選定理由 |
産地が限られ、過去現在を通じて標本の採集例が極めて少ない。最近、京都西山地域で群生地が発見されたが(山崎・橋屋:京都西山周辺の植物目録・1999)、京都府内で生存が確認されたのは、今のところここだけである。 |
形態 |
山地林下にはえる。まばらに叢生し長く丈夫な走出枝を伸ばす。茎は高さ30〜50cm、基部の鞘は淡褐色−淡黄褐色で、西山の群生地では濃淡、色調に変異がある。葉は幅2〜3mm。小穂は2〜4個、直立、頂小穂は雄性、側小穂は雌性。雌花鱗片は淡色。果胞は長さ3〜3.5mm、無毛。
◎近似種との区別
関東に多いホンモンジスゲに似ている。これの基部の鞘は褐色。果胞は有毛である。京都府のもので似ているものはイトスゲであるが、植物体は小さく、茎は高さ15〜30cm,葉は幅0.3〜1mm。
◎参照 日本スゲ属植物図譜:164頁,原色日本植物図鑑草本III:270頁,日本の野生植物I:160頁 |
分布 |
北海道、本州、四国、九州、台湾。
◎府内の分布区域
南部地域(京都市・乙訓地域)。 |
生存に関する脅威 |
山地開発、林道の拡幅や新設。 |
必要な保全対策 |
開発および林道の拡幅や新設に先立つ詳細な生物調査が必要である。そのうえで諸開発の適否を判断すべきである。 |