選定理由 |
産地が限定され個体数も少ない。村田:近畿地方植物誌38(1997)23頁に芦生とあるのが京都府内唯一の記録である。本種は最終氷期の遺存種と考えられる。 |
形態 |
高山の岩礫地、北地の海岸や平地の岩場などにはえる多年草。稈は細く叢生、高さ15〜30cm。葉は長さ4〜10cm、幅0.5〜2mm、内側に巻いて糸状。円錐花序は直立、長さ4〜8cm、枝は多くは双生しほぼ平滑。小穂は枝に疎らにつき、多くは帯紫色、光沢があり、長さは2.5〜3mm、1小花がある。苞穎は不同長。護穎は長さ2mm、膜質、中央脈は背面に突き出て長さ3〜5mmの芒となる。芒は途中で捩れまがる。葯は長さ0.7〜1.1mm。
◎近似種との区別
コミヤマヌカボが最もよく似ているが、葯は長さ0.4〜0.7mm。時に形態は連続し区別は極めて難しい。ミヤマヌカボとコミヤマヌカボは2倍体から8倍体まで知られ、区別の決め手は染色体や花粉の観察が必要である。
◎参照 原色日本植物図鑑草本III:No.669,日本の野生植物I:125頁,日本イネ科植物図譜:298頁 |
分布 |
北海道、本州、四国、九州。朝鮮半島、千島列島(南部)、サハリン(樺太)、カムチャツカ。
◎府内の分布区域
中部地域。 |
生存に関する脅威 |
山地の開発、林道の拡幅や新設など。 |
必要な保全対策 |
見かけが目立たず、希少種と気づかれぬまま諸開発の犠牲となりやすい。山地開発、林道の拡幅や新設に先立つ詳細な生物調査が必要であり、そのうえで諸開発の適否を判断すべきである。 |