選定理由 |
全国的に分布は広いが、西日本にはもともと少ない。府内では非常に稀で、採集標本・記録とも少ない。現状では絶滅のおそれが高い。 |
形態 |
山野にはえる多年草。葉は花におくれて開き、やや厚く、円心形で先は急に短くとがる。基部は深い心形、縁には低い鋸歯がある。托葉は離生し、披針形で膜質。花は大きく、淡紅紫色で、3〜5月に咲く。側弁は無毛またはわずかに毛があり、距は太くて短い。
◎近似種との区別
ナガバノスミレサイシンが半日陰を好むのに対して、本種は乾きぎみの明るい雑木林に多い。スミレサイシン類の葉は花期にはほとんど展開しないが、本種はとくに展開が遅い。また花色は鮮やかな紅紫色で、スミレサイシン類の中でもっとも華やかである。
◎参照 原色日本植物図鑑草本II:No.106,日本の野生植物II:249頁,日本のスミレ:114頁 |
分布 |
北海道(南部)、本州、四国、九州、朝鮮半島、中国大陸(北部)、千島(南部)。
◎府内の分布区域
北部地域(中丹地域)、中部地域、南部地域(?)。 |
生存に関する脅威 |
森林開発、土地造成、道路工事、株の採取が減少の主要因である。 |
必要な保全対策 |
森林の開発や管理にともなう下草苅りの際には注意を要する。 |