選定理由 |
河川改修などで生息環境、特に産卵が行われる淵の消失が急速に進んでいる。府内での分布は生物地理学的にも非常に興味深く、注目されている。 |
形態 |
体長13cm。体色は薄い黄褐色またはやや緑色を帯びた灰褐色で、背部は濃く腹部は銀白色または薄い真鍮色である。背中線と体側中央に黒い縦条が走る。一般にメスの方が大きくなる。成熟したメスの吻は、へら状にのびる。
◎近似種との区別
同属のタカハヤP. oxycephalusによく似るが、本種の方がややスマートで特に尾柄が細く長い。頭部もやや細く、目はやや大きい。鱗は小さく、横列鱗数が多い(本種は通常19枚以上)。 |
分布 |
日本海側では青森県から福井県にかけて、太平洋・瀬戸内海側では青森県から岡山県まで本州のみに分布する。国外では朝鮮半島の日本海側河川から沿海州にかけてと、中国大陸東北部に分布する。
◎府内の分布区域
過去には府内各地から報告があったが、近年(1990年以降)では木津川と宇治川および由良川で確認されている。
◎近似種との比較
本種とタカハヤが混生している河川では本種が下流の方に生息する。 |
生態的特性 |
雑食性で、淵や平瀬の底層にいて、底生動物やその流下物、付着藻類などを食い、山間部に生息するものでは落下昆虫なども食う。産卵期は一般に春から初夏にかけてで、産卵場は主として淵や平瀬の砂泥底または砂礫底である。 |
生息地の現状 |
京都府では、淀川、由良川水系の中流域に生息するが、文献によってはタカハヤと混同して記載されている場合もある。改修工事や堰堤の建設に伴い生息場所が奪われており、早急な現状把握と整理が必要である。 |
生存に対する脅威 |
河川改修など河川の開発が進み、特に産卵床となる淵が多数消失している。 |
必要な保全対策 |
産卵のできる淵を保全し、河川流路の単純化や水質汚濁等、生息環境の悪化を防ぐ必要がある。 |