選定理由 |
分布の西限に近い、京都府南部の個体群の絶滅が危惧されている。 |
形態 |
形態がよく似たシマドジョウ属魚類とくらべ口ひげは3対で短く、口器は多肉質で体側の筋節数が著しく多い。背鰭、腹鰭、尻鰭もシマドジョウ属魚類よりも後方に位置し、各鰭とも小さい。斑紋、脊椎骨数、口器の形状等外部形態は個体群間で変異が著しい。体長10cm程度。 |
分布 |
日本海側では富山県神通川水系から京都府由良川、太平洋側では愛知県天竜川から大阪府淀川水系安威川に生息する。
◎府内の分布区域
府内では由良川水系や淀川水系の鴨川、高野川、大堰川での分布が知られている。
◎近似種との比較
同属のヨコシマドジョウN. multifasciata が朝鮮半島東南部に生息する。 |
生態的特性 |
食性;石の表面につく珪藻などを主とした藻類食。
繁殖;11月頃から4月頃まで河床の伏流水内で越冬し、この期間に繁殖すると考えられている。孕卵数は100〜200個と他のシマドジョウ属魚類にくらべて少ない。
生息場所;主に河川上流域に生息し、平瀬の礫間や石の荒い場所を好む。 |
生息地の現状 |
由良川水系では比較的安定した生息数を保っている。しかし、府南部地域ではきわめて局所的な個体群がみられるのみである。 |
生存に対する脅威 |
河川改修に伴う伏流水の遮断による越冬および繁殖場所の消失、また上流域の山林伐採にともなう砂泥の流入による生息場所の消失、さらに餌となる付着藻類の質の悪化などが生存に対する脅威となる。また、アジメドジョウは少産で再生産率は低い。したがって、局所的に生息する個体群では小規模の生息環境悪化であっても、それが直接個体群の絶滅の引き金となりうる。 |
必要な保全対策 |
アジメドジョウの生息地保全には水質汚濁、河川改修のみならず、上流域での山林等の開発による砂泥の流入などの生息環境悪化の防止対策が必要である。また、本種の繁殖場所でもある越冬場所への直接被害をさけるため、冬季に行われる河川改修工事に対する配慮も必要である。 |
その他 |
日本固有種 |