選定理由 |
村田:近畿地方植物誌36(1995)44頁に五十河村とあるのが京都府内唯一の記録である。最近、精華町の小さな溜池の岸辺に点在するのを確認したのが、数十年ぶりのことである。 |
形態 |
湿地にはえる1年草で叢生。茎は高さ10〜25(ときに30)cm。全草軟弱。葉は短く多くは根生状。苞は1〜2片が葉状、花序とほぼ同長。花序は複生、5〜10本に分枝し枝の頂部は各5〜7個の柄となりその先端に5〜8個の小穂を掌状につける。小穂は線状楕円形、長さ3〜8mm。鱗片は紅褐色、ややまばらにつくため小軸は外から見える。果実は長さ0.5mm。
◎近似種との区別
コアゼガヤツリが最もよく似ている。これは多年草で、地下に短い走出枝がある。
◎参照 原色日本植物図鑑草本III:No.402,日本の野生植物I:184頁 |
分布 |
本州、四国、九州、琉球、朝鮮半島(南部)、中国大陸、インド、マレ−シア、オ−ストラリア、アフリカ。
◎府内での分布区域
北部地域(丹後地域)、南部地域(相楽地域)。 |
生存に関する脅威 |
湿地の開発。溜池の埋立て、改修。 |
必要な保全対策 |
外見が目立たないため希少種と気づかれぬまま諸開発の犠牲となりやすい。湿地の開発、溜池の埋め立てや改修に先立つ詳細な生物調査が必要である。そのうえで諸開発の適否を判断すべきである |