選定理由 |
北海道や本州の日本海側には多いが、京都府では産地が限られ、個体数も非常に少ない。 |
形態 |
山地の湿った林下・林縁や路傍にはえ、しばしば群生。葉は早春に現れ、長柄があり、葉身は卵状心形−卵状長楕円形、長さ12〜20cm、幅7〜12cm、鋭頭、夏の初め頃に枯れる。花は葉が枯れる頃に開花。花序は長い柄があり広楕円形、長さ10mm、暗紫褐色で長さ3〜5cmの頭巾状の仏炎苞に覆われる。花は両性、花被片は4個。雄蘂は4個、長さ2.3mm、雌蘂は狭卵形、長さ3mm、下部は花軸に埋もれる。果実は翌年の初夏に熟す。
◎近似種との区別
同属のザゼンソウは全体より壮大で葉は卵状心形、長さ20〜40cm、春に出て秋に枯れる。花は早春。仏炎苞は普通濃紫褐色で長さ20cm、幅15cmに達する。果実はその年の夏に熟す。なお、ザゼンソウは、京都府では今のところ見つかっていない。
◎参照 日本の野生植物I:138頁 |
分布 |
北海道、本州(日本海側)、朝鮮半島北部。
◎府内の分布区域
中部地域・南部地域(京都市・乙訓地域)。最終氷期の遺存種と考えられる。 |
生存に関する脅威 |
林道新設及び拡幅。マニアによる園芸採取。温暖化による植生の遷移。 |
必要な保全対策 |
産地では個体数が少なく、多産するユリ科のウバユリの若葉と酷似しており、希少種と気づかれぬまま諸工事の犠牲となりやすい。林道の新設や拡幅に先立つ詳細な生物調査が必要である。また、園芸用採取を禁止すべきである。 |