選定理由 |
過去現在を通じて標本の採集例が少なく、産地も限られている。村田:近畿地方植物誌40(1999)36頁には京北町と能見の2ヶ所の産地が記録されているだけである。 |
形態 |
温帯林下にはえる多年草。地下茎は鱗片に覆われ、長さ10〜30に達する。稈は斜上または直立し高さ40〜100cm、上部で多数分枝する。葉は軟らかく長さ8〜15cm、幅3〜8mm。中肋は緑色で目立たない。円錐花序は長さ7〜13cmくらいで直立。小穂は灰緑色で時に帯紫色、長さ2.5〜3mm。苞穎は同形同長で長さ1.5〜2mm、透明質で1脈、鋭尖頭。護穎は小穂と同長、基部付近に疎らな軟毛がある。芒は細く長さ5〜8mm。
◎近似種との区別
ネズミガヤがやや似るが、丈低く全草灰緑色でなよなよとしている。地下茎はないかまたは短く、長い地下茎をもつ同属の他の種から容易に区別できる。稈の下部は倒伏状で節から発根するのもネズミガヤの特性である。
◎参照 原色日本植物図鑑草本III:337頁,日本の野生植物I:103頁,日本イネ科植物図譜:510頁 |
分布 |
本州(関東地方以西)、四国、九州、中国大陸。
◎府内の分布区域
中部地域、南部地域(京都市・乙訓地域)。 |
生存に関する脅威 |
林道の拡幅や新設。山地開発。 |
必要な保全対策 |
姿が目立たないため、希少種と気づかれぬまま諸開発の犠牲となりやすい。林道の拡幅や新設、産地の開発に先立つ詳細な生物調査が必要である。 |