選定理由 |
府内における既知の生息場所が限られている。海を通して移動が可能であるが、近年、府内および近隣の多くの生息場所が汚染され、生息条件が大幅に悪化した。 |
形態 |
体長3〜7cm。チチブ属の近縁種であるシモフリシマハゼT.bifasciatusにくらべ縞模様が鮮明であり、頬の点が大きくて少なく、尻鰭に赤色の縦帯が入る。 |
分布 |
国外では朝鮮半島、中国大陸沿岸が本来の分布であるが、カリフォルニアやシドニーの海岸に持ち込まれている。国内では、北海道から九州の広い範囲に分布。
◎府内の分布区域
日本海、若狭湾の沿岸域。 |
生態的特性 |
本種は海水域から内湾や河口の塩分のやや高いところに生息し、河川下流域に偶来する。岩礁帯や湾内の障害物を利用して産卵し、オスが孵化するまで卵を保護する。多くの個体は1年で成熟し、死亡する。 |
現状・脅威・保全 |
府内では日本海側に生息しているが、沿岸域の開発により、生息場所が縮小されている。さらに、1997年のナホトカ号重油流出事故により、主な生息域が壊滅的な状態になった。事故後、本種の生息する岩礁帯の清掃作業はほとんど行われず、自然浄化を待つ状態である。本種のように沿岸域から汽水域に生息するハゼ科魚類は河口と沿岸のどちらの開発も脅威となり、海洋汚染の影響を受けやすい。開発の際は注意を要するとともに、突発的な汚染時の早急な回復が望まれる。 |