆われる。基本体は多量の胞子を含み、洗い落とすと黄色の編目状の隆起が見られるが、傘の縁部では編目が次第に縦すじの隆起となる。柄部は淡黄色〜黄色、中空で泡沫状の小室よりなる。胞子は楕円形、3.5〜4×1.5〜2μm、腐朽木上に発生し1日でしおれる。
◎近似種との区別
スッポンタケ( Phallus impudicus)は柄が白色で本種より大型。ヒメスッポンタケ(P. tenuis)はほぼ同形であるが、本菌より小型で傘の縁部も網目状である。本種とよく似ていて見誤りやすい。両菌とも熱帯性である。 |
分布 |
山梨県、東京都、奈良県、京都府。ジャワ島、中国大陸、スリランカ、インドネシア。
◎府内の分布区域
下鴨神社(左京区)。 |
生態・現状・対策 |
朽木より発生する。1972年に下鴨神社のシイの倒木から発生しているものを一度観察したが、その後倒木は撤去され、以後発生していない。生存に対する脅威は発生量が極めて少ないのでよくわからないが、境内林に一切手を加えない原始林状態に保つことが重要である。 |