選定理由 |
生育地が限定されている上に湿地開発などによって激減。1960年代後半、大江町での採集(標本:城下万吉No.1113-bis)が最後の記録であり、生存が危ぶまれている。 |
形態 |
湿地にはえる大型多年草。少数の稈を束生。稈は高さ30〜100cm、節と葉を稈下部に集中させ、分枝しない。葉は長さ20〜50cm、幅2〜10mm、下面は白緑色。葉鞘口部には短毛がある。花序は長さ40cmに達するが小穂は疎ら。小穂は大きく長さ10mm前後、幅1.2mm、3〜6小花がある。苞穎は不同長。小花の基盤には長さ2mmほどの毛が密生する。内類は護穎とほぼ同長。葯は長さ2〜3mm。
◎近似種との区別
ヨ−ロッパ産のMolinia属に合一されることもある(大井,1983)。日本産のイネ科では他に似たものはない。
◎参照 原色日本植物図鑑草本III:No.636,日本の野生植物:106頁,日本イネ科植物図譜:448頁 |
分布 |
北海道、本州、四国、九州、朝鮮半島、中国大陸、サハリン(樺太)、千島列島南部。
◎府内の分布区域
北部地域(中丹地域)、中部地域、南部地域。 |
生存に関する脅威 |
低湿地にはえる(時に高山にも)ため、湿地の開発、農薬などが主要因。 |
必要な保全対策 |
植物体は、目立たないため、稀少種と気づかれぬまま諸開発の犠牲となりやすい。開発に先立つ詳細な生物調査が必要である。府内の数少ない産地であった胡麻郷・長田野などでは、圃場整備や開発によって絶滅した経緯がある。 |