選定理由 |
村田:近畿地方植物誌35(1994)22頁に比叡山・大文字山との記録があるほか、大本花明山植物園には30年前鷲峰山で採られた標本が保管されているのみで、近年の標本採集や確認の情報はない。 |
形態 |
山地林下にはえ、まばらに叢生し地下茎をひく多年草。茎は高さ15〜30cm、鈍3稜形平滑。葉は軟らかく、ふつう内巻きし幅0.3〜1mm。基部の鞘は淡褐色。小穂は2〜3個。頂小穂は雄性、線形で長さ10〜15mm。その他の小穂は雌性で短円柱形、少数花をややまばらにつけ長さ7〜15mm。雌花鱗片は淡色、背部緑色で1脈、長楕円状倒卵形、長さ約2mm。果胞は鱗片より長く、やや直立し黄緑色倒卵形で鈍い3稜があり、長さ2.5〜3.5mm、無毛で上部の辺縁はわずかにざらつく。
◎近似種との区別
この仲間にはオオイトスゲ、ベニイトスゲ、チャイトスゲなど似たものが多数あり、かつ、変異の連続が見られるため区別は大変難しい。精密な検討を要する。
◎参照 日本スゲ属植物図譜1:114頁,原色日本植物図鑑草本編III:271頁,日本の野生植物I:160頁 |
分布 |
北海道南部、本州、四国、九州、朝鮮半島、台湾、中国大陸。
◎府内の分布区域
南部地域。 |
生存に関する脅威 |
山地開発。林道の拡幅や新設。 |
必要な保全対策 |
開発や林道の拡幅・新設に先立つ詳細な生物調査が必要である。そのうえで開発の適否を判断すべきである。 |